研究課題/領域番号 |
22K02794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
阿部 敬信 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (90580613)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 日本手話 / 書き言葉としての日本語 / バイリンガルろう教育 / 人工内耳 / 音声日本語 / バイリンガル教育 |
研究開始時の研究の概要 |
日本手話と書き言葉の日本語によるバイリンガル環境で学ぶ聴覚障害教育の場にも、人工内耳を装用し、第一言語である日本手話と、第二言語である日本語も書き言葉に加えて音声による日本語の習得を目指す子どもが入学してくるようになった。そこで、本研究では、日本手話・日本語バイリンガル環境にある聴覚障害幼児児童生徒の内、人工内耳装用児や中等度難聴の補聴器装用児に、音声日本語といった音声も併用した教育を受ける幼児児童生徒と日本手話と書記日本語の視覚モードのみによる教育を受けた幼児児童生徒との認知発達や言語発達の実態を縦断的に比較検討する。聴覚障害のある幼児児童生徒の多様性に応じた言語指導の在り方を追究していく。
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研究実績の概要 |
研究2年次となる令和5年度においては、日本手話と音声日本語によるバイモーダル・バイリンガル教育法による指導を受けている研究対象者2名がともに小学部児童となった。研究者はAuditory Verbal Therapyの考え方を援用した音声日本語指導を担当し、1時間の指導を14回実施したところである。研究1年次末に認知面と音声日本語の実態把握としてWPPSIⅢ、PVT-R、聴覚障害児の言語発達評価水準(廣田,2002)による評定、日本手話の実態把握として絵本「Frog, where are you?」の手話語りの評定を実施したことから、それらの分析を行った。その結果、研究対象児1名(CI装用児)については、認知面と言語面の内、日本手話の習得については年齢相当の水準に達していること、音声日本語については2年程度との遅れを認めた。もう1名の研究対象児(HA装用児)は認知面については、年齢相当以上の水準に達しており。言語面については日本手話、日本語ともに年齢相当の水準に達していた。また、日本手話の評価をより客観的に行えるように、研究対象児2名と同学年の児童13名の絵本「Frog, where are you?」の手話語りを収集したところである。研究2年次末にも研究対象児2名の認知面、言語面の実態把握を行うことができた。14回の指導を行う中で、Auditory Verbal Therapyの考え方を援用した音声日本語指導の教材と指導法の知見を実践的に中間報告として明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年間をとおして1回1時間の音声日本語の指導を14回指導することができた。遊びを中心とした指導から徐々にカードやプリント、本読みなど学習的な活動を増やすことができた。対象児2名の本研究における指導に対する意欲は高く、楽しく話すことの動機付けができていると考察する。また、CI児については幼稚部在籍児の2年間指導のまとめを本研究の中間報告として聴覚障害特別支援学校の全国レベルの研究会で発表することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象児の内1名が次年度小学部第3学年に進級し、音声日本語指導の時間をとることが困難になることから、新たに小学部第1学年に進学してきた女児(HA装用児)を研究対象児とする。既に保護者、研究対象機関に研究の承諾を得ている。もう1名(CI装用児)とともに年間をとおして音声日本語の指導を行うととともに、日本手話を母語とするろう児に対するAuditory Verbal Therapyの考え方を援用した音声日本語指導の知見を実践的に集積していく。次年度は研究最終年度になることから、年度末には認知面、言語面(日本手話と音声日本語)の実態把握を行い、その結果を分析することによって本研究の総括を行う。
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