研究課題/領域番号 |
22K02909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石川 洋平 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50435476)
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研究分担者 |
石橋 直 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80802842)
清水 暁生 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (90609885)
野口 卓朗 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 講師 (20805626)
堀田 孝之 有明工業高等専門学校, 技術部, 技術長 (80450146)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | サーキットデザイン教育 / 半導体・集積回路 / 集積回路設計CAD / プログラミング教育 / メタバース / eスポーツ / ミクロなものづくり / 電子回路 / 集積回路 / ミニマルファブ |
研究開始時の研究の概要 |
コロナ禍によりGIGAスクール構想が加速し、本来であれば緩やかに導入が進むはずであったICT教育も急激に日常のものとなった。我々は、現在様々なところで取り組まれている思考力を鍛えるためのプログラミング教育の一歩先を狙い、「超微細なものづくり」との融合教育を目指している。ソフトウエア偏重ではなく高付加価値なハードウエアを意識して「サーキットデザイン教育(電子回路・集積回路設計教育)」を、必要なツールを自ら改良・開発する過程を経験する環境や、ミニマルファブなどのオーダーメードなICチップを作ってワクワクを共有できる仕組みを構築する。また、産業界と教育界をつなぐ実践的な教育展開も視野に入れている。
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研究実績の概要 |
日本は電子立国として革新的技術であるトランジスタを活かした産業で経済発展を遂げてきた。しかし、ハードウエアを教えることが難しくソフトウエアが中心となってしまったため、コピー不可で高付加価値の超集積化トランジスタものづくりが国内で衰退している。本研究では「サーキットデザイン教育というキーワードをプログラミング教育と同様に初等中等・高等教育で共通言語的でシームレスなカリキュラムとして構築・評価すること」を目的とする。オーダーメードのミクロなものづくりの過程で、プログラミングを「目的」ではなく「手段」として再定義し、匠の技術や歴史を教育工学の活力に育てることが狙いである。本研究では次の3つを念頭に実施する。 (1)サーキットデザイン教育の環境構築 (2)サーキットデザインCADを意識したプログラミング教育 (3)オーダーメードでミクロなものづくり体験の提供 本年度の実績は、半導体・集積回路の「レイアウト設計技術」に着目して、1.紙ベース教材 2.メタバース・eスポーツ教材 3.本物の集積回路設計CADを用いた教材を準備し、高専(教職員研修を含む)および、小中学校での実践教育を行ったことである。その他、地元自治体と連携して半導体・集積回路関連企業とeスポーツ関連企業の協力のもと、学内外に交流拠点を作り、科学コミュニケーションの推進も同時に行うことができたことである。本研究に関連する学外発表は「回路技術」「回路教育」「産学官民連携」に関して9件、特許申請1件を行った。※「サーキットデザイン教育」とは半導体・集積回路技術の多世代・早期教育手法の総称として研究代表者の石川が定義した言葉である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたテキストマイニング・アイトラッキングによるデータ解析は行えていない。また、ミニマルファブに関する動きも静観中である。新型コロナの状況を考慮し、学会等での発表も最小限にする一方、地元小中学校や行政関連施設での地道な基盤づくりを重点的に行なった。昨今の半導体・集積回路関連の盛り上がりを受けて、特に、九州地区における「サーキットデザイン教育」の重要性が急激に高まったため、基礎研究的なデータ収集・データ解析よりも、より実践的な教育教材開発とアウトリーチ活動に舵を切った。したがって、基本路線はそのままで、より前衛的に研究を進めることができている。具体的には、以下の3つを実施した。 1.フォトマスクを模した型紙とトレーシングペーパーを用いたレイアウト設計教育教材を開発 2.メタバース空間でのレイアウト設計ゲームを開発 3.小中学校にて上記教材を用いた演習 産業界からの評判もよく、学外との連携の糸口となっている。 申請書に記載した計画を参考として示す。基本路線は変わっておらず、高専生に対してはファウンドリのシャトルサービスによるCMOSプロセスでの試作および計測も実習として実施している。 (1:解析)テキストマイニング・アイトラッキングによる匠の技データベースの構築 (2:教育)集積回路設計CADのプログラミング教育への適用 (3:試作)ミニマルファブを活用したオーダーメード集積回路設計への挑戦
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今後の研究の推進方策 |
半導体・集積回路の歴史や技術を紐解き、最も実際のデバイスに近い「レイアウト設計」に着目した。電子情報系技術が、トランジスタ・ハードウエアものづくり・ソフトウエアプログラミング・インターネットと変遷し、トランジスタが誕生した1940年代から約80年となる2025年をターゲットに研究を推進していく。現在までの研究進捗で述べた事項をより多くの世代や早期教育につなげていく。産業的観点では、ファブレス・ファウンドリ・OSATを意識した職業観を養うためのIC試作にもつなげていく。集積回路設計CADを用いた演習も早期に導入し、より身近にミクロなものづくりが体験できるような環境を提供する予定である。「サーキットデザイン教育」という言葉はまだ生まれたばかりであるが、プログラミングという言葉が広まったように、半導体・集積回路設計教育の共通キーワードとして定着することを目指す。
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