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学校音楽文化研究―国際比較による教科学習経験の産出過程とメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K02645
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
研究機関関西外国語大学 (2023)
立命館大学 (2022)

研究代表者

笹野 恵理子  関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (70260693)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード学校音楽 / カリキュラム経験 / 国際比較 / 教科学習経験 / 経験されたカリキュラム / 学校音楽文化 / 回顧的カリキュラム / 生きられたカリキュラム / カリキュラム
研究開始時の研究の概要

学校音楽カリキュラムは、当事者である児童生徒にどのように経験されるのか。この問いに支えられて、本研究の全体構想は、児童生徒の「学校音楽のカリキュラム経験」の構成過程を解明しようとする。本研究は、これまでの研究において日本の「学校音楽のカリキュラム経験」として「集団的経験」の特質を実証的に明らかにするとともに、その教科学習経験は、学校の多様な音楽文化の相互作用から編まれることを仮説として提出してきた。本応募課題においては、日本の特質を相対的な視野から検証し、仮説をより強固で精緻なものとするため、国際比較の観点を導入して、研究を深化・発展させようとするものである。

研究実績の概要

本研究は、学校音楽教育研究において、教科学習経験を構成する過程とメカニズムを国際比較の観点から明らかにしようとするものである。研究代表者は、これまで潜在的カリキュラム論から着想を得て、教師と児童生徒の学校音楽経験を「学校音楽のカリキュラム経験」と呼んで対象化し、教師と児童生徒がどのように経験を構成するのか、という課題にとりくんできた。そして、「学校音楽のカリキュラム経験」を構成する装置として「学校音楽文化」を仮説し、学校音楽文化全体で教科の学びが紡がれているという「学校音楽文化理論」を仮説として提出してきた。本研究課題では、その仮説をより強固なものにするため、国際比較の観点から教科学習経験を構成する過程のメカニズムを検討する。
2023年度は、コロナの5類への移行により、海外渡航手続きなども容易となったため、昨年度に引き続いてイタリアにおいて現地調査を実施することができた。そこでは、現地の学校の聞き取りとともに、現地校にも通いながら日本語補習校で学んだ日本語補習校卒業生に焦点をあて、聞き取り調査を実施した。
また研究成果公開促進費(学術図書)の助成をうけ、本応募課題の成果の一つとして学術図書を刊行し、それによって、国際比較のためのベースをつくることができた。
2023年度の成果として、イタリアの「教育課程」を訳出し、現地調査を重ねたことで、①学校における知の文化伝達過程は、当事者である学習者の側からみれば、制度→教師→子どもという一方向的、単線的なものでなく、複線的であり、ダイナミックで豊かであること、②教科の学習経験は、教科授業だけでなく、学校音楽文化の総体から構成される、という本研究の仮説を裏付けるとともに、学校音楽文化を形成するファクターとして、社会包摂と「芸術的市民権」に根差した地域の音楽文化との相互作用にイタリアの学校音楽文化の特質をみることができることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナの5類移行にともない、海外調査が容易となったことから、フィールドワークについても制約が格段に緩和された。2023年度の調査は、今後の研究の進展にきわめて有益であり、これまで検討してきた理論仮説を裏付けるとともに、地域文化や法制との接合から理論モデルを再構成することの着想を得ることができた。
また日本語補習校が抱える課題等も含め、音楽を教科としてカリキュラム化していない学校においても、音楽活動がさまざまな意味をもたらすことも確信できた。
しかしながら研究遂行上予期していなかった課題のひとつに、航空運賃の値上げ、オーバーツーリズムに伴う宿泊代金の高沸があり、その点では調査の限界を認めざるを得なかった。今後はフィールドを縮小する、オンラインでの聞き取り調査に限定するなどの代替措置を積極的に検討し、文献調査だけでなく、本研究が積極的に採用するフィールドに根差した「当事者」の「語り」を蓄積することで研究を遂行していきたい。
本研究課題の遂行中には、その他の社会状況によっても海外における調査活動が制限されることがあり得るかもしれないが、比較対象国の縮小や変更、オンラインを活用したインタビューなどをあらかじめ想定し、不測の事態に備えた代替措置をあらかじめ検討しておきたい。

