研究課題/領域番号 |
22K02986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大渕 慶史 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (10176993)
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研究分担者 |
塚本 公秀 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 客員教授 (30155337)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 導入教育 / アクティブラーニング / 機械工学 / 電気自動車 / 自動車競技 / 実習教材 / VR / レース |
研究開始時の研究の概要 |
競技用乾電池自動車の車両設計を題材とした効果的なアクティブラーニング教材を開発する.学生は車両および走行パターンを設定し,その条件に対してシミュレーションで周回のラップとバッテリ消費を算出しつつ実験室に置いた実車に乗車してレースをVR体験できる. 実習課題において設計・製作を対象とする部分を実験で体験し,評価部分を仮想現実とシミュレーションで体験するハイブリッド方式となる. 開発した教材は授業をモニター学生に体験させ,教育効果の評価と改善を行う.
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研究実績の概要 |
本研究で開発する導入学習教材として,従来からの授業で行っていたモータ特性の測定実験結果に対してレースでの走行を関連付けた.学生は競技出場車両のカウル形状および走行パターンを設定し,その条件に対してシミュレーションで周回のラップとバッテリ消費を算出しつつ実験室に置いた実車に乗車させてレースをVR体験するもので,結果は実際の当該年度のレース結果と照合して順位の決定やエネルギ不足でのリタイアなどを体験できるものを想定した. 初年度においては対象とするエコカー競技「Ene-1 Challenge 鈴鹿」に参戦する車両の製作を行った.研究代表者が顧問を務める学生サークルが2019年度に大学高専部門で優勝を果たした車両が存在するが,これはサークル所有のもので授業への流用はできないため,この既存車両を基にして更に問題点を改善した車両の試作機を新たに製作した. 現在の授業実施の際に借用して使用しているモータ特性測定装置も,授業専用に新規に2組の製作を予定したが準備だけに終わった. 車両本体の走行性能評価については,以前にソーラーカーレース用車両ために製作した300kg級の車両用のシャシーダイナモの設計を基に,設計書と図面を参考に対象競技用の小型(100kg級)のものを設計し,既存装置を改造することにより製作した. これら製作物の評価は研究室所属の学生と学生サークルの構成員に依頼し,装置の評価のみならず,授業における活用および魅力ある授業内容についての意見聴取も行なった. また,次年度に制作を予定しているコースを1周する際に必要な消費電力とラップタイムを導出するためのシミュレーションについてもコース各地点での曲率と勾配を詳細数値化したものの作成と消費電力導出の定式化までを準備することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度において予定していた対象とするエコカー競技に参戦する車両の試作機として安価な材料での製作を行い,競技参戦は可能であることを確認できたが,当初予定のCFRP材フレームでの製作は競技参戦結果をフィードバックするよう計画変更した. 当初計画で予定していたモータ特性測定装置は完成には至っていないが,設計と製作準備までしか行なえておらず,製作は未着手となった. 車両本体の走行性能評価のためのシャシーダイナモは,以前のソーラーっカー用に300kg級の設計を基に新規製作する予定であったが,既存装置の今後の使用見込みがないことより,対象競技用の小型(100kg級)のものに改造することで必要な性能が得られたことを確認できている. 製作物の評価は研究室所属の学生と学生サークルの構成員により行い,授業内容についての意見聴取が未着手となっており,これも当初予定からは達成できていない部分である. 成果の公開も国際会議で2件,国内の支部大会で2件の発表を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
まず,前年度に設計段階で終わったモータ特性測定装置の製作を行う.その後,対象競技「Ene-1 Challenge 鈴鹿」が実施される鈴鹿サーキットの公開コースデータ(次ページ図)を基にコースを1周する際に必要な消費電力とラップタイムを導出するためのシミュレーションを開発する. 具体的には,コース各地点での曲率と勾配を詳細数値化したもの(作成済み)を基に,走行においての加速・減速およびコースの走行車線により異なる必要エネルギ(回生による再充電を含む)を10m区間ごとに算出する.使用する車両データと走行特性は前年度に製作した車両とシャシーダイナモで計測する. モータについては使用する18スロットのコアに巻線方式を4通りに変えたものに対し巻線数を3通り変えた計12種類を準備,予め性能特性を計測したものをデータベースとして使用する.そのため12種類の巻線による性能特性を測定し,さらに使用する線の直径および任意のターン数については理論により特性変化を求めることで,授業で使用するデータベースを作成する. これとは別に,車載カメラによる走行動画の撮影のため,前年度から新たに製作した車両で競技に参加して実際のコースを走行し,コックピットからのドライバー目線での画像をステレオカメラ(360度カメラ2台)で動画撮影し,VR教材でのヘッドマウントディスプレイで視聴するコンテンツを制作する予定である. 構築したノウハウによりどの程度の成績を収められるかを確認し,授業実施の際にリザルト(レース順位)を決定する際のリアルデータとして使用可能なものを目指す.
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