研究課題/領域番号 |
22K02953
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
尾山 廣 摂南大学, 理工学部, 教授 (50221700)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 持続可能な開発のための教育(ESD) / 環境教育 / 種特異的 / 環境保全 / フィールド調査 / リアルタイムPCR / 分子進化 / 遺伝子発現 / 環境DNA / PCR分析 / 生態調査 / ESD |
研究開始時の研究の概要 |
水圏の生態系に生息する生物の調査を目的としたDNA分析技術を教育現場に導入するために、3つの研究課題を設定する。基礎テーマでは、PCR分析などを用いて、淡水魚類の種を特定する。発展テーマでは、環境DNA分析を用いて、水圏の動物相(絶滅危惧種や外来種の淡水魚など)と水質環境との関係および季節変動のパターンを調査する。いずれも、分析ステップごとに改良を加え、実験操作の平易化・簡便化を図り、形態観察とDNA情報に基づく生物種の同定やその個体数から生物多様性の重要性を学ぶ教材として開発する。授業実践では、基礎テーマで開発された教材の有用性と発展テーマであるフィールド調査の教育効果を評価する。
|
研究実績の概要 |
水圏生態系に生息する生物調査を目的としたDNA分析技術を教育現場に導入するために、2022年度は、基礎テーマの実験教材案の一部を改変し、高校2年生を対象に授業実践を行った。具体的には、淀川のワンドで採取したオオクチバスとブルーギルと推定される魚から肉片の採取、肉片からDNAの抽出、種特異的なプライマー2種類を用いたリアルタイムPCRによる種の同定を半日で実施した。インストラクター1名を配置して高校生5名で試行したところ、実験の進行は順調であったが、種の同定には至らなかった。生徒たちの採取試料、DNAの抽出実験、PCR実験および日程(2日間を1日で実施)から問題点が抽出され、これらに基づく実験教材案の見直しを行った。また、操作手順の改善、特にリアルタイムPCRの専用チップに反応液を注入する操作の実技指導の重要性が分かった。参加した高校生は、この内容に関する基礎的な知識を、生物基礎「生物と遺伝子」、「遺伝情報とタンパク質の合成」および「生態系とその保全」の単元で学習していたが、PCRの原理と分子進化は3年次の生物「バイオテクノロジー」や「生物の系統」で学ぶこととなるため、DNA分析技術の原理と生態分析との関係性を2年生が理解するには、適切な副教材の導入が必要であることが分かった。さらに、環境DNA分析の全体像を身近に感じる教材として、水槽飼育できる2種類のメダカの個体とメダカの飼育水槽の水から核酸を抽出し、リアルタイムPCRで種を同定するモデル実験系を構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、高校では部外者の立ち入りが制限されており、実験系の連携授業の実施が困難であった。また、学科共通機器のリアルタイムPCRが故障したため、実験計画の遂行にも影響が生じた。試料水から抽出する核酸、特にRNAは安定性が悪いため、迅速かつ連続的に進める必要があったが、実験スケジュールの急な変更などにより、環境DNA分析に適した実験計画を立案、遂行できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
基本テーマ「教育用環境DNA分析法の開発」の1次評価は、小人数での授業実践による問題点の抽出と改善であり、今年度で得られた成果を踏まえ、2023年度は以下の点に焦点をおいて研究を推進する。①日本に生息するメダカは、キタノメダカ(北日本集団メダカ)とミナミメダカ(南日本集団メダカ)に大きく分類され、これらの間では非常に大きな遺伝的差異が存在することが報告されている。現在、これら2種を水槽で飼育しており、生物個体または水槽の水からDNAやRNAを抽出し、種特異的なプライマーを用いて種の同定を行う実験教材案を作成する。②オオクチバスとブルーギルの種特異的なプライマーを用いて、淀川のワンドで採取した水または生物個体から抽出したDNAやRNAを鋳型に種の同定を行う実験教材案を作成する。
|