研究課題/領域番号 |
22K02894
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
|
研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
高安 美智子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (80774562)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | ピア・ラーニング / 学修支援 / チュータートレーニング / 自己調整学習 / 数理学習センター / チュータリングスキル / 授業デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
数理学習センターと連携し、受講者にはトレーニングを受けたピア・チューターとのピア・ラーニングを奨励し,学習支援を組み込んだ自己調整学習を促す授業デザインを設計する。 ピア・ラーニングにより学習の量と質を高め,学習意欲の変化と学習成果に及ぼす効果について解析する。学習支援を組み込んだ授業デザインが,主体的に学ぶ意欲を高め,自己調整学習を促進させるだろうという仮説を立て,授業及びピア・チュータリングの振り返りを通して受講者の学習プロセスと意識に関する調査・分析を行い,授業デザインの効果検証を行う。 高等教育における学習支援のあり方とその教育効果を明らかにすることが期待できる。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学修支援を組み込んだ授業デザイン及びピア・ラーニングの実践が、受講者の能動的な学習により自己調整学習を促進させるだろうという仮説の検証である。すなわち、チュータートレーニングと学習支援の成果が問われる内容でもある。 本研究の対象となっている授業は、数学を専門としない学科の教養教育科目の数学である。受講者の履修目的は年度によって異なるが、2021年度から2023年度を集計すると、「もっと数学を学びたい」が48%で最も多く、次いで「苦手科目を克服したい」となっている。「もっと数学を学びたい」という理由の中にも「苦手科目を克服したいから」が最も多く、続いて「就職試験対策の一つとして」、「高校の時に数学が好きであったから」等となっている。そのため、数学の授業設計の重要なポイントは、多様な学習履歴をもつ学生が受講して良かったという達成感をもってもらえる授業デザインが肝要となる。そのため、苦手を克服するための学修者の目標設定とピア・チュータリングの体験、就職試験対策としての授業外学習サイクルの確立を追求している。その際重視したのは、学修者自身のメタ認知的モニタリングで何を学び、何を身に付けたかを自己評価させ、数学を学ぶ意義を自らの考えで表現できることを求めた。本授業における学習者本位の学びとは、①単なる受け身の授業に陥らないよう事前学習を義務付け、②授業ではそれをアウトプットができること、③事後学習で学習の定着を図ること、④就職試験対策として学習目標を設定し、学習支援センターにおける学びのコミュニティーを活用し、目標達成に向けて努力することを求めている。 本研究では、学習センターを利用した学生の主体的・能動的な学びが出来ているか、何を目標として何が出来るようになったか、その過程でどのようなメタ認知的コントロールができたか等の自己評価からそれらの関連を調べる研究である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、本テーマと関連させながら、いくつかの実践報告を行った。本研究のポイントは学習支援による自己調整学習の促進達成が重要であることから、自己調整学習を促進させるチュータリングの理論と技法に基づいたチュータートレーニングを重点的に行った。その成果をリメディアル教育研究において、「数学の学習支援におけるチュータリングスキルの育成―チュータリングの型を用いたトレーニング方法を通して―」をテーマに報告した(リメディアル教育研究第17巻2023に掲載)。また、数学的リテラシーの育成を目指した学修支援を組み込んだ数学教育の実践をまとめて発表した(名桜大学 やんばる学びのポリフォニーに掲載2023年7月)。さらに、教養教育「数学」における学修者本位の教育の工夫(授業外学習の活用を含めて)をテーマに、2023年度JADE九州・沖縄・四国支部 第3回授業実践フォーラムで発表した。並びに、主体的・能動的な学習により学習者本位の学びが出来るようになっているか、および学習の目標設定、方略選択、計画遂行に関して授業の振り返りで目標達成度などの調査を行い、日本リメディアル教育学会 第18回全国大会において、「学修者本位の授業づくりにより自己調整学習力を培う」(学習支援による学習成果の可視化を通して)として発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
学修支援を組み込んだ授業デザインの工夫と教材作成は順調に進んでいる。2023年度は、学習センターにおけるピア・ラーニング(共に学ぶ)における学習支援が、その量と質も含めて学習の動機づけや主体的な学び、自己調整学習にどのような影響を与えているかという学びの過程を、解析することを目標とした。2021年度と2022年度の受講者を対象として収集したデータを活用する計画であった。しかし、授業の振り返りのデータは確保できているものの、研究倫理審査後の研究の同意書の回収が滞っており、手元にあるデータが使えず、研究が難航している状況である。 数理能力に課題を抱えた学生が、基礎的な知識・技能を主体的に身に付け、能動的学修を可能とするためには、授業と連携した授業外の学修支援を組み込んだ自己調整学習を促す授業が必要となる。実際、学生は主体的な学修の体験を重ねて、自己調整学習を促進させることを目標として努力している。2024年度の研究では、研究対象者を2023年度受講者も含めて研究倫理審査を受けることにした。 さらに、本研究において、自己調整学習の3つの要素(動機づけ、学習方略、メタ認知)についてルーブリックの活用による自己評価活動を取り入れ、自己調整学習を促進させる実践を行い、その成果の効果検証を行う予定である。
|