研究課題/領域番号 |
22K02973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 日本大学 (2023) 国立教育政策研究所 (2022) |
研究代表者 |
野内 頼一 日本大学, 文理学部, 教授 (00741696)
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研究分担者 |
伊藤 克治 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10284449)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 単元の指導計画 / 化学基礎 / 化学 / 高等学校 / 粒子概念 / 中高の接続 / 年間指導計画 / 高校 / 探究 / 学習プログラム / 評価 / 中等教育 / 課題の設定 |
研究開始時の研究の概要 |
生徒が主体的に取り組む授業を単元の中に効果的に位置付けることを通して,生徒の資質・能力の育成を図ることを目的とした。単元全体をデザインするためには,生徒が単元全体を見通し目的意識をもてるような授業を単元の指導計画の前半に位置付けること,生徒が探究の過程を意識して主体的に取り組める単元の核となる授業を指導計画に位置付けることが大切であると考える。一つ一つの授業を改善するとともに,改善した授業を単元の指導計画の中にどのように位置付けるのか,改善した授業が単元の中で果たす価値は何か等を明らかにして,「単元の指導計画」に着目した学習プログラム及び評価方法を考案する。
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研究実績の概要 |
新学習指導要領においては,主体的・対話的で深い学びの視点による授業改善が求められている。そのためには,生徒実験や探究活動など生徒が主体の学びを効果的に位置付けて単元の指導計画を構築し、生徒の資質・能力を育成することが重要である。単元の指導計画を構築するに当たって,どのような考え方で構築したら良いのか,その視点や考え方を優れた実践例の中から探ることを目的とする。 生徒が主体の単元の指導計画を構築する際には,例えば,二つの要素が大切だと考える。一つ目は生徒が単元全体を見通し目的意識をもてるような授業を単元の指導計画の前半に位置付けることである。二つ目は生徒が探究の過程を意識し主体的に取り組める単元の核となる授業を指導計画の中核に位置付けることである。 単元の指導計画を立案するに当たっては、観察・実験の授業や探究活動の授業を効果的に組み合わせて構築することが大切である。授業づくりに正解があるわけではないが、どのように考えて構築していけば効果的なのかはとても重要な視点だと考える。 理科教育学会全国大会においては,佐藤友2023は「酸化と還元」における単元の指導計画を電子の授受を意識させる単元開きを取り入れて示し,浦川2023は「物質量と化学反応式」における単元の指導計画をさらに見直す際のポイントを示し,松髙2023は「化学反応と熱・光」の単元の指導計画をエンタルピーとエントロピーの概念を生かして示し,柴田2023はモル濃度を学ぶ必要性を実感できるよう単元の指導計画を示し,出口2023はICTを活用した「溶液とその性質」における単元の指導計画を示して,単元の指導計画を構築する際の視点や考え方を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年6月5日(土)第1回化学授業研究会(web)を開催してから現在(2024年3月)まで,月に1回程度開催してすでに35回を数えることとなった。コロナ禍が契機となり、どの会議でもズーム等による開催が当たり前のように行われ、時間や場所に縛られず議論することが可能な環境が整った。そのおかげもあり、全国各地からメンバーが繋がって活発な話し合いが行われている。 相互に授業を参観するなど,現地への訪問調査を実施し研究協議を行い,実践の中から優れた要因を抽出して単元の指導計画及び評価方法の試案に生かすような取組と併せて,月に1~2回程度のズーム会議を定期的に開催し,計画と実践について議論を積み重ねてきたことにより,単元の指導計画の具体例をいくつか示すことができた。 その成果は、理科教育学会2023(高知大学)において、野内、浦川、佐藤友、松高、柴田、出口、石田、浅野らが研究発表を行い熱心な質疑応答が繰り広げられた。その他、日本化学会九州地区大会においては、松高、佐藤博義、柴田が実践発表を行い、参加者からは授業づくりのヒントになったと好評であった。
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今後の研究の推進方策 |
相互に授業を見学するなど,現地への訪問調査を実施して研究協議を行い,実践の中から優れた要因を抽出して単元の指導計画及び評価方法の試案に生かすとともに,月に1回程度開催している化学授業研究委員会(WEB)において議論を積み重ね,その成果を理科教育学会2024等で発表する予定である。 月に1回程度の化学授業研究会(WEB)においては、毎回15名前後が参加して活発な議論が展開されている。単元の指導計画に着目した授業づくりを構築し、その授業づくりや単元の指導計画づくりの実践報告に対して、理論と実践を往還させながら議論を積み重ねている。化学基礎(2単位)における物質量、化学反応式の量的関係、酸・塩基における実践は様々な角度からより良い単元の指導計画が構築されてきているが、化学(4単位)における単元の指導計画や授業づくりの実践はこれからさらに積み重ねていくことが必要である。特に無機化学の授業は知識の羅列に陥ってしまう可能性があり、どのように生徒が主体的に取り組めるように授業を構築するかその方向性を探っていくことが大切である。無機化学の分野は理論化学とのつながりや化学基礎とのつながりを重視した単元の指導計画を立案することにより、生徒が概念と概念を結び付けていけるような流れにすることも考えられる。単元の指導計画の中に、実験や探究活動を適切に組み込むことで生徒の資質・能力を育んでいくことを目指したい。
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