研究課題/領域番号 |
22K02770
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
|
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
岡村 章司 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (00610346)
|
研究分担者 |
井澤 信三 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50324950)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 保護者参画 / 保護者と教師の協働 / 特別支援学校 / システム / 行動問題 / 一次支援 / 二次支援 / システムモデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、特別支援学校を対象に、行動問題の予防を目的とした全保護者に対する一次支援、行動問題を示す、もしくはリスクのある発達障害児の保護者に対する二次支援から成る、保護者参画システムモデルを構築することを目的とする。構築するにあたり、①発達障害児の保護者と学校が協働した支援に関する文献研究、②学校現場における保護者参画の障壁や促進要因に関する調査研究、③先進的な取り組みを行う自治体や学校の調査研究、④保護者と教師が協働して取り組む実践研究を実施し、それらの知見を活かしていく。
|
研究実績の概要 |
特別支援学校における保護者参画システムモデルを検討するために、文献研究、調査研究を行うとともに、実践研究を行った。 Family-School Partnershipに関する学術図書の講読会を定期的に研究者と実施し、海外での保護者への支援体制、一次支援や二次支援の概要について整理した。保護者参画の障壁や促進要因を明らかにすることを目的に、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターを対象に半構造化面接を行い、すべての対象者のインタビューが終了した。先進的な取組を知ることを目的に、学会のシンポジウムにおいて、「コミュニティスクール」「トライアングルプロジェクト」「家庭教育支援」を実施している自治体や学校及び関係団体の方々からの多様な取組を踏まえ、特別支援学校が実行可能な保護者支援のあり方について協議した。改めて予防的対応や地域や関係機関連携の重要性を確認することができた。 実践研究では、全保護者に対する一次支援として、特別支援学校においてPTA座談会を実施した。子育てに関するワークショップは保護者にとって自身の子どもとの関わりをふり返り、教師との連携を促す機会になった。行動問題を示す発達障害児の保護者に対する二次支援として実施した、行動面での困難を示す児童の保護者と教師を対象に、行動記録をもとに支援方法を検討するプログラムに関する実践研究が学術論文に掲載された。 その他に、日本における保護者支援の現状を紹介する論文が国際ジャーナルに掲載された。保護者支援プログラムのさらなる開発に向けて、保護者がファシリテーターとして参画するペアレント・トレーニングを実施し、参加者とファシリテーターにとっての効果を示すことができた。また、日本行動分析学会では行動問題への支援の指針となるガイドライン作成に関与し、これまでの功績が評価され、日本LD学会で実践奨励賞の受賞者講演を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保護者参画システムモデルを構築するにあたり、①発達障害児の保護者と学校が協働した支援に関する文献研究、②学校現場における保護者参画の障壁や促進要因に関する調査研究、③先進的な取り組みを行う自治体や学校の調査研究、④保護者と教師が協働して取り組む実践研究を実施する。 ①については、国内外における発達障害児の保護者と学校が協働した支援に関する先行研究に限らず、学校全体でのポジティブ行動支援における家族統合型システムに関する学術図書をもとに、一次支援や二次支援の概要について整理した。 ②については、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターを対象にした半構造化面接については、14名に対して実施することができた。学校現場における保護者参画の障壁や促進要因を明らかにすることを目的に分析する予定である。 ③については、先進的な取り組みを行う自治体や学校の調査研究では視察を行うことはできなかったものの、資料収集に加えて、学会での複数のシンポジウムで関係者と協議することができ、グッドプラクティスの具体や現状の支援システムを確認することができた。 ④の保護者と教師が協働して取り組む実践研究については、学校全体で実施する全保護者に対する一次支援に関する研究を行うことができ、予防的な支援の効果を明らかにすることができた。かつ、行動問題を示す発達障害児の保護者に対する二次支援に関する研究は学術論文として掲載された。最終年度に学校現場で実践研究を行うために、特別支援学校の教師との共同体制も取れているため、さらに実践研究を積み重ねていくことは可能な状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
保護者と教師が協働して取り組む実践研究を引き続き行い、各学校や教師、保護者の実態に応じた、学校現場で実行可能な協働のあり方を追求する。行動問題を示す、もしくはリスクのある発達障害児の保護者を対象とした二次支援では、学校での支援の充実を図るとともに、教師が保護者とともに家庭での介入計画を立案し保護者の実践をともに評価することを目的とする。特別支援学校の教師を対象とした研究会を定期的に行い、研究代表者が担任、特別支援教育コーディネーターや学年代表等の学校内のキーパーソンへのコンサルテーションを行い、学校現場での実践を推進していく。校内での事例検討会を通した保護者と教師の協働を促す取り組みを令和5年度に試行的に実施できたため、それらの成果を踏まえて研究として発展させる。行動問題の予防を目的とした、すべての保護者を対象とした一次支援では、家庭での子どもの関わりを促すICTを用いた取り組みを行う予定である。また、行動問題を示す発達障害児の保護者と教師の協働に関する現状や課題について検討を行うため、学会でのシンポジウムを企画している。 調査研究については、インタビュー調査の結果を分析・整理し、学校現場における保護者参画の障壁や促進要因を明らかにするために論文執筆を進める。文献研究については、これまで整理してきた内容を踏まえて、改めてシステマティックレビューを行う予定にしている。 最終的には、調査研究や実践研究の知見を踏まえ、わが国の学校現場に適合した一次支援、二次支援から成る保護者参画システムモデルを研究分担者と協議しながら構築する。学校や児童生徒の実態に応じた関係機関や専門家の関与の程度や方法についても整理していき、各立場の教師が保護者と協働して取り組むべき内容や方法を明らかにする。
|