研究課題/領域番号 |
22K02946
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 博史 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 名誉教授 (70294494)
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研究分担者 |
古賀 信吉 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30240873)
竹下 俊治 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90236456)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 通時的思考 / システム思考 / ESD / 物質循環 / 人間活動 / 中等理科教育 / 科目横断 / 学習プログラム / 地球領域 |
研究開始時の研究の概要 |
システム思考を基軸として,自然の事物・現象(自然事象)を多面的に捉え,相互作用や関連を考慮しながら科学的に理解する方法や態度の育成を目的とした中等理科での科目横断的学習文脈の開発と文脈学習を通して持続可能な社会の実現に資する人材育成に理科教育の立場から貢献するための基礎的研究に取り組む。システム思考を地球システムの要素間の相互作用や関係を理解・予測するための能力と捉え,地球領域で扱われる自然事象を主体に学習素材を探査・教材化し,他科目の学習内容との関連づけと既存の知識の統合を図る。また,システム思考の枠組みの中での学習文脈を考案し,その学習方法と学習プログラムを開発し,実証的に評価・検証する。
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研究実績の概要 |
①学習素材の探査・教材化に重点を置いて検討し,②学習文脈の考案及び③学習方法・学習プログラム開発についても検討した。①学習素材の探査・教材化では,システム思考を基軸として,自然事象を多面的に捉え,相互作用や関連を考慮しながら自然事象を科学的に理解するための学習プログラム開発や地域素材を教材活用するための基礎研究を行った。地学分野では河川砂中の磁鉄鉱の含有量を帯磁率で可視化することを検討した。また,堆積岩類の分布が限定的な広島県南部において,ジルコンU-Pb年代測定により古第三紀始新統の存在が明らかとなった。この地域では化石産出地がこれまでほとんど知られていなかったが,珪化木や花粉化石の産出が確認された。化学及び生物学分野では,学習素材としての各種水和物の脱水反応,硫酸の酸解離平衡や水酸化カルシウムの溶解に着目した探求活動及び生物多様性生保全における倫理的課題に関して検討した。 ②学習文脈の考案と③学習方法・学習プログラム開発については,近年世界各国において資材としての不足問題が顕在化している砂に注目し,地球表層の物質循環と人間活動を関連づけた学習文脈を検討した。具体的には,河川砂が岩石サイクルの中で多様化することを示す事象として砂鉄に着目し,その濃集程度の違いが帯磁率に反映されると考えた。河川砂と周辺に分布する岩石の帯磁率を比較すると,河川砂の帯磁率は,やや低い値を示す一方で岩石の帯磁率では認められない高い値を示すこともあり,堆積過程における磁鉄鉱の濃集が示唆された。このことは河川砂の多様化と関連付けることができる。また,鉄穴流しと呼ばれる人為的な磁鉄鉱濃集法との比較も考慮すると,帯磁率に着目した河川砂の理科教材としての活用可能性が示唆された。 以上の成果の一部を,研究論文12編(うち査読付き11編),学会発表等28件(口頭発表17件,ポスター発表11件)として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度に引き続いて①学習素材の探査・教材化の検討に重点を置き,地学,化学,生物の領域ごとに素材検討を行った。また,②学習文脈の考案,及び③学習方法・学習プログラム開発については,①の結果を基にその活用可能性を検討し,学習文脈及び学習プログラムを検討した。研究実績の概要での記述の通り,各項目について一定程度の成果を得た。またその一部を研究論文及び学会発表として公表することで評価を受けることができた。この点では順調とも言えるが,素材探査のさらなる充実や地学,化学,生物の各領域の検討事項を関連付けたさらなる検討が必要であり,上記の評価区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
素材探査を継続して行ない,教材開発のための基礎資料の蓄積をさらに進める。また,学習文脈の中心となる事項として,持続可能な社会の創り手の育成に寄与することを考慮し,物質循環と人間活動に関して地球表層の物質移動という枠組みの中で土砂災害を取り上げる。その際,理科の見方や考え方としてのシステム思考・通時的思考の育成という観点から研究グループ内で検討を行い,地球(地学)領域を基軸として各領域を関連付けた学習プログラムの開発及び実践的検討を行なう予定である。
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