研究課題/領域番号 |
22K02965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
神田 啓臣 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90224881)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | オーニソガラム / 実習教育 / 花き栽培 / 球根類の促成栽培 / りん片培養 / 炭水化物代謝 / 花芽形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、花卉の栽培教育において球根等の種苗生産を学ぶための教材を開発することを目指す。 そのために、オーニソガラム・ダビウム(ユリ科の球根類)をはじめとするオーニソガラム属花卉を材料に用いて、①球根肥大に伴う同化産物(特に炭水化物)の代謝と花芽形成過程について調べて、球根成長のメカニズムを明らかにする。②球根肥大に効果的な栽培条件(施肥・温度)と炭水化物代謝・花芽形成との関係を調べる。 以上を通じて、「種苗生産(りん片培養)の技術」と「その基礎となる生理的機作(球根成長)」の両者を結びつけた新たな教材を開発する。
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研究実績の概要 |
オーニソガラム属花きにおける球根成長のメカニズムを明らかにすることを通じて、「種苗生産の技術」と「その基礎となる球根成長の生理的機作」の両者を結びつけた教材を開発することを目指した。 シルソイデス種の促成栽培に関する検討を行った。促成栽培は、秋~冬の低温・弱光期の栽培となることから、炭酸ガス施用を試みた。その結果、①2022年の施用では切り花長や切り花重の増大がみられたが、2023年には一定の傾向はなかった。②2023年には開花時期の球根の大きさも調べたが、施用によって球根が肥大する傾向はみられなかった。③上記結果となった原因として、2023年は暖冬であったため、2022年とは栽培環境に差があった可能性があるので、さらに検討を続ける予定である。 ダビウム種については、摘葉処理(同化産物のソース器官を減少させる処理)と摘蕾処理(同化産物のシンク器官を減少させる処理)が球根肥大ならびりん片培養に及ぼす影響を検討した。栽培期間中である2月に摘葉、3月に摘蕾を行って、6月に球根を掘り上げ、りん片を調製してMS培地に植えて培養した。その結果、①掘り上げた球根の大きさは「摘蕾区>無処理区>摘葉区」となった。ソース器官とシンク器官を増減させることによって、球根の成長を調節できることがわかり、教材利用の可能性が示された。②培養結果については、①と同様になることを期待したが、全区において不定芽の形成が不振となってしまった。この原因としては、過去の培養経験から、年によって不定芽形成が良好な時と不良な時があるようだが、その原因は不明である。今後はこの点も検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シルソイデス種については、促成栽培の技術としての炭酸ガス施用が、球根肥大へ及ぼす影響を明らかにすることで、教材利用の可能性を示す計画であった。2023年度は、実績概要にも記した通り、促成栽培の結果が昨年と異なるため安定した結果が得られなかった。また、施用による球根肥大の影響がみられなかった。そのため、教材利用の可能性についての検討ができなかった。 ダビウム種については、ソース・シンク器官の増減と球根の成長との関係について学ぶための教材開発、および、その球根を用いたりん片培養の教材化を目指した。前者については、教材化の可能性を示すことができたが、後者については、培養結果が不振であったため教材利用の可能性の検討はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
シルソイデス種については、実績概要に記した通り、①年によって炭酸ガス施用の効果が異なることから、施用効果を高めることが可能な栽培環境を明らかにするための検討を行う。具体的には、昼間の高温による影響を避けるために、昼間の換気や夜間の低温管理の効果を調べる。②炭酸ガス施用が球根の肥大に及ぼす影響もはっきりしていない。球根は同化産物のシンク器官であるため、「炭酸ガス施用→光合成増大→シンク器官への影響」という流れは十分に考えられることから、この点についてもさらなる検討が必要である。 ダビウム種については、①球根掘上時期に加えて、摘葉、摘蕾時期や開花時期の成長状況も調べることで、経時的な球根肥大の過程を明らかにする。②年によって、りん片培養の結果が異なる傾向がみられるため、この原因究明にもふれたい。具体的には、掘上後の球根に休眠打破処理を施してからりん片培養を行う等を試みる。
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