研究課題/領域番号 |
22K02941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
高藤 圭一郎 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 講師 (10461485)
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研究分担者 |
筒井 壽博 弓削商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (90749706)
長井 弘志 弓削商船高等専門学校, 電子機械工学科, 准教授 (70453206)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 熱溶融積層型3Dプリンター / 教育教材 / 工学教育 / 機械設計 / 設計課題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではこれまで筆者らの行ってきた学生の工学教育課程での設計結果を目に見える様に具現化するPBLテーマを更に拡張する。そのため既存の設計製図テーマを新たに作り直し受講者個々に異なる課題について数値的根拠に基づいた構想、設計、製作して、完成品の個々の性能評価まで行う一連のプロセスをPBLテーマとして取上げる。同時にこのPBLテーマの改善を試み、生徒、学生、企業の若い技術者まで広く受け入れられ、経験豊富な技術者の習得してきた既存技術のみならず、先端技術の設計最適化や数値流体計算技術等を含み、安全実行出来る様な、従来手法を大きく超えるPBLとして人類全体で共有出来る様な学習教材としての端緒を得る事を目指す。
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研究実績の概要 |
機械設計製図テーマA:遠心ポンプについてはこれまでの設計課題を修正し、3DCAD上で羽根車部のモデル作成とケーシング部検討を行った。最終目的である実物作成のためにこれまでの設計課題として実績のある寸法形状から大幅な小型化や鋳物による壁面を樹脂製の壁面に置き換えるなどの問題を検討し、動作模型として機能させるための懸案が判明しつつある。 機械設計製図テーマB:歯車変速機については順調に推移しており、性能把握のための歯車部の設計製作はノウハウの構築をしつつ進めている。軸周辺の変速システムを設計製作については旋盤の主軸台のような変速時に一旦回転トルクを抜いてから変速する単純変速機構のみならずトルク伝達中でも変速可能となるシンクロ機構も追加して模型化することを検討中である。また歯車製作においては試行錯誤のサイクルを短縮し,より完成度の高い機械部品を製作するために,簡単な形状計測と強度試験の結果を用いた機械学習による機械部品の品質評価法を提案した.また,提案手法を歯車製作に適用し,平面性を利用した場合,3次元計測よりもドキュメント用カラースキャナーによる形状計測の方が優れていることを示した.さらに,簡易的な強度試験の方法を提案し,試験装置の3DCADモデルを示し,実機の製作,および実機による実験を実施した. 個人別衛生消耗品テーマC:利用予定であった個人の形状データに基づいた通常より高性能なマスクやフェイスシールドなどの公衆衛生製品については、回転対称形状で安価な3Dスキャナーの弱点が見つかった。空間上の認識した仮想空間上の点に反映している際にどこをスキャンしているか見失ってしまう欠点があることが判明した。このため生体をスキャンすることは出来るが歯車の様な回転対称の物体の形状認識の精度が著しく低くなることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機械設計製図テーマA:遠心ポンプについては初期の段階である性能把握のための羽根車部の設計及び3Dモデル作成を行ったが、最終目的である動作模型としての実物作成のためにこれまでの設計課題として実績のある寸法形状から大幅な小型化や鋳物厚さを樹脂壁に置き換えるなどの問題で課題解決に時間を要している。またテーマの代替えとして回転翼機械としてブロアや水車への変更やこれまでの竹とんぼによる知見を生かせるプラとんぼ、紙とんぼなどへのテーマ修正の検討にも時間を要した。 機械設計製図テーマB:歯車変速機については比較的順調に推移しているが、例えば歯車の機械学習による強度予測と予測値に基づく品質評価では,教師データの数や適切なハイパーパラメータの設定の問題で実施できていない.その問題を解決のために時間を要している。またトルク伝達しつつ変速を可能とするシンクロ機構についても、機構について調べるだけでなく、どの部分を模型化してどの部分を省略するか、どの部分を金属製としてどの部分を3Dプリンター製の樹脂にするか等の取捨選択に工数をとられている。 個人別衛生消耗品テーマC:利用予定であった個人の形状データに基づいた通常より高性能なマスクやフェイスシールドなどの公衆衛生製品としての題材、刃分離型ハサミ等については学生が取り扱う事が安全面で難しいことが判明したため、研究推進の方針転換をして推進が遅れている。また個人の形状データ取得に用いる安価な3Dスキャナーの弱点が見つかった。空間上の認識した仮想空間上の点に反映している際にどこをスキャンしているか見失ってしまう欠点があり、生体をスキャンすることは出来るが歯車の様な回転対称の物体の形状認識の精度が著しく低くなる。これらの弱点を回避するスキャン方法を構築するか、これまでと異なるスキャン方法で評価するかなどに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
機械設計製図テーマA:遠心ポンプや水車、プラとんぼなど回転計製作物については、これまで利用しているノズル径0.4mm程度の熱融解積層型3Dプリンターから製作精度が高く、射出精度の高いノズル径0.1mmまで選択可能なプリンターに徐々に置換していく。またそれだけでなく羽の強度剛性の観点からCNC切削加工によるアルミ金型を用いた射出成型製作にも着手して、これまでの懸案であった製作性の困難を克服する予定である。 機械設計製図テーマB:歯車変速機については上記テーマAで述べた精度の高い熱融解積層型3Dプリンターを利用して、精度の向上を図る。特にトルク伝達中でも変速可能となるシンクロ機構共模型化部分についてはCNC切削加工によるアルミ金型を用いた射出成型も試行する。更に変速機構を学生に容易に理解してもらい、更に展示物としてオブジェ的な利用も可能にするために自動変速機構まで可能にすることも試みる。 個人別衛生消耗品テーマC:刃分離型ハサミについては学生が取り扱う事が安全面で難しいことが判明したため、まずは学生に試行してもらう前に研究推進者の方で雛形となる形状と製作方法を立案する予定である。また、個人の形状データ取得に用いる安価な3Dスキャナーの弱点が見つかったため、利用予定であった個人の形状データに基づいた通常より高性能なマスクやフェイスシールドなどの公衆衛生製品については、別型式の3Dスキャナー利用や従来の粘土や石膏のアナログ的な手法とのハイブリッド等の弱点回避の方法を検討する。
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