研究課題/領域番号 |
22K02913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
串田 一雅 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80372639)
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研究分担者 |
鵜澤 武俊 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60283842)
堀 一繁 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30314446)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 理科実験安全教育 / 理科実験安全 / 学校理科 / 学校安全 / 機械学習 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
最上の実験安全対策は、危険を未然に防止することである。これは実験に関する経験知に負うところが大きい。したがって、教員志望学生に対して、理科室の正しい管理の仕方,実験に関する正しい知識と手順に関する情報に加えて、実験安全に関する経験知を伝授することは有用である。本研究では、理科実験安全に関する授業を受講した教員志望学生の習熟度を、機械学習等を用いて定量化・視覚化し、理科実験安全授業の方法の確立にフィードバックする。
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研究実績の概要 |
酸・塩基の中和実験(高校化学基礎)において実験開始から後片付けまでの間の生徒の挙動や実験室内の様子を撮影・編集した動画を用意した。この動画には、安全確保の観点から危険な兆候であると研究代表者らが判断した個所に、実験時の危険な行為や兆候を問う設問が挿入されている。これを本研究ではICT教材と呼ぶ。 こうして作成したICT教材を、授業「学校安全」において受講者に視聴させ、動画中の上記の設問に回答させた。このICT教材の視聴時間および回答時間は、合計で15分程度である。また、これらの設問に対する回答は、コンピューターを利用した教育・学習活動支援システムであるMoodleのフィードバック機能を利用し集計される。その後、集計データに対してルーブリック評価を加え、各回答者の得点を算出するとともに、統計処理を行った。なお、このルーブリック得点は、回答者が、どの程度、研究代表者らの実験安全上の経験知を追体験できたかを表す指標となる。さらに、上記の授業において、理科実験安全に関するコンセプトマップを作成させた。なお、受講者は、授業の前後でそれぞれ一枚ずつコンセプトマップを作成する。コンセプトマップの作成により、実験安全に関する考え方を視覚化することができると考えている。 上記のルーブリック評価における得点と受講者の属性との関連、およびルーブリック評価における得点とコンセプトマップとの関連を、2022年度日本教育大学協会研究集会において発表した。また、これに関する発表報告が、日本教育大学協会研究年報(41巻159-162ページ、2023年)に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度、本研究で使用するICT教材を作成し、授業「学校安全」において使用することができた。具体的には、酸・塩基の中和実験(高校化学基礎)の実験開始から後片付けまでの間の生徒の挙動や実験室内の様子を撮影・編集した動画を用意した。この動画中には、実験時の危険な行為や兆候を受講者に問う設問が挿入されている。 また、これらの設問で構成されるアンケートの実施・集計を行う仕組みを、教育・学習活動支援システムであるMoodle上に作成することができた。さらに、集計したデータに対するルーブリック評価項目も作成し、回答者である受講生の実験安全に関する感覚を得点として可視化・指標化できるようにした。 さらに、受講者の実験安全に関するルーブリック得点に関するデータ解析を行うためのワークステーションを購入し、使用するアプリケーションのセットアップまで行うことができた。なお、セットアップ作業は、このワークステーションの製造販売元であるコンカレントシステムズ株式会社に依頼した。セットアップ費用はワークステーションの代金に含まれている。 最後に、データ収集の場として、授業「学校安全」を確保することができた。この授業で収集したデータを用いて、受講者のルーブリック評価における得点と受講者の属性との関連、および、ルーブリック評価における得点とコンセプトマップとの関連を、2022年度日本教育大学協会研究集会において発表することができた。また、この発表は特に興味深いとされ、日本教育大学協会研究年報(41巻159-162ページ、2023年)に発表報告として掲載されるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
授業「学校安全」に限らず、研究代表者および研究分担者が担当する授業(例えば、学生実験科目、実験デザインプロジェクト科目)において、上記のICT教材をより多くの受講者に視聴させ、動画中の上記の設問に対する回答を収集し、ルーブリック得点化することで、より多くのデータ(受講者の実験安全意識を指標化したと考えられる)を集める予定である。このようなデータは、研究代表者らの実験安全上の経験知を、どの程度、追体験できたかを表す指標であることから、今後も多くのデータを収集する必要があると考えている。 さらに、上記の授業において、理科実験安全に関するコンセプトマップを作成させる。コンセプトマップは、実験安全に関する考え方を視覚化することができるため重要である。特に、同一回答者のルーブリック評価点の推移、コンセプトマップの変化を追跡し、データの推移傾向の分析、データのグループ分けを行う。この目的のために、Tensor Flow &Pythonを使ったディープラーニングを用いる予定である。 また、コロナ禍がひと段落したため、理科において最も事故リスクの高い化学実験の安全教育実習を再開する予定である。また、事故対応訓練の一環として消火器試用訓練も再開する予定である。 上記の研究成果を、日本理科教育学会誌「理科教育研究」等、最適と考えられるジャーナルへの論文投稿を行う予定である。特に、米国物学会誌「Physical Review Physics Education Research」や米国物理教育学会誌「The Physics Teacher」への投稿・掲載を目論んでおり、その際、昨今の動向に鑑みて論文のオープンアクセス化を考えている
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