研究課題/領域番号 |
22K02734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松尾 優子 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (60621216)
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研究分担者 |
浅見 廣樹 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00547961)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 橋梁技術者教育 / モンゴル高専 / 橋梁振動実験 / 鋼材暴露試験 / 橋梁維持管理 / 振動実験 / 工学教育 / 国際技術協力 |
研究開始時の研究の概要 |
橋梁の老朽化問題は全世界的な課題であり、特に途上国では施工時の不良と経済発展に伴う急激な交通量増加による劣化が深刻である。そこで損傷の状態から健全度を診断し、補修補強工法の策定、適切な維持管理技術を有する橋梁技術者の育成が急務とされている。しかし経済・社会背景が異なる途上国での維持管理対策では①一般的な高度技術の取得に加え、②安価・簡易的な健全度評価手法の開発と習得、③低LCCで長寿命な耐候性鋼橋の適用性評価が必要となる。そこで本研究では、海外協定校の橋梁研究者ネットワークを活用し、振動実験による橋梁健全度評価法と途上国の橋梁技術を発展融合させた「途上国型橋梁技術者育成教育モデル」を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、橋梁の簡易的な健全度評価手法の開発と、発展途上国における橋梁技術者育成教育モデルを構築することを目的としている。令和5年度は、以下のことを実施した。 1)橋梁振動実験:日本国内で健全なPC橋と老朽化したPC橋を対象に簡易的な橋梁振動実験を行い、損傷がある橋梁の振動特性について検討を行った。令和5年度は、加振方法の違いによるPC橋の振動特性(固有振動数)を対象に実施した。これまで劣化が著しい橋梁では固有振動数の値のばらつきが非常に大きかったが、ある加振条件によりばらつきが抑えられることを確認した。この成果について、令和6年9月に開催される土木学会第79回年次学術講演会において発表する予定である。 2)鋼材腐食:暴露していた鋼板SS400をモンゴル(12月)および香港(3月)に回収し、腐食量、腐食深さの測定を行った。暴露3年後(R7)の腐食量は今後測定する予定である。 3)教育モデルの構築:モンゴルコーセン技術カレッジの学生を対象に、現地の先生と共同して「橋梁維持管理」をテーマとした卒業研究に携わった。卒業研究では12月にはモンゴルに行き、現地の学生と日本の設計コンサルタントの方とともに、橋梁に関する講義を行い、ウランバートル市内の橋梁2橋にて橋梁点検を行った。また点検後の損傷要因を検討するにあたりオンラインで助言等を行った。いずれの橋梁も主な損傷要因は施工時の不良・欠陥などによる初期欠陥、凍結融解による劣化であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、途上国の橋梁教育に関してはモンゴルの学生を対象に橋梁維持管理について実際に学ぶことができた。モンゴルコーセン技術カレッジでは橋梁工学に関する講義がなかったが、卒業研究に参加した学生たちは、非常に興味を持って意欲的に取り組んでくれたため一定の効果があったと推察される。 暴露試験では、昨年変更した計画に基づいて、暴露試験片の設置および回収は予定通り進んでいる。 橋梁振動実験も、昨年度は現地で5回ほど振動実験を行っているが、損傷した橋梁の固有振動数のばらつきが大きく評価までには至っていない。しかし、総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」との評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、引き続き橋梁振動実験を国内にて実施する。これまで固有振動数を対象に行ってきたが、損傷のある橋梁はばらつきが多いため、今年度はたわみ角に着目して行う予定である。ますはモデル実験で実験の妥当性や方法を検討し、数回程度の現地試験を予定している。 腐食の暴露試験に関しては、モンゴル、香港、苫小牧(北海道)の1年暴露後の試験片から腐食量、腐食深さを測定し、温湿度やACMの付着塩分量などからその関係性を調査する。 橋梁教育に関しては、引き続きモンゴル高専の教員とともに協力して進めていく予定である。
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