研究課題/領域番号 |
22K02740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
笹原 未来 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (90572173)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 重度・重複障害 / 相互作用 / コミュニケーション・システム / 教育実践 / 実践的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
重度・重複障害児とのコミュニケーションにおいては、係わり手の側により高いスキルが求められ、係わり手の働きかけが子どもの状態と調和的なものであるかどうかによって、コミュニケーションの実相は大きく変化する。本研究では、重度・重複障害児と係わり手とのコミュニケーションを互いに影響を及ぼし合う一つのシステムとして捉えた上で、コミュニケーションの過程において重度・重複障害児と係わり手とがいかなる相互作用を行なっているのか、その実相を明らかにすることを目的とする。本研究では、重度・重複障害児を対象とした教育実践を行ない、コミュニケーション場面の映像資料の微視的分析を行なうことで、研究課題へ接近する。
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研究実績の概要 |
本研究では、重複障害児と係わり手とのコミュニケーションを互いに影響を及ぼし合う一つのシステムとして捉えた上で、①重度・重複障害児と係わり手との相互作用の実相、②相互作用の質的変容のプロセス、③コミュニケーションを促進するための援助方略、を実践的に明らかにすることを目的としている。2022年度は、6名の重度・重複障害児(者)を対象に、双方向的なコミュニケーションの活性化と共同活動の成立および展開を目的とした教育実践を実施し、映像資料を収集した。事例対象者および収集した教育実践の概要は以下のとおりである。 【事例1:盲ろう】(10セッション) 主に見本合わせの学習を進めている。課題遂行中に手を伸ばして係わり手の身体を探るというように、対象者による係わり手への接近が生じるようになった。【事例2:盲重複障害】(6セッション)双方向的なコミュニケーションは成立しているものの、共同的な活動の成立には至っていない。【事例3:盲ろう】(5セッション) 教材・教具への接近・操作の状況において、係わり手への接近が見られるようになった。【事例4:重度知的障害】(5セッション)対象者は他者との係わり合いに拒否的な行動を示し、普段は居室に閉じこもっている。本事例が高い関心を示す“食べること”を媒介にした三項間のやりとりから、二者間のやりとりがわずかにではあるが展開しつつある状況である。【事例5:ろう重複障害児】(9セッション) 当初、三項間のやりとりが成立しにくい状態であったが、 対象児の注意を係わり手が共有することに努める中で、対象児が係わり手の顔を見る様子が見られるようになった。また、ターンの交代を伴う遊びが展開するようになった。【事例6:超重症児】(4セッション分)当初、身体の動きが見出されない状態であったが、ハンド・アンダー・ハンドによる教材操作状況において、左腕を引くような動きが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
重度・重複障害児(者)を対象とした教育実践の実施と映像資料の収集は、対象児(者)の都合により教育実践を行なえないことがあったため予定を下回ったが、概ね順調に進行している。 本研究費で購入予定であった映像分析・コーディングソフトが予算を超過する見込みであったため、購入ソフトを変更した。新たに購入するソフトの検討・購入に時間を要したため、映像資料の分析はやや遅れている状況である。また、関連する研究論文の収集・整理も予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、重度・重複障害児(者)への教育実践を継続し、映像資料の収集を進めるとともに関連研究領域の文献の収集・整理を行なう。収集した映像資料については、重複障害児と係わり手との相互作用の実相の解明に向けた微視的分析を行なう。映像資料の分析には、2022年度に購入した映像分析ソフトを用いる。2022年度に映像分析ソフトを用いた予備的分析に着手しているので、2023年度は本格的に映像資料の分析を行ない、相互作用の特性と質的変容について検討を行なう予定である。
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