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世界遺産等の多元的な価値を伝え合い国際社会への参画意識を高めるESD授業の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K02636
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
研究機関鳴門教育大学

研究代表者

金野 誠志  鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50706976)

研究分担者 太田 直也  高知学園大学, 健康科学部, 教授 (10203796)
永田 成文  広島修道大学, 人文学部, 教授 (40378279)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード多元的な価値 / 文化遺産 / 台湾とシンガポール / 日本とイギリス / 国際社会への参画 / 価値の多元性 / 価値の階層性 / 価値の並列性 / 学校間遠隔授業 / 富岡製糸場と絹産業遺産群 / 価値の相対化 / 対外認識 / 自己認識
研究開始時の研究の概要

世界遺産教育をESDのための15の戦略的テーマ「文化の多様性と異文化理解」」に位置づけられる。しかし,その理解は,世界遺産等が有する価値の多元性を抜いては浅くなってしまう。また,それらが,国際社会への参画意識を高めることができてこそ,SDGsともつながり、意義深いものとなる。自他の文化遺産が有する価値の多元性や関係性を踏まえた価値認識を高め,それぞれの文化の価値尊重,価値への対応について探究し伝え合う授業を開発する。その際に重視するのは,対外認識を鏡として生まれる自己認識の変化の自覚である。そして,実施・検証して他国にも望まれる国際社会への参画意識を高めるESD授業のモデルを提示する。

研究実績の概要

台湾に残されている日治時期につくられた現在も稼働している潜在的世界遺産「烏山頭ダム及び嘉南大水路」とシンガポールで当時現在まで稼働している世界遺産「シンガポール植物園」をとりあげ、国際社会への参画意識を高める授業構想した。
そして、なぜ、植民地統治期に宗主国によってつくられた文化遺産が、統治されていた国湯地域で大切に保存・継承されているのか考えていくことを契機として、国際社会への参画には、自国の利益だけでなく、他者にも望まれる要素が欠かせないことを学んだ。自国の利益とは、日本としては、米部作の解消であり、イギリスとしては、プランテーションの開発によるゴム生産での利益獲得である。このように、台湾では、米の生産、シンガポールではゴムの生産への貢献が事例としてとりあげられ、もともとは、植民地統治の中で、宗主国の利益優先でつくられた施設であったことまでは学んでいる。このことは、台湾とシンガポールの社会科教科書に書かれている記述をもとに、日本の小学生が知識を獲得し理解を進めた。イギリスの教科書と日本の教科書でこの時代がどのように著されているかまでは、未だ、学んではいない。
この学びを高めたのは、愛媛県の小学校と埼玉県の小学校の遠隔交流授業で、取り上げた文化遺産について互いに調べ知識を深めた内容を交流したことであった。単独の学校で、それぞれの文化遺産について調べたのでは、時間や労力からしても効率的ではないし、遠隔交流学習を目指すということは、互いの学校児童の学習意欲にもつながっている。
次年度は、植民地でつくられた文化遺産と統治した側の国でつくられた文化遺産との関係性を、遠隔交流授業を交えて学ぶことで、更に国際社会への参画意識がどのように変化するか確認し、授業モデルとして整理したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度、コロナ禍で遅れていた、外国における教材収集・調査が、本年度は順調に進み、授業構想から実施まで、予定通りの進捗を回復することができた。これは、研究協力校の積極的な支援の賜である。自然での管理職や該当学年との打ち合わせや確認がスムーズに進行し、授業開発の趣旨と内容の理解を得ることができていたことがその基盤にはある。遠隔会議システムを使った遠隔交流授業も実施でき、共同研究者である大学教員や研究協力者である小学校教員との打ち合わせや治験の交流、共同調査や紀要材開発が順調に進んだ。大学教員による小学校教員への指導・助言だけでなく、大学教員による小学校での授業も複数回行うことができ、授業の内容的な質の確保や確認もできた点は、大きかった。