今後の研究の推進方策

海外渡航の困難さは完全に回復し、海外調査が可能となったため、今後は積極的に調査実施を検討し、研究をおしすすめていきたい。
しかしながら航空運賃や宿泊料金の高沸、その他国際情勢などでは、対象国を限定せざるを得ないことも予測し得る。代替措置も検討しつつ、予算の目途がたつ範囲で、積極的に調査活動を展開し、研究成果を発信することを試みたい。
また研究成果発信として、24年度は国際学会での成果発表を計画している。国内外への成果発信を積極的に検討し、今後は英語による学術図書の刊行を含め、国際共同研究へと展開していくことを視野に含め、国際比較に耐えうる研究の理論枠組みを構想していきたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ミラノ音楽院/ケルビーニ音楽院/ボローニャ大学(イタリア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] ミラノ音楽院(イタリア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 生活史の中の音楽と音楽教育Ⅱ―子どもの音楽経験:世代を切り取る・世代をつなぐ―2024

    • 著者名/発表者名
      石井ゆきこ, 笹野恵理子, 嶋田由美, 多賀秀紀, 寺内大輔, 杉江淑子
    • 雑誌名

      『音楽教育学』

      巻: 53(2) ページ: 72-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] イタリアのナショナルカリキュラムにみる音楽教育の特質―「幼稚園と第1課程のための国家指針」(2012)ならびに「国家指針と新たな方向」(2018)の社会包摂の検討―2024

    • 著者名/発表者名
      笹野恵理子・茶谷美保・川西麻里
    • 雑誌名

      『関西楽理研究』

      巻: 40 ページ: 189-194

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 教育課程の基準(学習指導要領)を教科教育学としていかに分析・評価するか ―「カリキュラム経験」研究の視角―2023

    • 著者名/発表者名
      笹野 恵理子
    • 雑誌名

      教科教育学コンソーシアムジャーナル

      巻: 1 号: 1 ページ: 1-14

    • DOI

      10.60199/jjcospa.2022J001

    • ISSN
      2758-6995
    • 年月日
      2023-03-31
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 題材の目標と評価をとらえた音楽科の授業設計とパフォーマンス評価2022

    • 著者名/発表者名
      笹野恵理子
    • 雑誌名

      『季刊音楽鑑賞教育』

      巻: 51 ページ: 32-35

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 生活史の中の音楽と音楽教育Music in Life History and Music EducationII -子どもの音楽経験:世代を切り取る・世代をつなぐ-2023

    • 著者名/発表者名
      杉江淑子, 石井ゆきこ, 笹野恵理子, 嶋田由美, 多賀秀紀, 寺内大輔
    • 学会等名
      日本音楽教育学会第54回大会 常任理事会企画
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 共同企画Ⅹ 音楽科の実践研究を問い直す2022

    • 著者名/発表者名
      樫下達也 ・多賀秀紀 ・小山英恵・笹野恵理子
    • 学会等名
      日本音楽教育学会第53回大会(於:国立音楽大学 オンライン)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 常任理事会企画プロジェクト研究「生活史の中の音楽と音楽教育Ⅰ」2022

    • 著者名/発表者名
      笹野恵理子・藤井康之・樫下達也・古山典子・嶋田由美・西島千尋
    • 学会等名
      日本音楽教育学会第53回大会(於:国立音楽大学 オンライン)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 教科教育学として教育課程の基準(学習指導要領)をどう分析・評価するか―「カリキュラム経験」研究の視角―2022

    • 著者名/発表者名
      笹野恵理子
    • 学会等名
      教科教育学コンソーシアム第2回シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『学校音楽文化論―人・モノ・制度の諸相からコンテクストを探る―』2024

    • 著者名/発表者名
      笹野恵理子・学校音楽文化研究会編著
    • 総ページ数
      369
    • 出版者
      東信堂
    • ISBN
      9784798918945
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 教科融合型教材の開発とカリキュラム・デザイン Curriculum Design and Development of Curriculum Integration Materials2023

    • 著者名/発表者名
      笹野恵理子編著 磯田三津子、上野智子、樫下達也、菅道子、金ヒョン淑、佐藤真由子、多賀秀紀、松本晶代、山﨑由可里、吉田奈穂子、吉田武男著
    • 総ページ数
      137
    • 出版者
      NSK出版
    • ISBN
      9784921102548
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] ピーターと狼 カリキュラムガイド: 教科連携オンライン教材

    • URL

      https://sites.google.com/view/peterandthewolfcurriculumguide/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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