研究課題/領域番号 |
22K03023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大森 哲至 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (50720041)
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研究分担者 |
大下 茂 帝京大学, 経済学部, 教授 (20638861)
尹 成秀 帝京大学, 文学部, 助教 (70793793)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 複合的災害 / 精神的健康 / 被災者支援 / 精神健康 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では災害から10年後の時点で大熊町被災者を対象に日本版GHQ28を使用し、複合的災害による被災者の精神健康の長期的影響の特徴や精神健康の悪化に影響を及ぼしている諸要因の因果関係、メカニズムを実証的に検証し知見の積み上げと体系化をする。 次に災害からの回復過程において被災者は常に受身的な立場にいるわけではなく、問題を自ら克服しようと日々努力している。しかし先行研究を概観すると被災者の災害から立ち直っていく自己プロセスに関する科学的知見は少ないのが実情である。本研究では被災者の日常的な自助的努力についても検証し、今後の被災者支援において被災者自身が取り組める支援策を提案できるようにする。
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研究実績の概要 |
本研究の主要な目的は、2011年に起こった福島原発事故によって現在も避難生活や困難な生活再建を余儀なくされている福島県大熊町の被災者を対象とし、災害の発生から12年後の被災者の精神健康状態や生活再建プロセスについて実証的に検討することである。福島原発事故の被災者のケースを考慮すると、被災者は東日本大地震による自然災害の被害と福島原発事故による科学技術災害という複合的災害の被害を被っている。複合的災害の被災者の長期的影響を明らかにすることはわが国の災害研究に新たな問題提起をしている。複合的災害の被災者の長期的影響について実証的、縦断的に検討している研究はわが国や海外でも少ない。したがって本研究では複合的災害の被災者の長期的影響や精神健康の悪化に影響を及ぼしている諸要因の因果関係やメカニズムについて実証的に検証し、そこから得られた結果を今後の被災者支援に活かしていきたいと考えている。 2023年度は本研究課題を明らかにするために本調査を行なった。具体的には下記の通りである。 ①2023年8月、9月に福島県大熊町役場を訪問し、12月に実施する本調査(アンケート調査)について具体的な実施方法について協議を行なった。②2023年12月に福島県大熊町の20歳以上の住民を対象にQRコードによるアンケート調査を実施した。③2024年2月、3月に福島県大熊町を訪問し、個別配布法によるアンケート調査を実施した。 現在も個別配布法による調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①本年度は、本研究課題を明らかにするため、福島県大熊町に住む20歳以上の住民を対象に本調査(アンケート調査)を実施した。調査を実施するうえで2023年8月と9月に福島県大熊町役場を訪問し、担当者と協議をしたうえで2023年12月にQRコードによるアンケート調査を実施した。 ②2023年12月に実施した本調査では、事前にこちらの想定していた回収率よりも回答率が低かった。回収率が低かった理由として、大熊町の場合、高齢者の割合が高く、スマホを使用してのQRコードでの回答が適さなかったことが考えられた。以上のような状況をふまえ、再度、研究分担者および福島県大熊町役場担当者などと協議をし、2024年2月、3月に福島県大熊町を訪問し、個別配布法によるアンケート調査を実施した。ここまでの進捗状況として、個別配布法により現在まで120枚程の調査票の回収ができており、引き続き個別配布法による調査を継続していく予定である。本研究の研究計画では、2024年3月までに調査票の回収を終了する予定であったが、QRコードによる回収率がこちらの想定していた以上に低かったことにより、若干の計画を変更せざるを得なかった。しかし研究協力者の協力を賜り、2024年5月頃には調査票の回収を終えることが可能な状況であるため、おおむね予定通りに進捗できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本研究課題の最終年度となるので、調査票の整理と分析を行い、本研究の調査結果を最終報告書および学術論文としてまとめることを最優先課題とする。また研究結果については、福島県大熊町役場および大熊住民にフィードバックをし、今後の被災者支援に有効に役立てることができるような対応策について、検討していきたいと考えている。
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