研究課題/領域番号 |
22K02787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
立浪 朋子 新見公立大学, 健康科学部, 講師 (30845392)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 感化院 / 少年教護院 / 石川県 / 障害児教育史 / 感化教育史 / 学校教育 / 少年矯正施設 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、感化院・少年教護院で蓄積された障害児およびその教育に関する知識・経験が、戦前から戦後の学校教育にいかなる影響があったかを明らかにすることを目的とする。なかでも、少年教護院職員が後に自治体の有力者となるなど、感化院・少年教護院の知見の学校教育への反映があったと考えられる石川県を中心に着目する。これにより、感化院・少年教教護院での処遇実践の障害児教育史における意義を検証していく。
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研究実績の概要 |
本研究は、不良児や障害児の教育を行っていた戦前の感化院・少年教護院における教育実践が、戦前から戦後の学校教育にいかなる影響があったかを石川県をはじめ地方の感化院・少年教護院に焦点を当て、明らかにするものである。2023年度は、主に次の3点の研究を進めた。 第一に、感化院・少年教護院の職員にとって、学校教育にはない専門性として自負心の源となっていたことが先行研究でも指摘されている家族制度の具体的な実践内容、および当時におけるその評価について昨年度に引き続き分析を深めた。なかでも感化院制度の開始期における、家族制度の全国的な拡大の背景にある各感化院の工夫を、特に石川県の感化院に着目しつつ明らかにした。すなわち、石川県の感化院における独自の工夫と、全国の感化院で見られた工夫の相違点と類似点および家族制度の拡大における意義を明らかにした。 第二に、感化院以前の不良の児童に対する教育的処遇についても先行研究の整理および新たな資料を含めた分析を進めた。 これらの研究により、感化院・少年教護院が学校教育に影響を与えられると考えていた処遇の、比較的初期の時期における具体的な内容およびその評価について新たな成果を得た。研究成果は論文にまとめ投稿し、査読の採択を経て刊行された。 第三に、戦後の石川県の教育行政および児童福祉において重要な役割を果たした人物の資料等を現地にて収集したほか、感化院・少年教護院の歴史研究全体に関する先行研究の整理を進めた。特に重要な文献については書評にまとめ全国学会誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、感化院・少年教護院の職員にとって、学校教育にはない専門性として自負心の源となっていたことが先行研究でも指摘されている家族制度の実践、および当時におけるその評価について昨年に引き続き分析を進め、感化院の専門性とされる家族制度の全国的な開始と実践にあたっての課題および課題改善の工夫を含めた家族制度の展開を明らかにした。感化院以前に教育的処遇が見られたことで知られる川越児童保護学校の実践についても、先行研究を整理した上で、当時の学校教育と比較し学校教育とは異なった視点からの教育実践を究明した。これらの研究成果は論文としてまとめ投稿し査読採択を経て刊行することができた。さらに、今後の研究に必要な戦後以降の教護院時代の資料を現地にて収集することができた。以上からおおむね順調な進展と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度は、感化院・少年教護院における、不良児、障害児、被虐待児といった多様な課題を抱える子どもの教育に対する専門性が、戦前から戦後にかけ、学校教育においてどのように理解され活用されたか、あるいはされなかったのかを明らかにしていく。 このような専門性は現代の学校教育でも不可欠となっており、歴史研究の知見から現代の学校教育および児童福祉における、多様な課題を背景に持つ子どもの支援に寄与することを目指す。
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