研究課題/領域番号 |
22K02993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
長谷川 裕紀 武庫川女子大学, 共通教育部, 准教授 (50422027)
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研究分担者 |
山下 紗矢佳 武庫川女子大学, 経営学部, 講師 (90757775)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 文理の選択 / 出前授業 / キャリア教育 / 理工系女子 / アンコンシャス・バイアス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、産学連携による女子生徒を対象とした理工系キャリア教育プログラムを開発する。対象は文系・理系コース選択前の中学生とし、理工系分野の裾野拡大を目的とした公立中学校での出前授業および大学内で理工系女子大学生との交流を目的としたワークショップを実施する。 本プログラムの有効性を測るエビデンスの導出のため、学校現場で取り組みが開始された「キャリア・パスポート」を利用し、理工系分野に対する意識の変化および理工系進路選択の意識の変化を検討する。さらに、地域企業と連携した人材育成循環モデル「ひょうごモデル」の確立をめざし、本研究ではその基盤構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、文理選択前の中学生を対象に、地域の特徴をいかした理工系キャリア教育プログラムを展開し、その有効性を測るエビデンスの導出を試みるものである。2023年度の実績としては、昨年度と同じ西宮市内の公立3中学校で中学1年生を対象とした出前授業を実施し、参加生徒に文系・理系の選択意識に関するアンケート調査を行った(合計593名)。その結果、「文系、理系のどちらに向いていると思いますか」という質問について、「理系」と回答した男子生徒は42%であったのに対し、女子生徒は20%であった。この結果は、得意な教科・科目を併せて調査した2022年度1年生の結果(男子生徒36%、女子生徒18%)と比較して、男子は6ポイント、女子は2ポイント高かった。 また、上記3校のうち1校では、2年生を対象とした出前授業を実施し、同様にアンケート調査を実施した(合計184名)。他2校では出前授業は実施せずアンケート調査のみを行った(合計392名)。その結果、3校全体において文理の選択意識で「理系」と回答した男子生徒は31%、女子生徒は16%で、それぞれ2022年度と比較して男子は5ポイント、女子は2ポイント低かった。女子生徒では2年次の出前授業の有無にかかわらず理系を選択する生徒が減少しており、また得意な教科・科目で「理科」を挙げた女子生徒が2022年度と比較して12ポイント低かった。一方「数学」を得意な教科に挙げた女子生徒は前年度と比較して4ポイント高かった。男子生徒も同様の傾向を示しており、理系選択者の減少に関しては得意と考える教科とその他の要因を含めて考察する必要がある。 さらに2023年度は理系進路意識を高めることを目的とし、女子中学生を対象としたオープンキャンパスを実施した。ワークショップおよびキャンパス見学の内容は好評であり、アンケート調査から理系進路の選択意識の高まりを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に出前授業を実施した公立中学校3校において継続的な取り組みを実施し、中学1,2年生を対象に出前授業やアンケート調査を行い、1,100名を超える生徒からアンケートを回収することができた。中学2年生は2年連続での調査となったが、2022年度との比較で男女ともに理系選択者が減少し(男子5ポイント減、女子2ポイント減)、得意な教科・科目については男女ともに「数学」は増加したが(男子2ポイント増、女子4ポイント増)、「理科」は減少した(男子5ポイント減、女子12ポイント減)。2024年度以降、引き続き3校での出前授業およびアンケート調査を行うことで、文理の選択意識とそれに影響を与える要因について考察していく。 また、理工系キャリア教育プログラムの1つとして、女子中学生を対象に大学のオープンキャンパスに合わせてワークショップを実施し、生徒・保護者を対象としたアンケート調査から、理系進路意識を高めるプログラムの有効性を確認することができた。2024年度はワークショップの回数を増やし、出前授業と連動した理工系キャリア教育のプログラム構築を行う。生徒の追跡調査に関しては、各中学校が実施している「キャリア・パスポート」との連携や卒業後の文理選択の追跡調査の実施可能性を含めて検討中であるが、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は前年度出前授業を実施した公立中学校3校において、継続的な取り組みを実施したが、2024年度も引き続き3校の生徒を対象に調査を継続し、生徒の文理の選択意識に及ぼす影響を明らかにする。 中学3年生は高校受験を控え、より文理の選択意識が明確になっていくことが考えられる。3年間の経年変化や男女差の比較などから詳細な分析を実施する。また、理工系分野に関心を持つ女子生徒を対象としたワークショップも実施し、理工系進路意識に与える影響を継続調査する。2023年度は試行的に建築分野のワークショップを大学のオープンキャンパスに合わせて開催したが、参加生徒・保護者から好評であり、2024年度は回数を増やし、中学生を対象とした早期体験プログラムが、理工系分野への進路意識に与える影響を明らかにしていく。さらに、出前授業実施校と連携し、生徒の追跡調査が可能な方法を検討し、理工系キャリア教育プログラムの展開とその有効性を測るエビデンスの導出に向けて内容の改善を検討する。
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