| 研究課題/領域番号 |
22K02964
|
|---|
| 研究種目 |
基盤研究(C)
|
| 配分区分 | 基金 |
|---|
| 応募区分 | 一般 |
|---|
| 審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
|
|---|
| 研究機関 | 琉球大学 |
|---|
研究代表者 |
齊藤 由紀子 琉球大学, 教育学部, 准教授 (30626106)
|
|---|
| 研究分担者 |
傳田 哲郎 琉球大学, 理学部, 教授 (50284948)
天野 正晴 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 植物研究室, 主任研究員 (60897164)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
| 配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
|---|
| キーワード | 植物標本 / 学習支援 / 標本画像データベース / 科学教育 / 琉球列島 / 標本データベース / 教育 / データベース / 沖縄 |
|---|
| 研究開始時の研究の概要 |
本研究は、沖縄県を中心とした琉球列島島嶼域の植物的自然を活用した「生物の多様性と共通性」を実感できる学習支援プログラムの構築に向けて、植物標本データベースを軸としたポータルサイトを開発し、その実用化に向けた検証を行う。ポータルサイトを活用し、学術研究に利用されているデータの抽出や情報の整理あるいは植物標本を使った「本物」の観察・比較を行うことで、身近な地域自然を活用し、生物の多様性について様々な視点から考えることが可能になる。
|
| 研究実績の概要 |
生物相の違いを比較しながら学ぶ自然教育の展開は、単に地域自然に対する理解を深めて子どもたちのアイデンティティを確立するのみではなく、環境保全に対する意識の萌芽を促し、琉球列島の貴重な自然環境を次世代へと継承していく上でも極めて重要である。このような教育を推進するためには、学術的な信頼性と統計的比較に耐えうる情報量を有し、かつ児童生徒が容易に利用できる教育コンテンツの提供が必要である。本研究では、沖縄県を中心とした琉球列島島嶼域の植物的自然を活用した「生物の多様性と共通性」を実感できる学習支援プログラムの構築に向けて、植物標本画像データベースを軸としたポータルサイトを開発し、その実用化に向けた検証を行なっている。これを実現するため、（１）植物標本データベースの情報整理、（２）ポータルサイト作成、（３）植物標本および植物標本画像データベースを活用した授業実践、の３つについて取り組んでいる。（１）では、ポータルサイトの標本情報更新に向けて、琉球大学理学部植物標本室 (RYU) および同大学教育学部植物標本室 (URO) に収蔵されている標本の画像化と標本情報の整理を進めた。また、申請者らが調査を行なった離島・へき地における植物相調査によって収集された標本についても同様に進めている。（２）では、公開された標本画像データベースおよびポータルサイトの改善に向けて、本サイトを活用して行った授業後に問題点の洗い出しや現場からの要望等を整理した。（３）では、植物標本画像データベースを用いて琉球大学教育学部に所属する理科を専門とする学生15名を対象に授業を行った。観察情報を得られる画像データベースを活用することにより「植物の分類」の理解を深める授業実践が可能となることが示唆された。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、【植物標本画像データベースの情報整理】、【ポータルサイト作成】、【植物標本および植物標本データベースを活用した授業実践】の３つについて取り組んでいる。
【植物標本画像データベースの情報整理】では、ポータルサイトの標本情報更新に向けて、琉球大学理学部植物標本室 (RYU) および同大学教育学部植物標本室 (URO) に収蔵されている標本の画像化と標本情報の整理を進めた。絶滅危惧種の産地が特定できる恐れがある情報などは非公開もしくは情報を限定して公開するよう配慮しながらデータベース整備を進めており、また、申請者らが調査を行なった離島・へき地における植物相調査によって収集された標本についての画像化と標本情報の整理も並行して行っている。育児休業を取得したことに伴い、画像データおよび標本データ更新に伴う作業が一時中断していた期間があった。
【ポータルサイト作成】では、公開された標本画像データベースおよびポータルサイトの改善に向けて、本サイトを活用して行った授業後に問題点の洗い出しや現場からの要望等を整理した。
【植物標本および植物標本画像データベースを活用した授業実践】では、開発したポータルサイトの有用性を高めるためのコンテンツ整備に向けた第一段階として、植物標本画像データベースを活用した授業を琉球大学教育学部に所属する理科を専門とする学生15名を対象に行った。各個人でデータベースへアクセスし、対象とする分類群の標本画像データから種ごとに葉の特徴を抽出させ、検索表の作成を課した。観察比較を通じて共通点や相違点を見出し、検索表を作成し、植物種を同定（分類）できることを受講生が理解できたと考えられる。この結果から、観察情報を得られる画像データベースの活用により「植物の分類」の理解を深める授業実践が可能となることが示唆された。育児休業を取得したことに伴い、実践がやや遅れている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本研究では、沖縄県を中心とした琉球列島島嶼域の植物的自然を活用した「生物の多様性と共通性」を実感できる学習支援プログラムの構築に向けて取り組んできた。2023年度は公開されたポータルサイトの標本情報更新に向けた収蔵標本の画像化と標本情報の整備、ポータルサイトの実用性の検証として植物標本画像データベースを活用した授業実践に取り組んだ。学術研究に利用されているデータの抽出や情報の整理、植物標本画像を使った「本物」の観察・比較を行うことで「植物の分類」の理解を深める授業実践が可能となることが示唆された一方で、授業後に明らかとなったサイトに関する問題点や要望があった。これらをもとに植物標本画像データベースの改善を行うとともにポータルサイトの有用性を高めるためのコンテンツを整備し、実用化に向けた研究を推進する。修正及び更新を行ったポータルサイトを琉球大学教育学部および実施協力校 (沖縄県立球陽高等学校・中学校、琉球大学教育学部附属中学校) のクラブ活動等で使用し、その実用性について生徒側と教員側それぞれの観点で検証を行い、各々の利便性を高めるよう工夫しながら、生物の多様性について様々な視点から考えることが可能となるポータルサイトの開発を引き続き推進していく。
|
