研究課題/領域番号 |
22K03029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
金川 智惠 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (70194884)
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研究分担者 |
石盛 真徳 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (70340453)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リスクコミュニケーション / 公正性二基準モデル / 新型コロナウィルス / 内容分析 / リーダーシップ / PMリーダーシップ論 / Covid-19 / 公正性に基準モデル / リーダーシップPM論 / メッセージ構成順序 / 効果性測定 / メッセージ構成 / 順序効果 |
研究開始時の研究の概要 |
2022年は従来政府が実施したcovid-19リスコミの効果性を首相の リーダーシップ行動の評価という観点も加えて検証する。そのためにウェブ調査とニュージーランドのアーダーン首相のリスコミの実態との比較も加えて検証する。2023 年度は 2022年度で得たリスコミのコンテンツを、緊急事態下リーダーシップ条件あり・なし群に再構成し、ウェブ2 波によるパネル調査を実施する。第1波では各条件毎750名、計1500 名に、4 週間後にcovid-19 感染予防に関する行動変容測定のための第 2 波調査を500 名を対象に実施する。2024 年度は緊急事態下の効果的リーダーシップ用マニュアルを作成する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、covid-19 のリスクコミュニケーション(以下リスコミ)の効果性を、緊急事態下におけるリーターシップという古くて新しい視点から再吟味することである。その際、(1)2020年から2021年の政府からのcovid-19 リスコミに関する、コンテンツの実態把握と「事実性・配慮性」メッセーシの提示順序からの問題点の析出、(2)ニュージーランドの首相のリスコミに関する同様の分析、(3)リスクメッセージ構成順序に関する、「配慮性」メッセージ、次いで「事実性」メッセージの提示順序効果仮説の検証、 (4)リスコミの結果変数としての信頼性醸成の指標にリーダーシップも加味した効果性の検証について検討する。 2022年度は、(1)リスコミの実態把握に関して、公正性二基準モデルの、「事実性・配慮性」分析用のcoding systemを構築し、(2)アーダーン首相のリスコミとの比較研究のため、Waikato大学(New Zealand)のMilfont教授と比較研究の方針を検討した。2023年には、リスコミの内容分析を実施。その結果、最も多く述べられていた(分析ユニットの総数1317)のは、「事実性」(リスクメッセージが本当のことを伝えているとどれほど疑念なく感じられるか)のうちの「事実性・出来事の開示」(38.21%)、「配慮性」(リスクメッセージに受け手に対する配慮が感じられるか)は、「受け手の感情・立場理解」(8.41%)であった。事実の開示後の対処については、所信表明は観察されるも、具体的な対処方法などの表明は5.38%に留まっていた。 また、リスコミの実態把握を深化させるべく、大阪府のcovid-19リスコミ責任者(当時)の研究協力を得て、リスクの伝え手の現場からの視点の導入と分析も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に予定していた大規模調査のための準備が以下2点の根拠から、ほぼ計画通りに進捗していると考える。 本調査実施に当たっては、(1)公正性二基準モデルの「事実性」「配慮性」両次元から成る模擬リスコミのコンテンツの作成、(2)その提示順序を考慮したコンテンツの具体的構成、が必須である。(1)について2023年には、政府のcovid-19に関するリスコミの分析結果からその問題点を析出できたため、2024年度現在、かつてモデル的リスコミと高評価であったニュージーランド首相のリスコミコンテンツとの比較検討を実施し得ている。これにより、「事実性」と「配慮性」を具備した模擬的リスコミコンテンツを6月には完成が見込める。(2)については、完成した模擬的リスコミコンテンツを用い、「配慮性」メッセージ、次いで「事実性」メッセージという提示順序の効果性仮説を検討すべく、具体的なリスコミメッセージの構成を完成させることが7月中には可能である。 以上のプロセスは、2024年度11月頃に予定している、大規模調査の実施を十分可能とするスケジュールであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、大規模調査の実施と分析、結果の検討、リスコミ現場への提言を目的としている。これを遂行すべく、遅滞なく研究が進捗することに注力している。そのプロセスは以下4つのプロセスを経ることを予定している;(1)「事実性」「配慮性」両次元から成る模擬リスコミのコンテンツの作成、(2)その提示順序を考慮したコンテンツの具体的構成、(3)「配慮性」メッセージから「事実性」メッセージの提示順序の効果性の検証、(4)分析内容に基づくリスコミ現場への提言の作成。 今後の中心となるのはリスクメッセージの効果性の検証である。(3)に関して本研究では、リスコミの効果性を、リスクメッセージの送り手たるリスク管理者(政府・関連省庁など)への信頼感を中心に検討する。加えて、このリスクメッセージのコンテンツが、提示順序構成により、リスク管理者のリーダーシップ評価にどのように影響を与えるのかも、PMリーダーシップ論の観点から検討する。今回のリスク対象は、covid-19を中心とし、「配慮性」から「事実性」の提示順序効果仮説を検討するが、更に南海トラフなどの大地震、地球規模の気候変動などのリスクも取り上げ、提示順序効果仮説のrobustnessを検討する。
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