研究課題/領域番号 |
22K02751
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
菅野 和恵 東海大学, 健康学部, 教授 (80375451)
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研究分担者 |
柘植 美文 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 主任研究員 (10836000)
岡本 明博 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (20531784)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 知的障害 / ICT / 書記表現 / デジタル・インクルージョン / 特別支援教育 / 知的障がい |
研究開始時の研究の概要 |
知的障がいのある児童生徒の書記表現の支援において、ICTは、コミュニケーションツールの「代替」として用いられたり、筆記具を用いた書字動作、いわゆる「アナログ」と合わせて用いられたり、様々な角度から実践が取り組まれている。書記表現の発達支援を検討する上で、ICTの活用を盛り込んだ研究をする必要があると考える。本研究は、知的障がいのある児童生徒の書記表現について、筆記具を使った書字動作に限定せず、タブレットPC等を用いて文字をタイプしたり選択したりして表現することも含めて検討する。そして、児童生徒の発達特徴に基づいたICTを用いた書記表現支援プログラムを開発することを目的として研究を実施する。
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研究実績の概要 |
障がいのある児童生徒の学習支援やコミュニケーションツールとして、タブレットPCなどのICT活用が進んでいる。様々なシーンにおいてICTが身近になっているなか、テクノロジー利用を盛りこんだ研究をする必要がある。本研究の目的は、知的障がいのある児童生徒のICTを利用した書記表現の発達的特徴を明らかにし、書記表現支援プログラムを開発することである。 2022年度は、研究課題に関連する文献や資料を収集し研究動向を整理するとともに、第一研究である「知的障がいのある生徒のICTを利用した書記表現の発達的特徴に関する研究」に取り組んだ。特別支援学校に研究協力依頼をし、研究許可がおりた学校において、在籍する生徒の保護者に本研究の参加協力を案内してもらった。保護者の同意が得られた生徒に、研究内容を説明し、研究参加者を募集した。 研究参加者にタブレットPCと専用ペンシルを用いて作文課題を試みた。ある生徒は、複数の文字入力の方法からキーボードのかな入力を選択し、体験や気持ちを想起するために実施した状況絵を用いたやり取りの後、15分ほどで作文を完成させた。作文には、事前のやり取りで語られなかった内容が書かれており、文章を考える中で思い出したことを付け加えたり、内容を整理しながら書いたりしたと考えられた。また、本生徒は、タブレット使用の利点について、すぐ消せる、紙が破れる心配がない、字が下手なことを気にしなくてよいなどと話していた。ICTを利用した書記表現活動は、微細運動の苦手さや認知面の補助手段として有効であることが認められた。 また、ICTを利用することによる知的障がいのある生徒にもたらす潜在的な利益を把握することができた。デジタル・インクルージョンに向けた取り組みとしての重要性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度においては、第一研究である「知的障がいのある生徒のICTを利用した書記表現の発達的特徴に関する研究」に着手した。倫理申請・承認を経て、研究参加者のリクルートを開始した。具体的には、研究許可がおりた学校において、在籍する生徒の保護者に本研究の参加協力を案内してもらい、保護者の同意が得られた生徒に、研究内容を説明し、研究参加者を募集するというプロセスですすめた。学校行事やコロナ対応等で、調査日を2022年度内に設定することができない学校があったが、データ収集を開始することができた。そのため、おおむね順調に進展しているといえる。引き続き、データ収集を続けていく予定である。 また、研究期間全体を通して取り組むことを予定している研究動向の整理も行ってきた。 研究代表者と研究分担者は、定例的に研究ミーティングを開いてきた。研究の進捗状況について確認するとともに、各自が収集した研究課題に関連する文献や資料をもとに、意見交換を重ねてきた。今後も継続的に取り組んでいく。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に引き続き、第一研究である「知的障がいのある生徒のICTを利用した書記表現の発達的特徴に関する研究」を進めていく。日常的に文字や文章を書くことを行っている知的障害のある生徒を研究参加者とし、作文課題と言語発達評価課題を実施する。作文課題は、タブレットPCを用い、タッチペンやタッチキーボードを使い、文章を綴るものである。作文課題時における児童生徒の反応(動作・言語)と作文内容を分析し、書記表現の特徴を検討する。また、言語発達評価結果を用い、書記表現の特徴を整理することにより、発達的変化を検討することを計画している。 また、2023年度は、関連する学会のICTの利活用に関わる自主シンポジウムにおいて、話題提供することを予定している。研究の分析や考察の助言を受け、書記表現支援プログラム開発の一助としていきたい。 研究期間全体を通して、ICTを活用した障がいのある子どもたちの教育実践を研究するグループへの参加や関連する学会に出席することで、研究課題に関連する文献や資料を収集し、継続的に研究動向を整理していく。
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