研究課題/領域番号 |
22K02772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉田 ゆり 長崎大学, 教育学部, 教授 (20290661)
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研究分担者 |
田中 真理 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70274412)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ADHD / 原因帰属スタイル / 修業困難 / 心理的不適応 / 自己効力感 / 大学生 / 介入プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、発達障害学生の中でも特に修業困難の生じやすい注意欠如多動症(ADHD)に焦点化し、学生の修業と支援に直接的に影響を及ぼすと思われる原因帰属スタイル特性を半構造化面接(研究1)及び実験(研究2)の2つアプローチにより多角的に明らかにし、ADHD学生と支援者間の、学生の学習や行動に対する評価や障害認知のズレに関する仮設生成を行ったうえで(研究3)、本人の原因帰属スタイルの特性を活用・修正し、周囲の支援者の認知や支援を促進するための介入プログラムを開発・試行・検証すること(研究4)で、大学での包括的支援モデルを構築する(研究5)。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、以下の内容を行った。 ①予備研究:ADHDの青年期後期~成人期前期及び大学生の研究に関する研究動向を展望論文としてまとめ、投稿準備中である。 ②研究1-1:2019~2021年度に収集した、休学を経験し復学したADHD学生7名の面接データを休学まで・休学中・復学時の状況を整理したうえで原因帰属に関する記述を抜き出して分析した。令和4年度に日本特殊教育学会にて発表したがその後も再分析等を続け、休学までに修業困難の認知があり、抑うつ症状を中心とした心理的不適応状況に陥っていたことを確認したうえで、負の抑うつ的帰属スタイルを獲得していたことを見出した。また、復学時には正・負ともに抑うつ的帰属スタイルがみられなかった。よって、ADHD学生が修業困難を認知した際、それを契機に心理的不適応が生起するかどうかには、原因帰属スタイルのあり方が関与している可能性があることを明らかにした。令和5年7月に日本特殊教育学会の学会誌である『特殊教育学研究』に投稿し、1月に再査読となり、さらに論文を修正したうえで再投稿を行った。 ③研究1-2:令和4年度に実施した大学生90名を対象とした質問紙調査の結果をまとめ、ADHD特性および実行機能障害が大学の修業に及ぼす影響について検証した結果、ADHD傾向の高さ及び実行機能障害の高さは、修学困難の認知と関連があることを重回帰分析により確認した。日本特殊教育学会第61回大会(於:横浜国立大学)においてポスター発表を行った。現在、児童青年精神医学会の学会誌である『児童青年精神医学とその近接領域』に投稿準備中である。 ④研究2 通常時(困難時以外)のADHD学生の原因帰属スタイルを明確化することを目的に、実験及び面接調査について研究分担者との協議を繰り返し研究デザインを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度には、予備研究及び研究1のうち、ADHD学生を対象とした面接調査を終了した。研究1-1(面接調査)である、令和4年度に行った予備研究により、特に原因帰属理論の分析枠を作成することができたが、この分析枠を用いて、令和5年度には休学・復学経験のあるADHD学生の面接調査による研究成果を論文化し学会誌に投稿し、査読結果を受けて修正、再投稿を済ませている。 また、研究1-2(質問紙調査)として並行して行った大学生90名への質問紙調査の結果も、学会にてポスター発表を行い、現在投稿準備中まで進んでいる。 さらに研究2(実験調査)についての研究デザインを作成し、データ収集の見通しが立っている。研究協力者のリクルートについてもおおよそ本人からの内諾を得ている。 上記の通り、予備研究及び研究1の段階は論文化・投稿を残してほぼ終了しており、令和5年度の計画は十分実施することができたため、研究は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度の研究1のうち、ADHD学生本人を対象とした調査をほぼ終了させることができたため、令和6年度はこれらの研究成果について、研究1-1の学会誌掲載を目指した修正、研究1-2の投稿を確実に行う。 さらに令和6年度には、研究1(面接面接)のうち1-3である支援者(担当する教員やサポーター:対象5~7名程度を予定)を対象とした半構造化面接を実施、データ収集する。その結果を用いて、研究1-1及び1-2との比較検討を行い、ADHD学生本人と支援者の認知間のズレがあるのかどうかを検証する。これは令和6年度中に分析・検討の終了を目指し、令和7年度以降に学会発表、論文化を行う。 研究2(実験調査)においてADHD学生の原因帰属スタイルに関する実験を行う。実験は30名程度を予定し、作成したビネットへの言語反応データを収集する。研究デザインまでは終了しているため、研究協力者となるADHD学生のリクルートとデータの収集に着手する。データがそろい次第、分析を行う。 令和6年度以降は、それまでの調査・実験を踏まえ、論文化を進めるとともに、介入→モデル構築、の流れを展開する。介入研究は事例研究となる予定である。最終年度である令和7年度には、研究1及び2の結果を踏まえ、研究3(介入)として原因帰属スタイルを活用、修正するプログラムの開発と試行、研究4として大学における支援モデルの構築に至るように進める予定である。
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