研究課題/領域番号 |
22K02782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
入山 満恵子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40389953)
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研究分担者 |
野波 尚子 東京医科大学, 医学部, 言語聴覚士 (00725682)
遠藤 俊介 埼玉県立小児医療センター (臨床研究部), 保健発達部, 技師 (30941687)
田中 裕美子 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60337433)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 再生ナラティブ / 言語評価 / マクロ構造 / ミクロ構造 / 定型発達 / ナラティブ / 学習言語 / 発話誘発 / 話しことばの評価と指導 / 評価法 / 指導法 |
研究開始時の研究の概要 |
幼児期後半から学童期にかけて、「ことばは出始めて会話もできるがまとまったお話ができない」「話しているが意図が伝わらない」「長い言語指示の理解がよくない」など、学習言語に躓いている子どもたちは少なからずいるものの、その実態を的確に評価し、かつ効率よく指導することは難しい。本研究では、「ナラティブ」を用いた言語評価法および指導法を開発し、「話しているけど心配」な子どもたちの言語の問題にアプローチする。
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研究実績の概要 |
2023年度は前年度3月の定型データ集積結果に基づき、更にデータ数を増やすべく都内での定型発達データ集積を進め、年中から小3までの約50名の協力を得て作業を進めた。 応募者は標準化検査としてK-ABCⅡおよびWISC-Ⅴの一部課題を実施し、標準化検査の成績が平均域以下の児などを除外した。最終的に参加できた応募者46名のうち40名(男児10名、女児30名)を分析対象とした。ナラティブ再生課題で得られた発話について、マクロ構造とミクロ構造(語彙)の結果の経年変化を分析した。 結果、マクロ構造の合計(37点満点)は年長(n=13)21.9±8.3点、小1(n=13)26.2±6.4点、小2(n=14)29.9±4.6点であり、年長から小2にかけて増加した。中でも物語の「起」の表出と「動作主の明確さ」に経年的な増加がみられた。ミクロ構造(語彙)の合計(18点満点)は年長8.2±3.1点、小1は10.0±2.4点、小2は11.8±1.9点であり、マクロ構造と同様に年長から小2にかけて増加がみられた。ミクロ構造の分析項目の「副詞」は年長で表出が0だった一方で、小2になると3割の児で表出がみられており、学年差が大きかった。小3はデータ数が不足している状況で、今後の積み上げを目指す。 年長から小2にかけてナラティブのマクロ構造とミクロ構造は経年変化に伴って増加しており、本課題はこの時期の言語評価法として有用であることが示唆された。特にマクロ構造の評価項目の中で、物語の導入部である「起」の表出と「動作主の明確さ」は言語発達障害の可能性を判断する指標となる可能性が考えられた。小2以降のデータ集積や、マクロ構造やミクロ構造の量的分析だけでなく質的分析を進めることは今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、言語評価開発のための定型データの集積はおおむね順調に進んでおり、また、指導法については分担者、協力者それぞれが個別事例で実践を進めているところであり、両者ともに着実に成果を出している。 ある程度までデータ数が集積されたら、より多くの臨床家の手に渡るよう書籍化等を目指し作成準備に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前項「実績の概要」でも示した通り、言語評価法開発のためのデータ集積上、明確になった課題「小2~小3にかけてのデータ集積」「マクロ構造、ミクロ構造の量的分析だけでなく質的分析を進める」との点は残りの期間で取り組むべき課題となっている。 また、評価法、指導法ともにより多くの臨床家の手に渡るようにするためにはどうしても書籍として出版が必要になるため、そこに付属するマニュアル作成を進める必要がある。 同時に、書籍として出版しただけでは「正しい使用法」まで行き届かないリスクがあるため、現在は分担者、協力者とも定期的なミーティングを開催した上で、「使い方を常に発信するための方法」を検討中である。 現在、考えられているのが定期的な「セミナー」開催により、常に開発した評価法、指導法の適切な使い方を伝える機会を持つ、ということと、併せてHPなどで動画を含めたサイトを用意し、前者同様に、適切な使い方を常に提示しておくことでより効果を実感できるツールとして完成させることであり、これらの手法を実現することが、今後の研究の指針として取り組むべき課題と考えている。
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