研究課題/領域番号 |
22K02653
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
萩中 奈穂美 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (40851712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 語彙学習力 / 語彙学習 / 語彙指導 / 国語科 / 中学校 / 書くこと |
研究開始時の研究の概要 |
学校で学習する語彙には限界がある。そのため、国語の授業では、語彙を習得させるだけでなく、生涯に亘り自力で語彙を学ぶ力(語彙学習力)を育成することが特に中学校では重要である。 そこで本研究では、自らの言語生活と語彙との関わりを自覚し、語彙の価値や学び方に気付かせていくには、作文を中心とした表現活動と語彙そのものの学習との有機的な統合をどのように図ればよいかについて追究する。 具体的には、先行実践等を語彙学習力に視点から整理検討し、更に日本語学の知見に基づき、文種や題材と、扱う語彙の種類、語彙論等の特性を生かした語彙学習単元を開発し提案する。
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研究実績の概要 |
学校で学習する語彙には限界がある。そのため、国語科では、語彙自体を習得させるだけでなく、生涯に亘り自力で語彙を学び続ける力(「語彙学習力」とする)を育成すること求められる。しかし、これまでは、語彙への興味・関心を育てることができれば自ずと学んでいくといった認識にとどまる傾向があった。この部分に理論的開拓が必要であるというのが発意であった。 R4年度は、先行研究を概観した上で、特に語彙学習の動機づけの整理、自身の授業実践の分析などを行い、それぞれについて得た知見をまとめた。それをもとにR5年度は3方面から考究を進め、次のような成果を得た。これらは論文などで発表済である。 一つめは、語彙学習には、従来強調された「語彙論」の知識や知性(論理的思考力)ばかりでなく、感性(感性的思考力)が必要であるとの指摘及びその内実の抽出・整理である。これは、語彙に対して感性面を重視する語彙指導観をもつ大村はま(国語教育実践家)が創作した、中学生向けの読み物における記述の分析を通して得た知見である。 二つめは、これまでの我が国の国語科の学習指導における「語彙学習力」の育成を目指す流れの確認である。現行の学習指導要領に至る語彙・語句に関する指導事項の内容的変遷を追うことで、語句と語彙という二つの側面で試行錯誤を繰り返しながらも、語彙指導の究極のねらいを学習者自身が語彙を豊かにすることにおき、様々な語彙に関する要素をこれに付随させる形で一元化されていく過程を確かめ得た。 三つめは、語彙に対する価値として学習者が機能面、実用面を重視する傾向、大和言葉がもつ響きや表記の美しさといった文化的な価値に気付かせる困難性に関する示唆である。これは自身が新たに構想・実践した授業における学習者の考察を通した結果として窺われたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リサーチクエスチョンである、①「語彙学習にはどのような力が必要か」、②「語彙学習力を育成するにはどのような指導が必要か(単元構想)」のいずれに関しても、文献研究や実践研究を通して、知見を積み重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
当初「書くこと」における語彙学習力の育成のあり方という研究課題を掲げて取り組み始めた研究ではある。ただ、書くことを通してどのように語彙学習力を育成するかという方法以前の問題として、語彙学習力とは何か、すなわちどのような力を育成することが自ら語彙を学んでいく子供を育てるのかという、その手前にはだかる問題に直面している。 こうしたことから、今後も引き続き、語彙学習力の内実を明らかにするという研究内容に重点を置きながら考究を進め、その上で主として書くことの単元を考案して有効な方法の一端を見出していく予定である。
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