研究課題/領域番号 |
22K02718
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
藤墳 智一 宮崎大学, 学び・学生支援機構, 准教授 (30248637)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 高等教育 / 工学教育 / 課題解決能力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、まず、産学間における課題解決能力の認識の一致と不一致を検証することにある。データは企業の人事担当者および企業の中堅エンジニアへのインタビューによって収集する。次に、分析結果に基づき、産学双方で通用する課題解決能力の新しい概念を構築し、今後の実践的な学士課程教育の開発に向けて提言をおこなう。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エンジニアが仕事で直面する課題解決とそのための能力開発について、企業と大学の間の認識の違いを明らかにすることにある。データは企業の人事担当者、企業の中堅エンジニア、工学系学部の教員、工学系学部の学生へのインタビューによって収集する。本研究では、課題解決に求められる人材観と能力観が仕事の領域と教育の領域の間で十分共有されていないと仮定する。そこで、データ分析ではこの2者間のギャップを検証し、その結果に基づいて、課題解決能力の概念を共有し、それを育成するために企業と大学にどのようなコミュニケーションが必要かという点を考察する。 研究計画は(1)理論研究、(2)実証研究、(3)理論研究と実証研究の統合の3段階に分かれる。(1)理論研究は内容として文献調査、文献レビュー、仮説の構築を含み、(2)実証研究はインタビュー調査の実施、データの分析、(3)理論研究と実証研究の統合は結果の考察、改革への提言、研究成果の公表を含む。 2022年度は文献調査等の理論研究を中心に進めた。2023年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から5類感染症へ移行し、感染対策が平常に近づいたものの、前年度におけるインタビュー調査準備の遅延は2023年度に影響を与える結果となった。具体的には、文献調査を強化し、引き続き仮説を吟味することになった。とくに、課題解決能力の定義において従来の「仕事/大学」の軸に「個人/チーム」の軸を加えることを検討し、それに基づくインタビューガイドを作成した。2024年はこれを用いたインタビュー調査および他のデータ収集を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は(1)理論研究、(2)実証研究、(3)理論研究と実証研究の統合の3段階に分かれる。(1)理論研究は内容として文献調査、文献レビュー、仮説の構築を含み、(2)実証研究はインタビュー調査の実施、データの分析、(3)理論研究と実証研究の統合は結果の考察、改革への提言、研究成果の公表を含む。 企業における実際の課題解決はチームによっておこなわれることが多いため、課題解決能力の定義ではチームレベルで発揮されるコンピテンシーとチームが置かれた組織的環境を考慮する必要がある。そこで、2023年度は個人の課題解決とチームの課題解決の共通点と相違点を比較した。 文献調査では、まず、経験学習の理論に着目した。経験学習とは、学習者が具体的な経験から多くの抽象的な概念を学習するプロセスを意味する。一方、知識マネジメントの理論は、個人が内面に持つ知識が抽象的な概念へと転換し、それをチームが共有するプロセスを扱う。チームの課題解決において、解決の鍵を握る知識は、個人の経験からチームに共有される抽象概念へと形態が変化する。つまり、チームの課題解決の分析にはこうした知識の形態に関する仮説が必要であり、これにしたがえば、大学では、プロジェクト型学習などのアクティブラーニングをとおして学生が知識の転換を経験することが非常に有効だということがわかる。 2023年度の文献調査によって、課題解決能力の仮説には従来の「仕事/大学」の軸に加え、新たに「個人/チーム」の軸を設定した。また、インタビュー調査の実施に向けて、この新しい仮説に基づくインタビューガイドを作成した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、エンジニアが仕事で直面する課題解決とそのための能力開発について、企業と大学の間の認識の違いを明らかにすることにある。データは企業の人事担当者、企業の中堅エンジニア、工学系学部の教員、工学系学部の学生へのインタビューによって収集する。本研究では、課題解決に求められる人材観と能力観が仕事の領域と教育の領域の間で十分共有されていないと仮定する。そこで、この2者間のギャップを検証し、その結果に基づいて、課題解決能力の概念を共有し、それを育成するために企業と大学にどのようなコミュニケーションが新たに求められるかという点を明らかにすることがデータ分析の課題となる。 研究計画は(1)理論研究、(2)実証研究、(3)理論研究と実証研究の統合の3段階に分かれる。(1)理論研究は内容として文献調査、文献レビュー、仮説の構築を含み、(2)実証研究はインタビュー調査の実施、データの分析、(3)理論研究と実証研究の統合は結果の考察、改革への提言、研究成果の公表を含んでいる。 2023年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類相当から5類感染症へ移行し、感染対策が平常に近づいたが、対面のインタビュー調査に先駆け、文献調査等の理論研究を中心に進めてきた。2024年度は、作成したインタビューガイドに則ったインタビュー調査とその他のデータ収集を実施する予定である。また、研究会をとおして分析結果を検討し、年度末に論文を刊行し、研究成果を公表する。論文では研究成果の要約とともに教育改革に向けた提言をおこなう。
|