研究課題/領域番号 |
22K02676
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西村 君平 東北大学, 理学研究科, 特任講師 (50757466)
|
研究分担者 |
島 一則 東北大学, 教育学研究科, 教授 (70342607)
呉 書雅 福島大学, 教育推進機構, 特任准教授 (70880219)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 高等教育 / 評価 / EBPM / 高等教育研究 / 大学生の経済支援 / 政策評価 / 認識論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,科学的実在論に関する認識論的知見を土台として,奨学金の効果測定のあり 方を理論的・経験的に検討する.近年,実験・準実験的手法によって政策の効果を一面的に捉える従来型のEBPMの限界が明らかになっている.こうした中で,理論によって政策 の効果を構造的に捉える科学的実在論の発想が注目を集めつつある.本研究では科学的実在論に関する理論的考察を行った上で,その知見に基づく新しい研究デザインを奨学金政策の効果測定に適用する.これにより奨学金政策の効果を再検討するとともに,高等教育研究に おけるEBPMの認識論的基礎の精緻化を推し進める.
|
研究実績の概要 |
本研究では,科学的実在論に関する認識論的知見を土台として,奨学金の効果測定のあり 方を理論的・経験的に検討する。科学的実在論とは,データの背後にある直接的には観察が 不可能な対象の実在を仮定し,その理論的解明を科学の本質と見なす認識論的態度である。本年度は科学的実在論に基づく評価の方法論を明らかにし,その成果は『日本評価研究』に掲載された。また,科学的実在論に基づく評価方法論を政策評価のみならず,プログラム評価(教学IR)に応用する実践的な展開について模索し,その成果は「高等教育質保証学会」にて招待講演の形で報告した。 本研究では以下の2つの課題の解決を試みている。1)科学的根拠の活用理論の高等教育研究(ひいては政策科学)への応用可能性や応用にあたっての留意点を,それが依拠する科学的実在論を紐解くことで,理論的に明らかにする。2)科学的根拠の活用理論の応用可能性を,それを奨学金政策の効果測定に実際に応用することで,経験的に明らかにする。 本年度までに,1については十分な研究成果を上げることができた。科学的実在論の観点からの評価方法論の構築は,日本評価学会の特集論文の1つとして採用されており,学会からの注目も高い。公表後に,関連領域(政治学,行政学)から研究成果に関する問い合わせや共同研究に関するお声がけも頂いている。2については奨学金政策の分析に関する成果が出る前に,当初は必ずしも主要な課題としていたわけではなかった教学IRの方法論に関する成果が先に出ることになったが,研究自体は順調に進んでいる。今後は当初の予定であった奨学金政策の効果およびその規定要因の分析に焦点を当てることとする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,1)科学的根拠の活用理論の高等教育研究(ひいては政策科学)への応用可能性や応用にあたっ ての留意点を,それが依拠する科学的実在論を紐解くことで,理論的に明らかにすること,2)科学的根拠の活用理論の応用可能性を,それを奨学金政策の効果測定に実際に応用することで,経験的に明らかにすること,という2つの課題を掲げている。このうち1については十分な成果を上げることができている。2については奨学金政策の効果分析については分析の途上にあるが,高等教育のプログラム評価(教学IR)に関する応用という成果が上がっている。当初の予定を超える展開も見せつつ,概ね,当初の予定通りに研究が進んでいる。 また,理論研究部分については,日本評価学会の特集への参加についてお声がけていただいた。経験的分析については高等教育質保証学会より招待講演に招かれた。このように本研究の業績は,関連する学会等から一定の評価を受けている。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定にあった課題のうち,奨学金政策の効果分析を最終年度の主要な課題と位置付けて研究に取り組む。また本研究を通して培った日本評価学会および高等教育質保証学会のネットワークを活かして,さらに理論研究や応用研究の発展に取り組む。このうち応用研究の部分については次年度以降の研究へと発展的に引き継ぐことも検討している。
|