研究課題/領域番号 |
22K02927
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
吉岡 昌子 愛知大学, 文学部, 教授 (10584097)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | メモ取り / 大学生 / 手書き / Kj法 / 日常 / KJ法 / 時系列測定 / 機能 / メモ取り行動の機能 / 日常場面 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「目的に応じて的確にメモをとる行動」はいかにして形成されるのかを問いとして、その学習に必要な環境の条件を検討する。対象者は大学生である。実験でメモをとる場面は、日常の機会を模した技術を学ぶ場面とする。介入では、メモを利用する人(自己/他者)や時期(直後/遅延)を変化させ、メモをとった後に、メモの効果が自他の身体を介して可視化される環境を用意する。これらの要素を含む介入を繰り返し行い、メモ行動の変容を分析し、その機能化に必要な条件を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、大学生の「目的に応じて的確にメモをとる行動」の学習を促す環境条件を検討することを課題としている。2年目である今年度は、大学生のメモ取りの実態、および、介入にあたって焦点を当てるべき課題を具体的に探ることを目的とした。そのため、異なる大学に所属する文系と理系の専攻生計24名を対象に、発想法の1つであるKJ法を用いたメモ取り行動の調査を1回につき3-5名の班で実施した。KJ法の過程で参加者はメモ取りについての考えを名刺サイズのカードに書き出していく作業を行い、計565枚のカードをデータとして得た。専攻(大学)ごとに類似するカードをグループとしてまとめた結果、専攻間で共通して次の5つのグループが得られた。それらはメモの「書き方・技術」、メモをとる「場面と働き」、「道具」、メモを取った後の「参照と保管」、「その他」であった。カードに記された語の種類や使用頻度が上位の語の分析からも、両専攻(大学)の回答は類似していることが示された。参加者の回答から推察されるメモ取りの機能については、自身が覚えることが中心となり、他者に情報を伝え、共有する機会は非常に少ないことが示唆された。メモの再利用については、参照や保管に失敗する経験が多く挙げられたことから、取ったメモを機能させる行動連鎖の確立が課題として示唆された。この考察の妥当性を検証し、適切な介入を組み立てるため、次に大学生と比較対照として社会人の若者を対象に、個別にメモ取り行動に関する聞き取り調査を半構造化面接の形式で実施することとした。両者を対象とした予備調査により、質問項目を選定し、現在、本調査を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メモ取り行動の介入に用いる課題や手続きの検討を2年目までに行う予定であったが、次の理由から、次年度に持ち越すこととなったため、やや遅れていると判断した。その理由は、KJ法による調査の結果から、本研究の計画時に候補としていた介入の課題や手続きよりも、ふさわしい設定があることが考えられたためである。その考察の妥当性を検討するため、当初の予定になかった聞き取り調査を計画に組み込んだことで遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、2年目より開始した大学生と社会人を対象としたメモ取り行動の聞き取り調査を継続し、データを収集し終える。並行して、調査で得る質的データに規則性を見出し、メモ取り行動に影響する要因の推定ができるよう、他分野の知見も参考に適切な分析法を検討する。その手法を用いてKJ法と聞き取り調査の結果を総合し、社会人との比較により、大学生のメモ取りの実態や特徴を明らかにする。また、日常的なメモ取りのスキルを高める介入に求められる要素や適切な課題を整理する。その後、大学生のメモ取り行動の機能化を目的とした介入を行い、行動実験によってその効果を検証する。
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