研究課題/領域番号 |
22K03021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
竹村 幸祐 滋賀大学, 経済学系, 教授 (20595805)
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研究分担者 |
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60621604)
畑中 美穂 名城大学, 人間学部, 教授 (80440212)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 火災 / 防火 / 文化心理学 / 地域コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、火災・消防の時系列データを分析し、火災被害と防火行動の周期的変動と地域コミュニティ文化の関係を明らかにする。これまでの研究から、火災被害が減少すると、今度はその減少を促した防火行動が減衰する可能性が示されている。この火災における「被害の風化」とも呼べる現象は、どのような社会・地域でも生じるわけではないが、地域差の原因はまだ解明できていない。本研究は、文化心理学の知見・概念・方法論を用いて、どのような地域コミュニティで対策行動が減衰しやすいかを、火災・消防統計の時系列データに加えて、インターネットの検索行動データ、郵送調査データ、ネット調査データを組み合わせて分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、「火災」という脅威をモデルケースに、脅威に備える行動が社会の中でどのように維持されるかを社会・文化心理学の観点から解明しようとするものである。火災を起こさないためには日々の生活の中で様々なことに注意を払って火を管理する必要がある。火災は高頻度で生じる脅威ではないが、それゆえに注意を持続することは容易でなく、「うっかり」が発生する。本研究は、個人が単独で防火行動を持続するプロセスではなく、他者とのやり取りの中で持続させるプロセスに注目しており、防火行動が維持されやすい地域コミュニティの特徴の解明を目指している。 2022年度には、長野県の3市町村で消防団員を対象としたアンケート調査を実施した。この調査では、消防団員に加えて、その団員の身近な人物(家族や友人)も対象とした。分析の結果、消防団員としての経験が長い人ほど日頃の防火に注意していることに加えて、非団員であっても、団員と火災関連の会話を多くする人は日頃の防火に注意していることが見出された。これは、防火行動が消防団員を介してコミュニティ内に広がることを示唆する結果である。また、消防団員自身も、他の団員との会話の中で日頃の防火行動を持続させていることを示唆する結果も得られた。これらは、防火行動が社会的相互作用の中で維持される可能性を示す知見である。 2022年度は、さらに、各種の大規模データの整備を進めた。ひとつは研究代表者が過去に実施した一連の大規模郵送調査のデータ整備である。この一連の調査では西日本の広い範囲のデータを複数回に渡って取得しており、この複数回分のデータを整備・連結させる作業を進めた。これにより、地域コミュニティの特徴(e.g., 社会関係資本)の時系列データが分析可能な状態となった。もうひとつは京都府の火災・消防統計の公開データで、分析作業を進められるよう、機械判読可能な状態に整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたデータ整備が順調に進んだ。さらに、当初は予定していなかった消防団員の調査を実施する機会に恵まれた。京都・滋賀での郵送調査の実施を見送ったが、2023年度に実施する方向で進めている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症をめぐる対応に変化があり、種々のコミュニティ活動もコロナ前に近い状態になっていると思われる。予定していた郵送調査を実施し、地域コミュニティの社会関係資本等のデータを収集する。同時に、公開統計データの整備・分析も進め、郵送調査データとの紐づけも行う。Google Trendsを用いた時系列データの収集はまだ実施に時間を要するが、準備を進める。
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