研究課題/領域番号 |
22K02971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 洋士 石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (10230492)
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研究分担者 |
亀田 卓 広島大学, ナノデバイス研究所, 教授 (10343039)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 非整数遅延 / 相対誤差 / 線形位相 / 相対遅延差 / 位相同期 / 無線信号計測 / 時間遅延 / オープンソース / 時空間同期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,高専や学部レベルでの教育に従事している全国の教員間で,ソフトウェア無線機をSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育に適用する際に必要となる基本的なソフトウェア実装を共有することで,それらを活用したSTEM教育を実施可能な状況を具現化することを目指している.その際に,電波に関する物理量などを安定かつ定量的に測定可能とすることが必要と考えている.複数台のソフトウェア無線機USRP上で時間・位相同期を確立するためのコードの実装・公開を行い,開発した環境で無線信号計測を実施した際の定量的評価結果を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,高専や学部レベルでの教育に従事している全国の教員間で,ソフトウェア無線機をSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育に適用する際に必要となる基本的なソフトウェア実装を共有することで,それを活用したSTEM教育を実施可能な状況を具現化することを目指している.ソフトウェア無線装置をSTEM教育に利用する際の要件の一つとして,定量性・再現性の担保がある.例えば,電波に関する物理量を測定可能とするために,定量性・再現性が必要である.そのためにまず必要な要件は,下記の(1)~(3)である. (1)無線信号の観測および測定を実施する際に必要となる時間・位相同期を,複数チャネル間または複数台のソフトウェア無線機上で実現する位相・時間同期確立コードの実装を示すこと,(2)プログラマブルな1サンプル未満の時間遅延の実装を行うこと,(3)1サンプル未満の時間差検出の実装を行うこと. (1)については,かねてから試みを行っており,現在取り組んでいる時間・位相同期のサンプル実装について,2022年11月に開催された電子情報通信学会スマート無線研究会で技術展示を行った.(2)については,0.001サンプルあるいはそれ以下の粒度でサンプル値信号の遅延を行う手法を提案し,2023年3月開催の移動通信ワークショップ/電子情報通信学会スマート無線研究会で報告を行った.(3)については,(2)に関する提案と併せて引き続き検討を行っている. 現在,(2)について論文として報告するための取り組みを継続している.本研究課題遂行のために必要な既存の機材が経年により破損するトラブルに見舞われており,その対応についても措置を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
帯域制限された実数値のサンプル値信号に対して単純遅延(振幅1,非整数遅延d)を生じさせる系の理想的なインパルス応答を考える.そのサンプリングと窓かけにより1サンプル未満粒度の遅延を近似する方法に着目し,窓かけによる近似手法の工夫と相対遅延差を利用することで,これまでに提案されている手法よりも実装が容易な手法の提案を研究初年度に実施した.整数遅延と1サンプル未満粒度の遅延dとの組み合わせにより,相対遅延差として任意の遅延量を実現可能としている. 電波に関する物理量を測定する際に,あらかじめ準備した測定用ケーブルの長さを既知の遅延量として扱うとともに,ソフトウェアで遅延量を1サンプル未満粒度で変化させることができれば,零位法に基づく電波に関する物理量(伝搬速度など)測定が可能となる.研究初年度に取り組んだ内容は,上記の明快な手法を可能としている.細かな工夫の積み重ねではあるが,研究目的の一部を達成する上で実際上有効であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
電波に関する物理量を定量的に計測することを可能とする要素技術の開発を行う.ソフトウェア無線機を用いて電波の伝搬速度を正確に測定する手法の実現は,その一例である.その後,研究代表者らが開発したサンプル実装を研究代表者のWebページで公開するとともに,その内容を各種の研究会で報告する.加えて,2つの信号間での微小な位相差を数値計算する手法の実装および室内空間でのGHz帯での電波伝搬路のインパルス応答の測定に取り組む. これらをSTEM教育として実施する際に,同軸ケーブル・アッテネータ・信号分配器などの測定用のアパラタスの使用周波数における特性値を把握しておく必要がある.既存のベクトルネットワークアナライザを用いてこれらの特性を評価する予定であったが,経年によりベクトルネットワークアナライザが破損してしまい,使用できない状況にある. そのため,研究初年度に研究予算の前倒し請求を行い,研究の継続を第一義として種々の検討を行った.その結果,現実に入手可能な機器としてリファービッシュト品のベクトルネットワークアナライザの調達を実施している.現時点では,補正係数が既知の校正キットを入手できておらず,手持ちの校正器での校正を試みている.
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