研究課題/領域番号 |
22K02896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
堀舘 秀一 創価大学, 教育学部, 講師 (10909203)
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研究分担者 |
清水 由朗 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (00247280)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 教授 (20344830)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 岩絵具 / STEAM教育 / 図工科教育 / デジタル教材 / 描画ツール / デジタル教材(描画ツール) / 日本の伝統・文化 / 理工学的知識情報 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、児童・生徒が岩絵具をデジタル画面上で擬似的に体験することを通して、日本の伝統と文化に対する理解を深めつつ、岩絵具の原料である鉱物についての理工学的理解を促進するデジタル教材の開発と、STEAM教育を実現する図工・美術の学習方法の提案を目指している。 具体的には、1)タブレットやPCの画面上で岩絵具の質感などの効果を擬似的に再現できるデジタル岩絵具描画ツール、2)岩絵具について様々な観点から柔軟に調べることのできる関連情報データベース(鉱物名、代表的な産地、利用方法、代表的な作品、伝統色など)、の2点の開発に取り組み、これらの効果について実践的に評価する。
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研究実績の概要 |
岩絵具についてPC画面上で擬似的に体験するためのSTEAM教育用デジタル教材としてのデジタル岩絵具描画ツールを開発するために、以下の内容を実施しした。 ①岩絵具の質感をパターンタイル化するために、使用する岩絵具の色数(粒子サイズ)を絞り込み、デジタル化に向けた手立てを模索した。今回は天然岩絵具を中心に123種類(色味)について、板に水張りした和紙の上に膠で溶いた岩絵具を塗り、元になる色見本を作成した。これをデジカメで撮影し、描画アプリ(GIMP)上で必要サイズにトリミング後シームレスパターンとして変換、登録し同アプリ上で使用できる状態にした。 ②比較的簡易に線を抽出でき、着色しやすいことを基準に、準備した岩絵具パターンを使用するための画像として尾形光琳作「燕子花図屏風」を選定した。作成した縮小模写(部分)をPCに取り込み、CLIP STUDIO PAINTを用いて燕子花の線画ファイルを作成した(児童自身が描いた線を使用することも想定し、自由な手描きの線画も作成した)。また、着色時のアプリ操作の繁雑化を考慮し候補から外れた「洛中洛外図屏風」については模写を行い、教育パッケージ用教材として利用可能な描画プロセスを記録した。 ③岩絵具と理工学的知識の関連付けを図ることを目的としたデータベース作成のための項目を検討し、基本項目を洗い出した。 ④学生(描画アプリの経験あり1名、なし4名、計5名)に参加してもらい、描画アプリ(GIMP)上に用意した図柄を任意の岩絵具パターンで塗りつぶしイメージを完成させていく工程を通して評価実験を実施した。目指す描画ツールに実装すべき機能や操作性をはじめ描画活動を促進するための機能、その学習効果や実際の教材化に向けた改善点などについて明らかにした。この成果については日本科学教育学会・2022年度第5回日本科学教育学会研究会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由により、おおむね順調に進展していると考えている。 ①岩絵具の質感を描画アプリ上でパターンタイル化する手法の検討を行い、現時点において最適な方法で天然岩絵具を中心に123種類(色味)について、描画アプリ(GIMP)上にて評価実験に利用可能な岩絵具のパターンタイルとして予定を上回る数で作成するまでに至った。 ②デジタル岩絵具描画ツールを開発する上で重要な、テクスチャを用いた塗りつぶしに関する技術情報について調査した。 ③作成した岩絵具パターンタイルを描画アプリ上で使用するための画像の検討を行い、本研究に用いる図柄の向き、不向きを確認し、また、児童・生徒が手描きすることを想定した図像の作成方法や利用手順なども確認することができた。 ④岩絵具と理工学的知識の関連付けを図ることを目的としたデータベース作成のための項目を検討し、洗いだした。 ⑤描画アプリ(GIMP)上で評価実験を行い、デジタル岩絵具描画ツールに実装すべき機能や描画活動を促進するための機能、改善すべき点などを明らかにし、その成果について発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については以下の通り予定をしている。 ①評価実験で得られた成果をもとに、デジタル岩絵具描画ツールの設計・開発として、研究分担者(舟生)を中心にプロトタイプを開発していく(舟生・堀舘)。 ②日本の伝統・文化や理工学的知識(鉱物名、代表的な産地、利用方法、代表的な作品、伝統色など)などSTEAM教育に関連する情報の収集・整理、データベース化を進めていく。今回検討した項目をもとに、研究分担者(清水)の専門的知識と新規で購入予定の図鑑等の資料を含め文献も活用し、岩絵具との様々なつながりをまとめ、関連情報データベースのプロトタイプを開発する(舟生・堀舘)。 ③デジタル岩絵具描画ツールで使用可能な、(岩絵具を使用した)伝統的表現技法を用いた新たな作品を継続して検討(選定)していくとともに、(清水・堀舘)岩絵具のパターンタイルについて評価実験時に要望のあった色味や未購入の岩絵具を追加し色数を増やしていく。その際、パターンタイル化済の岩絵具について色味の調整(修正)を並行して実施していく(堀舘)。 ④教育パッケージ構築の一環として、岩絵具に関する更なる理解を深めることを目指した教材の内容についても並行して検討して参りたい(堀舘・清水・舟生)。 ⑤評価実験とその成果の報告(堀舘)。
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