研究課題/領域番号 |
22K02745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
井澤 信三 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50324950)
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研究分担者 |
岡村 章司 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00610346)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / カウンセリング / 相談支援 / 言語面接 / 青年・若者 / 行動理論 / 青年 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症のある青年へのカウンセリングアプローチに関して、① ASDの特性から生じる「言語面接」における困難さとそれを解決するための条件の検討、② 面接回数の制限・制約の程度に対応した臨床アプローチの検討(面接回数が1回から少数回の場合には短期的なアプローチ、一方、面接回数が定期的・複数回の場合には長期的な臨床的アプローチが求められるため、その面接回数に対応するアプローチの必要性)、③ ASD青年の抱える生活上の課題と心理的な課題が絡み合った中での短期・長期の臨床的アプローチの理論的根拠やそのプロセス・方法・内容の具体化、を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、(1)ASDのある青年へのカウンセリング・プロセスにおける困難さの明確化、ASDの特性に応じた工夫点・配慮点に関する検討するために、以下の3つの研究について、昨年度から引き続きすすめている。 研究1:「相談による支援」の理論的な枠組みに関する文献検討:国内外における「ASDのある青年等を対象としたカウンセリング」等に関する先行研究(学術雑誌、大学研究紀要、報告書等、学術図書など)を幅広く収集し、以下の5つの条件・内容、「対象青年のプロフィール(生育歴・教育歴、知的発達レベルや行動特性・特徴など)」「抱える問題の内容・種類」「相談による支援方法(カウンセリング的アプローチ及び問題解決的アプローチの具体的内容)」「プロセス(関係形成→問題分析→目標設定→目標行動支援→フィードバック・リフレクション)」「言語面接におけるASD対応の困難さ、それに対する工夫・配慮」について、継続的に整理・分析している。 研究2:ASD青年への「相談による支援」に関するインタビュー調査:高等学校及び大学のキャンパスカウンセラー、発達障害者支援センター、就労移行支援事業所、就労・生活支援センター等の相談支援員をインタビュー対象とした。インタビュー本調査(2023年度)を行うための予備調査、特に、相談回数・相談時間、相談内容、相談方法、相談結果、さらに各立場からの相談による支援の現状と課題、ASD青年特有の面談の困難さとそれへの対応方法等について継続的に実施している。 研究3:ASD青年への「相談による支援」に関する事例研究:研究代表者及び研究分担者が個別的に実施している「ASD青年を対象とした相談による支援事例」について、当事者及び保護者への承諾を得た上で、「相談による支援(カウンセリング及び問題解決アプローチ)」の「言語面接」を文字化し、整理・分析するためのデータ収集を継続的に実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、以下の3つの研究を実施してきた。 研究1:「相談による支援」の理論的な枠組みに関する文献検討では、現在、整理・分析中にある。これまでまとめた「言語面接」における関連するデータについては、自著(井澤, 2022)に掲載している。また、その内容の一部は、2023年度日本教育心理学会第65回・自主シンポジウム「ASD自閉スぺクトラム症者の理解,学校適応と支援スタンスを考える」にて、話題提供「ASD自閉スぺクトラム症者の理解,学校適応と支援スタンスを考える」を行った。さらに、データ分析の完成次第、学術雑誌に論文として投稿を予定している。 研究2:ASD青年への「相談による支援」に関するインタビュー調査については、昨年度分に加えて、3名(発達障害者支援センター相談支援員)に対して実施することができた。本インタビュー調査は、2024年度も継続し、データ数を増した上で分析に進んでいく。 研究3:ASD青年への「相談による支援」に関する事例研究:研究代表者及び研究分担者が個別的に実施している「ASD青年を対象とした相談による支援事例」について、当事者及び保護者への承諾を得た上で、「相談による支援(カウンセリング及び問題解決アプローチ)」の「言語面接」を文字化し、整理・分析するためのデータ収集を行った。昨年度分に加え、相談支援の言語データ2事例分が収集した。いずれも短期的なカウンセリングであるため、長期・継続的なカウンセリング・プロセスにおける「言語面接」をデータ化していく。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究1-3を継続してすすめていく。 研究1:「相談による支援」の理論的な枠組みに関する文献検討では、現在、整理・分析中にある。本文献レビュー研究は本年度の完成を目指してすすめていく。その成果は学術雑誌に論文として投稿を予定している。 研究2:ASD青年への「相談による支援」に関するインタビュー調査については、合計6名(大学障害学生支援室相談員、発達障害者支援センター相談支援員や職業カウンセラー等)に対して実施することができた。今年度、さらに5名程度のインタビュー対象者を予定しており、得られたインタビューデータの内容分析(content analysis)によるデータ整理・分析を実施する。 研究3:ASD青年への「相談による支援」に関する事例研究:研究代表者及び研究分担者が個別的に実施している「ASD青年を対象とした相談による支援事例」について、当事者及び保護者への承諾を得た上で、「相談による支援(カウンセリング及び問題解決アプローチ)」の「言語面接」を文字化し、整理・分析するためのデータ収集を行った。現在、短期間での相談支援の言語データ2事例分が収集されている。今後、分析事例を拡大し、さらに長期的なカウンセリングの経過における「言語面接」をデータ化し、継続して作業を実施していく。
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