研究課題/領域番号 |
22K02979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
林 英子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (40218590)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Micro:bit / 化学実験教材 / 高精度温度測定 / 高精度温度センサープローブ / 無線測定 / Micro:Bit / 理科実験 / 温度測定 / 高分解能温度計 / ベックマン温度計代替 / 理科実験教材 / 教育用マイコン / 高感度温度計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、イギリスBBCが主体となって作った教育用マイコンマイクロビット(micro:bit)をプログラミング教育だけに用いるのではなく、小学校から大学までの理科実験や化学実験の装置としての活用を目指している。micro:bitを用いた温度測定・制御装置や電気化学的測定・制御装置の高精度化や自動化を活かして、理科に対して興味を深める実験教材を作り、その効果を検証する。学校での理科実験にmicro:bitを活用することにより、実感を持って身近な生活においてコンピュータが活用されていることを認識し、理科教育およびプログラミング教育の両者に興味を喚起することを目指す。
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研究実績の概要 |
ボード型マイコンmicro:bitをプログラミング教育だけに用いるのではなく、小学校から大学の理科実験や化学実験の装置としての活用を目指している。本研究で開発しているベックマン温度計の代替となる「プローブ型温度計」は、本年度は、昨年度に顕微鏡下の手作業で市販の高感度温度センサー(TI社、TMP117、2 mm×2 mm×0.7 mm)を測温プローブ化していたものを、専門企業に依頼してフレキシブル基板上に設置して測温プローブを量産化した。TMP117センサーは、結線の仕方で4種類のI2C通信のアドレス設定が可能であり、アドレス設定用の結線部分をフレキシブル基板上に設置することで、micro:bit に最大4本の温度センサを取り付けて測温できるように改良した。また、2台のmicro:bit間での無線通信機能を利用して、計測用のmicro:bitは棒状温度計に近い形状として、加熱中のビーカー内の溶液の測温を可能とし、化学実験に適した形に改良した。これを本学で行われる中高生向けの実験講座内での温度測定に活用した。 フリーのMicroPythonエディタであるMuエディタの描画機能を用いてリアルタイムグラフ表示を行っているが、実験開始時からのグラフ全体の描画には限界があった。これをMuエディタ上のPythonを利用してmicro:bitからのデータを、グラフ作成フリーソフトNgraphが実験中に読み込めるcsvファイル化した。時間的に多少遅れがあるが測定中のグラフ全体を描画できるようなった。 電気化学測定用のmicro:bitの活用については遅れているが、外部電源利用の電気分解での電流、電圧のデータを保存できるものを開発している。 開発したmicro:bit用のプログラムについては、研究室のWebサイトにてダウンロードできるように進めており、一部について公開を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R4年度の段階で、微小な高感度温度センサー素子をmicro:bitに取り付けるためのリード線への結線は、顕微鏡下での半田付け作業で行っており対応が遅れていた。昨年度に予定されていた、高感度温度センサー素子を測温プローブとして量産するための結線作業は、本年度に専門企業に依頼し8月に完成した。その後、引き続き温度計として改良を進め、中高生向けの実験講座で温度測定に活用するための複数班で無線通信を可能にするなど、当初の計画から遅れてはいる状態ではあるが比較的順調に進んでいる。温度センサープローブの高感度を活かしたまま,防水加工や被覆加工を行うことについてはまだ検討の余地がある。申請段階で本年度に実施予定であった電気化学測定についても取りかかり始めている。本年度中に外部電源を使った電気分解において、電圧値、電流値の記録とグラフ化については可能であることを確かめている。
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今後の研究の推進方策 |
micro:bitプローブ型温度計については、化学実験用に温度センサプローブの保護管について検討を行う。市販の棒状温度計で使われているステンレス管への封入は研究室では困難であり、現在は測温プローブをガラス管で保護しているが、さらに検討を行い改良を行いたい。また、複数の温度センサーの同時測定による教材等の活用例を拡大する。 グラフ描画については本年度にNgraphを用いてグラフ全容を描画できるように改良したが、少し遅れての表示であり、リアルタイムに描画できるように改良を行う。 電気化学測定への活用については、本年度の外部電源からの電圧・電流測定のデータロガーを、R6年度はmicro:bitから直接電圧印加できる形に改良して、電圧を自動的に変化させながら電流計測をできるようする。これを発展させたサイクリックボルタンメトリの開発についても行う。 成果の学会発表、web上でのプログラムのダウンロード・マニュアルの公開も進めていく。
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