研究課題/領域番号 |
22K02727
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
|
研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
木林 勉 金城大学, 医療健康学部, 教授 (30512397)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 世代間交流 / プロダクティブ / 健康プログラム / 大学生 / 高齢者 / withコロナ |
研究開始時の研究の概要 |
“健康増進”は、withコロナにおいてさらなる高いニーズが求められている。 保健・医療系大学は、エビデンスに基づく予防・健康増進の方法の開発と地域の健康増進活動の活性化という2つのニーズを結びつける役割がある。 高齢者が持つ豊富な経験に裏打ちされた指導力・実行力・社会力(プロダクティブ)と、学生の医療やICTの知識や技術とを融合し新しいwithコロナ健康プログラムの開発に挑む。 感染対策の徹底のなかで地域の健康プログラムの実行力を高めるためにはICTの活用は必須であり、高齢者がいかにこの恩恵に預かることができるか、住民参加型の健康づくりをどのように強力に補強するかが課題である。
|
研究実績の概要 |
学生と高齢者が協同学修で企画・運営する健康プログラムの効果を明らかにするため、研究を3つに分類し進めている。 <研究1>若年者と高齢者に対する互いのイメージに関する調査について アンケートの設問を検討するため、自身の先行研究(2017)におけるアクティブラーニングの知見を用いて、若年者(学生)の「学修経験との関連」、「地域貢献への希望や意欲」を含んだ性別や修学年数別の解析を盛り込むよう協議を踏まえ作成中である。 <研究2>学生と高齢者を対象とした認知・身体・社会的・複合介入の実施可能性についての検討を想定した実証研究として、対象者抽出を検証した。2024年2月17日本学において地域高齢者を、2024年3月13日デイサービス利用者を対象に研究計画に掲げた介入プログラムを実践し、認知力やストレス検査を用いた認知・精神機能や筋力・反応時間を測定する身体機能評価を行い、その所要時間や測定者数、信頼性を担保するためのオリエンテーション方法、測定値分布からみる反応性などの計量評価の基準や手順を得るためのパイロットスタディを実施した。また、プログラムにおいては個別の視覚や聴覚、体性感覚を活用した認知・身体刺激を重視したものや達成感や向上心への行動変容を生む競争心を活用したもの、コミュニケーションが要求されるチームによる実践ツールを準備し、対象者や学生に対して半構造化インタビューから知見を習得した。その結果、高齢者と学生が一緒に距離と休憩場所、所要時間などを割り出しコースを決定するウオーキングプログラムや歩く前のウォーミングアップや運動後のクールダウンのコンテンツについてオリエンテーションも含め工夫の必要性などが課題となっている。また、歩行や運動についてはアクセシビリティを探ってポールウォーキングのすすめている。 <研究3>世代間交流型健康プログラムの準備として、行政との協議を交えて進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学生の修学年度や高齢者の社会的背景などによりプログラムの理解度や遂行能力、協調性や指導力が大きく異なることがわかってきた。そのためにまず学生と高齢者のそれぞれの意識の違いを把握するためのアンケートが必要であると考え内容を検討している。その結果から対象者の選定を実施する。学生については能動的行動教育や身体障碍者に対する態度の肯定化教育、人とのつながり形成と専門職の関わり方など初年次教育に組み込むようにカリキュラムの検討をすすめている。高齢者と学生の共通ツールとして昨今はeスポーツがとりあげられていることからプログラムの新しいエッセンスとして調整している。学生の活動への参加による行動変容や高齢者のプロダクティブ要素をいかに統合するかがポイントであり、運動の中に楽しみや達成感なども組み入れる必要がある。学生と高齢者との高齢者が活動する環境の整備として、指向性が広く音圧が高い曲面サウンドによる音場設計を図ること、大きなモニターを使用して共有者を増やしコミュニケーションを促すこと、ルール説明の煩雑なものはアクセシビリティを探って簡略化することなどの見識が得られた。実際には個別の視覚や聴覚、体性感覚を活用した認知・身体刺激を重視したものや達成感や向上心への行動変容を生む競争心を活用したもの、コミュニケーションが要求されるチームによる実践ツールを準備し、対象者や学生に対して半構造化インタビューから知見を習得した。世代間交流型認知・身体・社会的複合介入におけるeスポーツ活用のQOLと社会的孤立ならびに偏見の解消に関する効果検証の準備として、対象者や学生の参加動向の探索やリスク管理の検討、社会におけるe-sportsの認知度やさらなるタブレットを活用したコンテンツの採用について、国立長寿医療研究センターをはじめ、行政やe-sports協会との協議を交えて進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
学生と高齢者では、身体性や社会性という点で相違がある可能性があり特に身体運動という点においてはプログラムの所要時間や運動量に議論が必要である。例え軽度でも身体的困難を有する事例においてはアクセシビリティ技術としてパールウォーキングなどの提案が求められそのための知識や指導技術の習得も目指さないといけない。集団で運動プログラムに取り組むことでコミュニケーション能力が向上することをどう可視化していくか、ルーブリックやウェアブル測定器、唾液アミラーゼなどを駆使する。リクリエーションを超えた運動による健康だけではなく休息やリフレッシュといった気分のリハビリテーションとしての可能性を有していると推察される。 世代間交流による取り組みは特に言語・コミュニケーションに対しては、認知刺激療法や多感覚刺激などの効果が加わることで、コミュニケーションの基盤を安定させ、他者との関わりによってもたらされる人生・生活の質や社会性を高める可能性がある(認知症と軽 度認知障害の人および家族介護者への支援・非薬物的介入ガイドライン2022)。多面的な感覚刺激の有効性や、e-sportsを通じて他者とのコミュニケーションがどの程度生じるかについて、有効性の検証にも取り組みたい。 以上より、本研究課題において、高齢者や学生が世代を超えて目的をもって学修しプログラムを立案し実行している
|