今後の研究の推進方策

現在、開発授業の実施は、6割程度でき、児童の意識変化に対する調査は、2度行っている。最終年度は、統治した側の国でつくられた日本の世界遺産「富岡製糸場」とイギリスの世界遺産「キュー王立植物園」についての学習を行い、前者が台湾の潜在的世界遺産「烏山頭ダム及び嘉南大水路」と、後者が世界遺産「シンガポール植物園」とどのような関係性にあったのか学習していく。そして、日本とイギリスの植民地統治の特徴と概要の理解を基盤として、今後、国際社会への参画を考える上で大切な要素を抽出しつつ、児童の国際社会への参画意識を高める授業の開発と提示を進めたい。
次年度の課題として、研究協力校の大切が変わっているため、事前の打ち合わせや確認を丁寧に行い、快く研修授業を実施させてもらえるよう配慮することと、児童の意識変容を数値で明確に表し分析することである。4月中には研究協力校を訪問し、研究に対する意識統一を図るとともに、3回目の児童の意識変容に対するデータを確実に取っていきたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「聖霊降臨祭の婚礼」試論 -変容を促す時間-2024

    • 著者名/発表者名
      太田直也
    • 雑誌名

      高知学園大学・高知学園短期大学 紀要

      巻: 第54号 ページ: 29-36

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 持続可能性に基づいた小中高一貫カリキュラムの構想―SDGsを活用した地理ESD授業―2023

    • 著者名/発表者名
      永田成文
    • 雑誌名

      新地理

      巻: 第71巻3号 ページ: 52-56

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] SDGsを活用した地理教育におけるESD授業―小・中・高一貫カリキュラムのアイデア―2023

    • 著者名/発表者名
      永田成文・阪上弘彬・今野良祐・齋藤亮次
    • 雑誌名

      地理

      巻: 2023年10月号 ページ: 90-95

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 文化遺産への価値対応について考えるESD授業モデルの開発と検証―世界文化遺産と世界遺産ではない文化遺産を対照する遠隔授業を基にして―2023

    • 著者名/発表者名
      金野誠志:永田成文:山内雅博
    • 雑誌名

      日本教育大学協会年報

      巻: 41 ページ: 75-86

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「多元的」シティズンシップをどう理解するか2023

    • 著者名/発表者名
      金野誠志
    • 雑誌名

      異文化研究

      巻: 16 ページ: 11-29

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 異文化理解を深める地理ESD授業プログラムの開発―世界遺産の顕著な普遍的価値の伝達を通して―2023

    • 著者名/発表者名
      永田成文
    • 雑誌名

      地理教育研究

      巻: 32 ページ: 1-10

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] ディラン・トマスの詩に見られるウェールズ性について2022

    • 著者名/発表者名
      太田直也
    • 雑誌名

      文林

      巻: 20 ページ: 1-15

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 持続可能性に基づいた小中高一貫地理教育カリキュラムの構想―SDGsを活用した地理ESD授業―2024

    • 著者名/発表者名
      永田成文
    • 学会等名
      日本地理教育学会第73回大会(宮城教育大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 新北市の世界遺産教育の内容とその目的-2016年國中教材に視点を当てて-2023

    • 著者名/発表者名
      金野誠志
    • 学会等名
      臺灣世界遺産登録応援会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 行動・言葉,心の変化に着目した道徳科の授業づくり―「対話」の積み重ねと教材の構造を重視して-2023

    • 著者名/発表者名
      金野誠志
    • 学会等名
      広島県小学校道徳教育研究大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「かかわり」を重ねて「なる」教師 -社会科教育を基盤とした経験と出会いの広がりから-2023

    • 著者名/発表者名
      金野誠志
    • 学会等名
      社会・生活系教科開発実践懇話会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域遺産・世界遺産の価値を伝え合い自他の文化理解を深めるESD授業の開発2022

    • 著者名/発表者名
      金野誠志
    • 学会等名
      日本グローバル教育学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 「エッゲンベルク城と大坂図屏風」『ハプスブルク事典』2023

    • 著者名/発表者名
      太田直也
    • 総ページ数
      824
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621306819
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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