研究課題
基盤研究(C)
文学的文章を扱う授業・単元において「翻案」という言語活動が国語科の学習の促進にどのような貢献をするのかを実証的に解明することを本研究では目指す。具体的には、「翻案」活動を組み込んだ小学校、中学校、高等学校の授業単元モデルの開発をゴールとする。そのために、「翻案」をどのような手続きで行うべきか、また、どのような教材において本活動は有効に機能するか、各学校種における授業研究を通して検証していく。
本研究は、文学的文章を扱う小学校、中学校、高等学校の国語科の授業・単元において、「翻案」という言語活動が国語科(特に「読むこと」領域学習の促進にどのような貢献をするのか、実証的に解明することをその目的とするものである。本研究においては、「翻案」活動を行うのに適切な教材の条件や、一授業・一単元内における同活動の採り入れ方についての方法モデルを教育現場に向けて提示・提案することを目指している。この点に関して本年度は、研究代表者が担当する大学の授業(中等国語科指導論)において、「秋来ぬと」の和歌を小説のかたちに翻案するという活動を受講生たちとともに行い、その活動の意義や国語の授業内での採り入れ方にについて議論・検討した。また、「翻案」活動は国語科の言語活動のひとつとして、全国の小・中学校において日常的に、いわば現在進行形で実施されているものであり、先行実践も複数存在する。しかしその方法や意義については、いずれも実践家としての暗黙知的な経験則から導かれているところがあり、学術的な議論に基礎を置いたものではない。そのため、確立された指導法がない。それに対し、本研究は「翻案」活動の有効性や学習効果について、文献研究・実証的分析・実践研究を通して科学的に検証しようとするものである。この点に関して今年度は、長野県内の小学校および中学校の教員で本研究の目的や内容に賛同してくださる方を選び出し、今後の研究計画を策定したところである。
2: おおむね順調に進展している
コロナのクラスター感染発生のために、研究授業を予定していた学校に学外者が立ち入れず、研究授業が中止になったことが複数回あったが、文献レベルの研究については予定通り進行させることができたといえる。
長野県内の小学校・中学校で本研究の趣旨に賛同してくださる先生方と協力体制を組み、翻案活動を採り入れた研究授業を実施する。そして学習者たちが作成した翻案作品を分析し、翻案活動の意義について検証していく。
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信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センター紀要 教育実践研究
巻: 21 ページ: 151-160