研究課題/領域番号 |
22K02744
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松浦 直己 三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 児童自立支援施設 / 非行 / 発達障害 / 被虐待 / 矯正教育 / 効果評価 / 少年非行 / 行動の問題 / MRI / 神経学的変容 |
研究開始時の研究の概要 |
日本はきわめて非行が少ない国である。それは教育や社会福祉が充実していることも影響しているが、長年にわたって、超ハイリスク児である、少年院や児童自立支援施設入所者に対する、きめ細やかでインテンシブな矯正教育の効果が、長期間にわたって効果を発現し続けたことに由来すると考えられる。本研究では、その矯正教育効果について、心理学的、行動学的、神経科学的に効果を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、対象児を入所時と退所時にMRIで評価し(抑うつ尺度や自尊感情尺度など、多様な行動・心理尺度評価と組み合わせる)、深刻な被虐待経験を有する非行少年の神経学的リカバリーメカニズムを解明することであり、矯正教育効果を検証することである。研究対象施設である神戸市立若葉学園は児童自立支援施設である。入所者の多くは何らかの精神障害や発達障害を有していることが多く、児童期の被虐待経験も深刻な状態である。調査施設は夫婦小舎制を採用している。夫婦小舎制とは深刻に非行化した少年らを疑似家族的環境で再教育することにより、非行性の除去や様々な対人関係スキルを構築させることを目指している。本年度はこの児童自立支援施設の構造化について研究を進めた。対応の難しい子ども達に適切な教育を提供するためには、教育環境の構造化をどのように進めるかが重要である。構造化は2つの軸で説明できる。1つは「厳守すべきルールの透明度」で、もう一つは「やるべきことの明瞭度」夫婦小舎制では、教育環境の構造化のカギを握るのは夫婦である寮長と寮母である。交替制の施設と比較すると、夫婦小舎制では、入所対象児に対してこの2つの軸の到達度や達成度を明瞭に示すことが容易かつ簡便であることが示唆された。この成果は決定的に重要であると思われた。なぜなら、構造化の水準を高く設定することこそが教育効果を高めることにつながることである。今後はこのモデルが本施設のみならず、他の児童自立支援施設、そして他の教育環境(少年院や学校教育)でも応用可能かを検証する必要がある調査では協力施設である神戸市立若葉学園の協力を得て、順調に対象者に研究協力を依頼し、心理検査等実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心理尺度については、概ね順調に評価し蓄積できている。若葉学園のみならず、他の児童自立支援施設のデータも蓄積しつつあり、1年後には他の施設との比較や評価が可能となる。同様の研究を進める他の研究者らとも、共同して進める研究が存在し、彼らと協働しながら、本研究目的に解明を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は3年計画の2年目であり、堅実にデータ収集を行いつつ、分析や研究発表を実施する予定である。また得られたデータの分析からの知見は、児童自立支援施設での研修や、他の司法矯正関係施設(少年鑑別所、家庭裁判所)での講義でも広く周知し活用していく予定である。
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