研究課題/領域番号 |
22K03012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 博 立命館大学, 教職研究科, 准教授 (40802153)
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研究分担者 |
堀江 未来 立命館大学, グローバル教養学部, 教授 (70377761)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 国際共同研究 / 国際科学教育 / 理系グローバル人材 / オンライン国際交流 / 国際サイエンスフェア / 課題研究 / 国際サイエンス・フェア / 探究学習 / スーパーサイエンスハイスクール / 探究型学力 / 科学教育 / 国際教育 |
研究開始時の研究の概要 |
これからの社会では高いグローバル資質が求められる。若い頃から広く海外文化に触れ、異文化への対応能力を増すことが重要であると同時に、国際社会で活躍するための資質として、共通のテーマに対して、課題を共有し、協力し、有効な解決方法を模索する「国際共同研究」の経験が必要と言える。高校時代にこのような経験をさせることに大きな意義がある。本研究では、高校生の「国際共同課題研究」の取組が、生徒のどのような能力を伸長し、将来、どのように活きるのかということと、「国際共同課題研究」のより有効な実践方法とは何なのかということを明らかにし、「国際共同課題研究」の取組を日本全国の高校生へ広く普及させることを目指す。
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研究実績の概要 |
「理系グローバル人材育成を目指す、高校生『国際共同課題研究』の教育効果と手法の考察」をテーマとして、理系グローバル人材育成において、高校生による国際共同研究の取組が持つ教育的効果の大きさを検証することと、その有効な普及方法の研究が今次研究における中心である。研究の主なフィールドとしている立命館高校での国際共同研究プロジェクトにおいて、今年度は、国内校22校、海外校19校による24テーマの共同研究が行われている過程を観察する中で、生徒の成長を評価するためのデータ収集を行ってきた。特に注目しているのは、そこで伸びる非認知能力である。理系グローバル人材にとって必要な能力の伸長に役立つと考えている。「AAR調査」という調査によって、その状況を捉えることを今年度の目標としてきた。 高校生による国際共同研究において、有効な効果を得るための手法を開発することを目指している。その中で、指導教員の果たす役割の重要性に注目している。適切な指導が行われるかどうかによって、生徒が得られる成果が大きく変わると考えており、より高い資質・能力を伸長するための指導方法を明確にすることを目指している。 同時に、他の高校での取組の状況や、立命館高校卒業生へのインタビュー調査等を行い、取組の有効性を示す事例等を集めた。収集した内容は現在、まとめている途中である。 また、海外で開催された国際科学フェアへの視察も行い、本研究で必要となる国際ネットワークの強化に努めた。 さらに、今次研究で計画している国際共同研究は、すべてオンライン上で連携を取ることで進めており、オンライン企画の運営に関わっての手段も研究対象として深めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り調査活動を進められている。研究フィールである立命館高校における国際共同研究プロジェクトも順調に進められており、有意義なデータが取れている。国内外の多くの教員との連携も取れており、様々な意見交換を行ってきている。本研究において、重要となる視点を整理できてきており、今後はそれらをまとめる作業へと入っていく。 国際共同研究によって伸びる非認知能力についても、AAR調査から一定の傾向を読み取れており、今後は個別のインタビュー調査へと入っていく予定である。 韓国でのKSA Science Fair(Korea Science Academy of KAIST)、タイでのKVIS-International Science Fair(Kamnoetvidya Science Academy)への視察も行い、海外教員とのネットワークも大いに強化された。 オンライン手法についての研究も進められており、有意義なオンライン企画を行うための手法を得てきていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本研究の最終年度であり、得られた成果をまとめることが中心となる。これまで取り組んできた内容の概要をまとめた冊子に向けて現在、原稿を整理中である。立命館高校においてこれまで取り組んできた国際共同研究の取組内容は、その有効な手法を検討する際の豊富な事例が含まれており、この冊子をまとめて関係各所へ配布することが有益であると考えている。 これまでの取組において得られた高校生による国際共同研究の教育効果をまとめて論文として発表することを目指している。そのことによって、この取組の有効性が確認され、今後、多くの教育現場へ広がっていくことを願っている。 また、立命館高校SSH事業において、国際共同研究における指導者マニュアルを作成することにも参画している。高校生による国際共同研究において、指導者は研究成果へ貢献することのみでなく、その経験を活かして生徒が成長するためになくてはならない存在であると考えている。同じことを経験した生徒でも、指導者の適切な指導があるかないかで、その経験を自己の成長に結びつけることができるかできないか、大きな差を生むため、適切な指導のためのマニュアルを作成することが重要と言える。このマニュアル作りにおいて、本研究の成果が活かされる点をまとめておきたい。 以上のことをすべてまとめて、研究分担者、研究協力者とともに、国際共同研究の教育的効果に関する書籍を出版したいと計画している。前回の科研費研究においてまとめた「世界とつながる科学教育~高校生サイエンスフェアを通して理系グローバル人材を育てる~」の続巻としてまとめておくことに大きな意義を感じている(ただし、書籍出版は次年度だけでは収まらないかもしれない)。
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