研究課題/領域番号 |
22K02834
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 星槎大学 |
研究代表者 |
斎藤 俊則 星槎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80434447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | デジタル社会参加 / デジタル教育 / 島嶼部 / 情報教育 / エンパワメント / STEAM教育 / 教育のデジタル化 / ケイパビリティ・アプローチ / ICT4D |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は社会、文化、経済的背景により都市部と比べて制約が大きい島嶼部の地域コミュニティにおける自律的かつ持続的なデジタル社会参加の基盤強化に対して、 本質的な貢献が可能な教育的支援体制のフレームワーク化と、支援に対する人間開発学(the study of human development)的観点からの評価基準の確立を目指す。この関心に従い、ICT4D、情報教育・科学教育学および成人学習理論、Amartya SenやMartha Nussbaumらが提唱する人間開発学を援用しながら、アクション・リサーチの手続きに則ってフィールド調査を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、沖永良部島知名町においてデジタル教育の推進とICT利用支援の現状を把握するための調査を実施した。10月23日から28日にかけて、知名町役場や子育て支援をテーマとするNPO法人、教育機関を訪問し、現地の教育事情とデジタル化の課題について意見交換を行った。特に、学校教育の現状や教職員間のコミュニケーション問題、地域におけるICT活用の取り組みについて深く掘り下げた。また、ChatGPTワークショップを開催し、教育現場でのAI技術の活用可能性について議論した。12月1日には知名町社会福祉協議会職員を対象にChatGPT研修を実施し、出席者10名から好評を得た。研修参加者からは、普段の業務でのChatGPTの活用方法が分かり、文章の品質向上や企画のアイデア提供に役立つとの意見があった。また、Google検索との違いや、今後のSNS活用に関する研修の要望も寄せられた。さらに、2024年2月27日から3月1日にイギリス・ボーンマスで開催された国際会議IFIP TC3 OCCE 2024にて、本プロジェクトに関連する研究成果を発表した。論題は「Empowering Marginalized Communities through Digital Education: Building a Research Framework based on the Capability Approach」で、デジタル教育を通じたエンパワメントのリサーチフレームワークを提案した。今回の訪問を通じて、現地の教育支援者や行政担当者とのネットワークを強化し、今後の研究協力の基盤を築いた。今後は、これらの成果を基に、デジタル教育推進のための具体的な方策を立案し、地域の教育現場におけるICT利活用の支援をさらに進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年10月の訪問によって、デジタル社会参加に向けたデジタル教育のニーズに関して、知名町における公教育関係者と民間支援団体(NPO)メンバーの双方に共通理解を形成することができた。この共通理解の結果として、社会福祉協議会職員を対象とするChatGPTワークショップが実現し、参加者から好評を得た。また、2023年度には学術的な成果も得られた。エンパワメントを念頭に置いたデジタル教育に関する調査研究を進める上で必要不可欠な理論的基盤の整理ができ、OCCE 2024でのリサーチフレームワークの提案につながった。このリサーチフレームワークは、SenとNussbaumによるケイパビリティ・アプローチを援用したもので、デジタル社会参加を促すエンパワメントの取り組みとしての教育に焦点を当てたものである。このフレームワークは、ケイパビリティ・アプローチによる教育研究の成果を再構築し、複数の重要トピックからなる研究課題の図式を提供する。これらの成果は、2024年度以降の参加型アクションリサーチによる地域コミュニティ(主に知名町)への調査にとって重要な前提を形成する。このように、デジタル教育のニーズに関する共通理解の形成と学術的成果の両面で順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「デジタル社会参加に対する自覚(awareness)の醸成と意識化(conscientization)に向けた島嶼部在住者と支援者との対話の場づくりのための方法と 課題 の解明」をさらに深化させ,引き続き沖永良部島在住者との対話的関係の構築を主題にデジタルスキルやコンピテンシーに関する教育的支援と調査を行う.研究代表者は参加型アクションリサー チの手法に従い,島嶼部の協力者が所属する在住者による市民サークルの活動に参与しつつ,生成AIの活用など現代的なトピックを踏まえた成年者向けのワークショップやミーティングなどを実施し,そこ で得られた観察内容の反省的な記述と,入手資料や関係者への聞き取り内容の分析を行う.今年度は中間的な成果について関連ジャーナルへの投稿を目指す.
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