研究課題/領域番号 |
22K03035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
青木 隆太 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任准教授 (50751103)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | fMRI |
研究開始時の研究の概要 |
社会的な動物であるヒトは、ときに自らの利益を犠牲にしてまで他者を助ける行動をとる。こうした利他的行動は他者が受けている苦痛に対する共感によって促進されることが知られており、社会心理学や社会神経科学における重要なトピックとして研究されてきた。一方で、援助を必要とする他者が目前にいない場合には、他者が感じる痛みを想像する力(イマジネーション)が利他的モチベーションに大きく影響すると考えられる。本研究では脳機能イメージングを用いて、イマジネーションに関連する脳領域が共感や意思決定に関連する脳領域とどのように相互作用し、利他的な行動や意思決定に影響するかを検証する。
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研究実績の概要 |
傷ついている他者を目にすると情動的共感が喚起され,利他行動(援助行動)が促進されることが過去の社会心理学的研究により示されている。このことは逆に,困難な状況におかれた他者が時間的・空間的・社会的に遠い距離に存在しその苦痛を直接目にすることがない場合,彼らにとって必要な援助が(時に社会的なレベルで)集まりにくいことを意味している。本研究は,心理的距離が遠い他者に対する利他行動がイマジネーションによって促進されるかを,経済ゲーム(意思決定課題)および脳イメージングを用いて検証することを目的としている。 2023年度は昨年度までに取得したfMRIデータの解析に引き続き取り組んだ。これまでの解析で,時間的に遠い他者に対して利他的な行動(経済ゲームにおける金銭配分)を取るかどうかの意思決定をしている際には側頭頭頂接合部(TPJ)や前部帯状皮質(dACC)が関与するという結果が得られている。しかし,価値に基づく意思決定全般やイマジネーション・展望的思考に重要であるとされる前頭前野腹内側部(vmPFC)や前頭極(frontal pole)が関与するという証拠は得られていない。vmPFC や frontal pole ではTPJ などの領域と比べてそもそもfMRI信号の精度(SNR)が低いことが一因となっている可能性がある。現在,新たな実験を計画するとともに,vmPFC や frontal pole におけるfMRI信号精度を高める撮像法・解析法を検討している。予備的な実験からは,近年普及が進んでいる multi-echo EPI を用いた撮像法が vmPFC におけるfMRI信号精度の向上に有効であることが示された。さらに,NORIDC (NOise reduction with DIstribution Corrected PCA) と呼ばれるノイズ除去手法の効果も検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
取得済みのfMRIデータの解析を引き続き実施し,イマジネーションに関与する脳領域に特に着目した解析や新たな実験のデザインを進める。2023年度に開始した(vmPFCにおける)fMRI信号精度の向上を目的とした撮像法・解析法の検証は,本研究課題に限らず precision functional mapping という文脈で幅広い有用性を持つ知見を得られる可能性があるため,2024年度にも継続する予定である。
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