研究課題/領域番号 |
22K02985
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
石橋 直 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80802842)
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研究分担者 |
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
石川 洋平 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50435476)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 電気回路設計 / 設計学 / 思考モデル / 中学生 / 技術科 / 回路教材 / 技術教育 / 専門家 / 電気回路 / 回路設計 |
研究開始時の研究の概要 |
学校教育において電気回路は主に「知る」学習の対象として扱われているが,創造的な人材の育成には,回路を自ら考えて「創る」学習,特に回路設計学習が重要である。本研究は,回路設計の専門家が行う創造プロセスに着目し,発話・視線・作業のプロトコル分析を通して思考モデルを開発し,回路設計学習に適用することを目指している。はじめに思考モデルを開発し,その後,教育実践を通してモデルの検証・修正を図る。教育実践では,電気回路について「知る」と「創る」を循環させる教育プログラムを考案し,技術教育として展開する。上記を通して,設計に必要な知識や考え方の解明といった教育研究の知見の創出に取り組む。
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研究実績の概要 |
当該年度(R5)は,前年度に提案した設計学に基づく電気回路設計の思考モデルを活用しながら,中学生における回路概念の理解の程度と設計の能力との関連性について調査し,その結果を参考に初学者に適した回路教材の在り方について検討した。 回路概念の理解の程度と設計の能力との関連性については,接続に関する概念(部品がどこに・どのように接続されているかを理解するための思考様式)に着目し,回路の図的表現の違いが中学生の理解に及ぼす影響について考察した。その結果,部品の位置関係や向きが変わると回路の理解度が低下する傾向にあることが認められ,さらに,配線図設計を適切に進めるためには,解となる回路を思いつくことに併せて,思いついた回路が適切な回路と同型であることを判断する内理解と非同型であることを判断する外理解の両方が求められることが示唆された。このことから,実物の回路を用いて設計学習を展開するためには,部品の位置や向きを自在に変更できる試行錯誤可能な教材が要求されることが推察された。 以上のことから,新たに「組み換え可能な回路教材」を開発した。組み換え可能な回路教材とは,短絡防止機能(ショートするとポリスイッチが作動し回路を保護するとともに警告音が鳴る)を備えた,自由な部品配置で回路構築できる教材のことである。部品同士の配線は,部品の端子部分に組み込まれたネオジム磁石の磁力で接続でき,配線や部品および部品配置の素早い変更をできるようにした。 この教材を用いて試行的に中学生を対象とした回路設計・回路製作の実験に取り組ませたところ,教材の機能面に問題はなく,生徒が興味・関心をもって取り組む様子を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では,2年次までに提案授業の本実践を完了する予定であったが,当該年度では試行実践に留まったことから,やや遅れていると判断した。生徒の実態分析に時間を要し,教材のプロトタイプ開発期間が必要となったことが主たる要因である。しかし,3年目を開始した現在では授業開発の見通しが立ち,授業実践(本実践)の準備も進みつつあることから,今後は適切な進捗状況に修正できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,学習者の思考の特徴を抽出し,それに適合した学習指導方略を検討し,その効果を授業を通して実証することが課題である。学習者の思考の特徴抽出に関しては,既に試行授業を通して被験者の発話・作業プロトコルを収集しているため,開発した思考モデルに即して分析を進めていく予定である。また,学習指導方略の検討と実証については,思考の特徴分析の結果に基づき,開発した回路教材を学習者の思考の流れに適切に位置づけた指導計画を考案し,複数回の実証授業を実施することで精緻なデータを得ていく。その後,得られた結果から,思考モデル・教材・指導方略の再検討を通して,より良い教育実践プランを提案していく。
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