研究課題/領域番号 |
22K02805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
田村 篤史 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (00882002)
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研究分担者 |
槫松 理樹 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (00305286)
山田 敬三 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (60325579)
高木 正則 電気通信大学, eラーニングセンター, 准教授 (80460088)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 情報系学部 / 進路支援システム / AI / 変革 |
研究開始時の研究の概要 |
情報・データサイエンス分野を学べる学部に所属する学生に対して,進路選択に関する意識等(情報系分野に関する知識,進学先・専攻選択や通学に関する心理,学修支援状況,将来への展望等)を全国規模で調査することによって,学生が抱える課題と情報系学部における高等教育の課題を明確化する。収集したデータとチャットボットおよび意思決定理論を活用し,適性・指向性等を踏まえたよりよい進路選択支援を具現化する。システムへの自然言語処理機能の実装によって,他大学の情報系学部・学科・コースの求める学生像・適性をシステムが学習し,他大学の情報系学部でも使用可能な汎用性のある学科・コース選択支援システムを開発する。
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研究実績の概要 |
2022年度は全国の情報系学部・学科のアドミッションポリシー,カリキュラムポリシー,ディプロマポリシーを収集した。これらのデータを設置者別(国・公・私立),分野別(人文社会,理学,工学,その他),偏差値帯別の3観点で分析した。 基礎資料として,近年の情報系学部の新設・増設だけでなく,学部の再編等に伴って,全国の大学805のうち415大学が情報学またはその応用を学ぶことができる学部を有していることがわかり,その学部総数は688であった。その内訳は人文社会,理学,工学,その他に属するものが,それぞれ370.5,74.1,200.7,42.7であった。学部数に小数点以下の値があるのは学科によって属する分野が異なることを考慮したためである。情報学が学際的な学問分野であることから,各分野に学部が設置されていることがわかる。さらに偏差値帯別の考察も行い,偏差値帯と設置者(国・公・私立)との相関係数はそれぞれ,0.491,0.021,-0.727であった。 続けて,先の3観点において対応分析と共起ネットワークの構築により,それぞれの特徴語・周辺語を抽出した。(設置者別)国立大学は理系・研究志向,公立大学はやや理系より・地域貢献志向,私立大学は文系・実学志向であることが示唆された。(分野別)人文社会は,実学的・実務的な語が抽出されたことが特徴である。哲学などは理論的な側面が強いことから,この結果は情報系人文社会の特徴の1つと言える。理学では工学と対比して,より思考的・ソフトウェアに近い語が抽出され,工学では,よりハードウェアに近い語が抽出された。(偏差値帯別)高偏差値帯ほど基礎科学を学ぶことを求められることが示唆された。 設置者別の分析結果の原因として,第一に国の「理工系人材育成戦略」,第二に国立大学の難易度の高さ,第三に大学の収入源の違いと経営的な側面が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は2022年度中に論文を1報投稿する予定であったが,現在執筆中であり,5月末日を目処に投稿できる予定である。 その理由として,多くの分析方法を用い多面的に考察したため,論文の紙数が30枚近くになり整理に時間が掛かったことがあげられる。 分析自体は適切に行われており,相応の結果も得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月末日を目処に論文1報を投稿する予定であるが,この論文でやむなく削除した20ページ分については,あらためて整理し直し別途投稿する予定である。 2022年度の分析において,従来の「文理」に加え,加工性,実学,理論,地域貢献などのいくつかの軸を見出すことができた。これらを評価指標として意思決定支援や情報推薦の枠組みに適用することで,進学希望者への支援システムが構築できると考えている。具体的には階層分析法(Analytic Hierarchy Process)の使用を想定している。評価指標に対する各大学のAPの重みについては,評価指標に関連する語彙と各大学のAPに出現する語彙との共起性を用いれば,半自動化も可能である。現在,ChatGPTが世界中を席巻しているが,その正確性は不十分である。本研究では実際に全情報系学部・学科のAP・CP・DPを保有しているため,システム設計を正しく行えば誤った情報を提供することはほとんどないものと考えている。また,これら3つのポリシーには各大学の設立の趣旨だけでなく歴史的な経緯が記載されている場合もある。進学希望者に提案する大学の選出にあたってはCPとDPの活用も視野に入れ,自然言語処理等の工学的処理を行うことで進学希望者の自由記述にも対応していきたいと考えている。 上記を踏まえ,2023年度の具体的課題として2点を挙げたい。第一に,具体的なシステム開発である。本研究で得られた結果を活用した上で,進学希望者のニーズを使いやすさを踏まえたシステム開発を目指したい。第二に,AP・CP・DPのデータベースの自動更新である。日進月歩の情報学にあって,大学の学びも日々更新される可能性がある。この観点からデータベースを常に最新に状態に保っておくことはシステムの重要な総素になると考えている。
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