研究課題/領域番号 |
22K03018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻本 昌弘 東北大学, 文学研究科, 教授 (90347972)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 抵抗 / 集合行動 / 事例研究 / 歴史社会心理学 / 服従 / 死生観 |
研究開始時の研究の概要 |
研究課題とするのは,非人道的行為をする権力者への間接的抵抗である。抵抗には直接的抵抗と間接的抵抗がある。直接的抵抗とは,不利な処遇を覚悟のうえで権力者と対決することである。間接的抵抗とは,不利な処遇を被らないかたちで権力者に抵抗することである。ほとんどの間接的抵抗は,権力者に表面上は服従しておきながらこっそり逆らうという面従腹背のかたちをとる。研究は3つの柱からなる。第1に,歴史上の事例をもとに,虐殺や戦争の場面で発生する間接的抵抗について検討する。第2に,非人道的行為をする組織で発生する間接的抵抗について検討する。第3に,抵抗の背後にある死をめぐる心理的葛藤について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、非人道的行為をおこなう権力者への間接的抵抗を解明することである。権力者への抵抗は直接的抵抗と間接的抵抗の2つに大別される。直接的抵抗とは、非人道的行為をおこなう権力者と、処罰を被りうるかたちで対決する行動である。間接的抵抗とは、処罰を被らないかたちで権力者の非人道的行為を骨抜きにする行動である。正義を実現するうえで直接的抵抗が重要であることは言を俟たない。しかしながら、すべての人が処罰を被りやすい直接的抵抗をやれるわけではない。直接的抵抗をやらない人でも、間接的抵抗により権力者の非人道的行為を骨抜きにできる。ここに間接的抵抗の意義がある。これまで社会心理学において間接的抵抗を主題的に論じた研究はない。そこで初年度は、研究の第1歩として間接的抵抗の事例研究をおこなうことにした。 事例研究はおおよそ以下のように進めた。間接的抵抗の特徴が鋭く顕在化するのは戦争・虐殺・圧政下である。戦争・虐殺・圧政にかんする史料を数多く収集し解読する作業をおこない、間接的抵抗の事例を抽出した。とくに注目したのはナチ支配下の民衆の事例、戦前日本における徴兵忌避の事例、戦場で面従腹背行動をとった兵士の事例である。これらの事例を理論的・実践的観点から分析した。分析の焦点としたのは、間接的抵抗現象にみられる集合行動機制、間接的抵抗と思想信仰の関係、直接的抵抗と間接的抵抗の補完関係などである。 以上のような事例研究の成果を、2022 Annual Conference for the Society for Qualitative Inquiry in Psychologyおよび日本質的心理学会第19回大会において発表した。さらに研究成果を論文として刊行する作業に入った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度に予定していた史料収集と分析をすべて完遂し、その成果を国際学会と国内学会で発表することができた。現時点までに得られた研究成果を論文として刊行する作業にすでに入っている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点までの分析から、方法論について学術的に重要な論点を見い出した。今後、事例研究および歴史社会心理学の方法論について検討し、学会報告等をおこなうことを目指す。
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