研究課題/領域番号 |
22K02741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
加賀 佳美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20436877)
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研究分担者 |
軍司 敦子 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70392446)
竹市 博臣 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 専任技師 (60242020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 限局性学習症 / 自閉スペクトラム症 / 事象関連電位 / 視線解析 / 紡錘状回 / 楔部 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)では、限局性学習症が併存する場合があり、その中でも特異な視覚認知特性が読字や書字障害をきたしている例を経験する。そこでASD特有の視覚認知能力を明らかにするために、漢字書字時の視線計測を行い、漢字書字のアプローチ方法について定量化を行う。また漢字正誤課題、経時的漢字書き順課題提示時の脳波を測定し、事象関連電位、周波数解析、ネットワーク解析を行って群間差を明らかにする。そして病態生理に基づいた学習支援法プログラムを作成する。
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研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)では、そのばらつきの多い認知特性から学習のつまずきを示す例も少なくない。特にASDに読字障害(発達性ディスレクシア:DD)や書字障害が併存する場合があり、特異的な視覚認知特性が学習困難をもたらすというDD単独例とは異なる複雑な病態生理的背景が存在する可能性が考えられる。そこで本研究では、ASDの特殊な視覚認知機能に着目し、ASD特有の読字や書字障害の病態を明らかにし、学習困難状態の支援に役立てることを目的とする。 2021年度までに行った漢字課題を用いて事象関連磁場を解析した実験について、定型発達児(TDC)、及びDD児、ADHD併存のDD児について解析を行った。DD児では、ADHDの併存の有無にかかわらず側副溝後横領域posterior transverse region of the collateral sulcus (pCoS)で、200msec以降のM2活性がTDCと差に比べて有意に低くなっており、この活動は漢字書字の成績と正の相関を示した。すなわち書字能力にpCoSでの活動が関与しいる可能性が示唆された。 次に、刺激提示の作成のため、ASD併存のDD児に対して、書字特徴についての解析を行った。レイの複雑図形を模写させると、点数は下がらないが、パーツ毎に分けて模写する傾向が見られた。そのため即時記憶課題では、形が崩れてしまう傾向を認めた。漢字の間違いのパターンでは、書き順に問題が見られ、「国がまえ」を、四角の一筆書きしたり、本来なら中心部を貫く縦線(「車」など)を、分断して書くことなどが特徴的であった。以上より課題作成では、漢字を書く経時的な経過を追う必要があることがわかった。そのため、めがね型の視線追跡装置を用い、視線解析を行うとともに書字の行動が記録できるビデオ装置を使用することとし、現在装置の実証実験を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度より継続していた漢字刺激による脳磁図の定型発達児およびディスレクシア児(DD)のデータ解析に時間を要したため、新たな実験を開始することが出来なかった。現在解析を終了し、論文投稿中である。また新たな課題の作成のため、漢字誤字パターンを患者より収集し、解析を行った。これに基づいて、漢字課題を作成し、視線解析の実験装置を構築中である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、視線解析と事象関連電位用の課題作成を分けて行う必要がある。視線解析用の課題作成は、解析装置が整い次第実証実験を始める。また事象関連電位では、前年度の脳磁図の課題に準じる必要があるが、電位と磁場では課題提示の仕方が異なり工夫が必要である。これについては共同研究者の電気生理学のエキスパートである横浜国立大学、軍司敦子氏に協力を仰ぎ進めていきたい。
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