研究課題/領域番号 |
22K02756
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
鈴木 恵太 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50582475)
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研究分担者 |
多良 静也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00294819)
Hall James 岩手大学, 教育学部, 教授 (80361038)
是永 かな子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90380302)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 学習障害 / 英語 / スクリーニング / E-Screener / E-screener / 指導法 / インクルーシブ / ディスレクシア / 指導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、英語学習に特異的な弱さを示す児童生徒に対し、つまずきを早期に評価し効果的な指導につなげる包括的な評価-指導パッケージを確立することである。 新たに開発された英語学習の弱さを早期にスクリーニングする「E-screener」の標準化を行うとともに、結果から示唆される効果的な指導・支援方略をまとめる。
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研究実績の概要 |
本研究は英語学習に特異的な弱さを示す児童生徒に対し英語学習の弱さを早期にスクリーニングする方法の開発とつまずきと背景的特性に応じた効果的な学習指導法の開発を行うものである。 今年度は主に評価法(E-Screener)に関する研究を進めることとし大きく2つの検討を行った。 研究1では、これまでに収集したデータ(n=198)を対象として得点分布や学年差等に関する基礎的検討を行った。問題1~7のクロンバックαは0.76で内的一貫性があると考えられた。問題2および問題5で1年生の得点が他学年より低いことが示されたが、この2つの問題はいずれも有意味単語を刺激とした問題であったことから、学習習熟度の影響が考えられた。 研究2では、E-Screenerとともに教員に対する聞き取り調査を行いカットオフ基準の検討を行った。対象はA県内B公立中学校で、生徒に対してE-Screenerを実施するとともに、英語担当教員に対する聞き取りから「英語学習に関する苦手さ」を調査した。分析では、聞き取り結果から各生徒を「苦手さがある(at risk)」または「苦手さがない(non-risk)」に分類し、それを状態変数としたROC分析を行った。検定変数としてはE-Screenerの合計点を取り上げ、5%tile、10%tileおよび20%tileの3つのカットオフ基準を設定した。分析の結果、最も高いAUCを示したのは20%tileを基準としたカットオフ(AUC=0.837)であった。ここからカットオフ基準として20%tileを用いることが示唆された。 今年度の研究から、評価法の特徴が明らかになった。特にカットオフ基準の検討からはE-Screenerが十分なスクリーニング機能を有することが考えられた。今後は、さらに対象者数を増やしで標準化に向けた検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、英語学習に特異的な弱さを示す子どもに対しつまずきを早期に評価し効果的な指導を展開する包括的な支援システムを確立することを大きな目標としている。研究は大きく、英語学習の弱さを早期評価法の開発(評価法開発)と、それを踏まえた効果的な学習指導法の開発から構成される。 2023年度は評価法開発を中心に大きく2つの研究を行った。研究1では、これまでに収集した全データ(n=198)を対象として得点分布や学年差等の基礎的な検討を行った。研究2では、中学校1校を対象としてE-Screenerを実施するとともに英語担当教員に対して聞き取り調査を行い両者の関連からカットオフ値の検討を行った。 研究1の結果から、全ての問題のクロンバックαは十分に高く(α=0.76)、内的一貫性があることが示された。学年差の検討からは問題2および問題5で1年生が他学年より低得点であることが示された。問題2は英単語の意味を答える内容、問題5は読み上げられた英単語の綴りを答える内容であったことから、英単語に関する知識が反映される。したがって、この結果のこの背景として主に学習習熟度の影響が大きいと考えられた。 研究2では教員に対する聞き取り調査をもとに各生徒を「英語の読み書きに『苦手さがある)』/『苦手さがない』」に分類し、それを状態変数としたROC分析を行った。検定変数にはE-Screenerの合計点を取り上げ、5%tile、10%tileおよび20%tileの3つを設定した。分析の結果、最も高いAUCを示したのは20%tileを基準とした場合(AUC=0.837)であった。ここから、E-Screenerには英語の読み書きの弱さのスクリーニング能があること、またカットオフ基準として20%tileを用いることが望ましいことが考えられた。 以上の検討から、E-Screenerの得点分布といった基礎的な特徴やスクリーニング機能が示された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究からE-Screenerの基礎的な特性(得点分布やカットオフ基準)が明らかとなった。今後は、複数の地域の学校を対象とした大規模集団での調査などからカットオフ基準や抽出率などスクリーニング機能の確立を目指した検討を行う。また、実践協力校を対象としてE-Screenerの結果をもとに授業づくりを工夫していく評価と指導に関する実践的検討も行う。さらに学習指導法開発についても個別指導や集団指導の両面から特性に応じた工夫・配慮点の検討を行う予定である。これまでに得られた成果をまとめ学会や論文などで発表していく。
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