研究課題/領域番号 |
22K02828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
開沼 太郎 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (90388398)
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研究分担者 |
宮村 裕子 畿央大学, 教育学部, 准教授 (80441450)
服部 憲児 京都大学, 教育学研究科, 教授 (10274135)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | STEAM / カリキュラム・マネジメント / 横断的・縦断的学習 / 教員養成・教員研修 / つながり |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、教員間の「役割分化」と教育内容や実施主体間の様々な「つながり」の必要性といった相克する政策課題を両立できる教員をいかに育成すべきか、との問いに立ち、STEAM教育を軸としたカリキュラム・マネジメントの実現に資する教員の力量開発のあり方について、その内容(プログラム)と運用体制(システム)の検証及びその一体的な構築をはかることを目的とする。具体的には、1)「つながり」を担保する力量開発プログラムの作成、2)教員養成・教員採用・教員研修の接続性や関連性を意識したシステム改善策の提案、3)プログラムとシステム相互の有機的連携をはかるための情報連携の仕組みの構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、教員間の「役割分化」と教育内容や実施主体間の様々な「つながり」の必要性といった相克する政策課題を両立できる教員をいかに育成すべきか、との問いに立ち、STEAM教育を軸としたカリキュラム・マネジメントの実現に資する教員の力量開発のあり方について、内容(プログラム)と運用体制(システム)の検証及びその一体的な構築をはかることを目的として、1)「つながり」を担保する力量開発プログラムの作成、2)教員養成・教員採用・教員研修の接続性や関連性を意識したシステム改善策の提案、3)プログラムとシステム相互の有機的連携をはかるための仕組みの構築を行うものである。令和5(2023)年度の主な実績は下記の通りである。 1)教育活動における「つながり」を担保する力量開発プログラムの作成に向けて、教員調査を実施した。分析にあたっては、「児童生徒用/教員用、学習用/校務用端末の活用持ち帰り方策の相違」「授業実践や宿題、生活指導・学級経営に関する ICT の活用や工夫」等の運用について、「学級(学級担任の判断)」「学年(主任を中心とした学級間調整)」「学校(管理職を中心とした校内規定)」「自治体(教育行政機関による規制や助成)」それぞれの裁量に関する現状と課題について整理し、成果を日本教育行政学会第58回大会で報告した。 2)教員養成・教員採用・教員研修の接続性や関連性を意識したシステム改善策の提案に向けて、実践調査を行った。特に「機器や OS の相違,システムやアプリケーション導入時の手間やコストなどの影響を最小限にとどめた汎用ツールの活用」「イ デジタルツールと従来型のアナログ手法との融合」を観点として設定し,実践上の課題を検討した。成果を日本教育工学会秋季大会で報告した。また、1)の成果と合わせて著書『「教育の情報化政策」-ICT教育の整備・普及・活用』に収録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種調査ならびに現職教員の協力を得たモデルプログラムの実践については概ね計画通り進行し、学会報告や著書として成果をある程度形に示すことができた。他方、研究協力を依頼している学校や教員の体制や所属の変更等により、同一の環境で継続して情報収集を行うことが困難になっているケースがいくつか存在しており、令和6年以降も引き続き同様の課題が生じることが想定される。 研究を進めていく中で、教員の力量開発を検討する要素として「学級(学級担任の判断)」「学年(主任を中心とした学級間調整)」「学校(管理職を中心とした校内規定)」「自治体(教育行政機関による規制や助成)」の裁量に着目する視点、ならびにICT活用に際して必要な要素を検討する観点として「効率化」「可視化」の側面にそれぞれ整理したことで分析軸が明確になり、上述の学会報告や著書でもこれらを活用した形の分析を進めている。 前者の要素については、学校・学年・学級により実態に大きな相違があり、当事者である学校関係者にも十分な意識が備わっていないため、質問紙調査等の量的分析による探究には限界がある。したがって、半構造化インタビュー等の質的分析を組み合わせて検討を進める必要があるものと考え、令和6年度の実施に向けて準備を進めている。 後者の要素については、いずれの側面も従来の手法を大きく変える形で新たに手がける必要があるため、取組開始時の負担感をはじめとして短期的な観点ではメリットを感じにくい特徴がある。「効率化」の側面ではスクラップ・アンド・ビルドの徹底が求められるだろうし、「可視化」の側面では理想面で終わらずに現実的・実用的な利点を自覚できる工夫が肝要となる。令和6年度は前年度までに調査した実践取組との比較等の視点も含めて検討を進める予定である。 以上の進捗状況ならびに成果や課題をもとに、引き続き研究を継続する必要があるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、特に令和6(2024)年度は下記の内容を予定している。 1)教員調査ならびにモデルプログラムの実践を並行しつつ、教育内容やカリキュラムの「つながり」を担保するために必要な教員の資質能力を整理し、引き続き力量開発プログラムの作成を進めるとともに、教科等横断的な学習指導を実施するための指導計画やカリキュラム・マネジメントの推進にむけた教育活動・資源配分の評価に関するプログラムのあり方について検討を行う。 2)教員の力量形成の機会として想定される運用体制のあり方について、カリキュラム・マネジメント実施の観点から改善策の提案を行う。昨年度から引き続き「OJT型の力量開発」に着目し、現職教員の協力を得ながらモデルプログラムの実施と地域・学年(年次進行に伴う前年度までの実践を含む)等による比較等の手法を通じて検証する。令和6(2024)年度はQRコード等を活用した従来的手法(アナログ)と新たな試み(デジタル)の融合やクラウドを活用した同期・非同期型の協調学習に伴う教育課程内外のつながりの検討をはじめとした種々の実践事例をもとに必要と考えられる力量形成過程を対象に、特に実践に伴う裁量やエフォートのあり方に着目して整理を行う。 3)1)で作成するプログラムと、2)で提案するシステムの相互の有機的連携をはかるための仕組みづくりとして、ICTを活用した検証モデルの検討を行う。現在協力を得ている現職教員の実践をもとに、プログラムのひな型や教員に求める力量の要素を整理分類し、効果検証のためのモデルプランについて考察する。 これらの成果について、適宜学会発表や論文、報告書等の形で公表する。
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