研究課題/領域番号 |
22K03050
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清河 幸子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (00422387)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | アイデア生成 / 協同問題解決 / 自己/他者 / 問題解決 / 推敲 / 言語化 / 協同 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,グループ・ワークの中で生じるプロセスのうち,他者のアイデアを参照することに着目し,(1) 新規で独自性の高いアイデアを生成することが求められる創造的問題解決に及ぼす影響を検討する。その後,(2) 促進効果を高める条件を特定する。最終的には,(3) 大学での教育場面に適用可能な指導枠組みを開発する。
|
研究実績の概要 |
他者と協同する中で,他者のアイデアを参照することや自分のアイデアを他者に説明することなど,問題解決を促進しうるプロセスが生じる。本研究では,このうちの他者のアイデアを参照することに焦点を当て,効果的な協同のあり方を検討した。先行研究では,他者のアイデアを参照することで問題解決が促進されるという知見 (e.g, Dugosh et al., 2000) もあれば,妨害されることを示す知見もある (e.g, Smith et al., 1993)。また,促進効果を得て,妨害効果を軽減するための方策として,個人での取り組みと他者のアイデアを参照できる状況を交互に行うことがある (e.g, Bernstein et al., 2018)。この方策は一定の成功を収めているが,どの程度一般性をもつかについては検討の必要がある。 以上より,本研究では,アイデア生成課題を用いて,個人での取り組みと他者のアイデアを参照することを交互に行うことが問題解決を促進するかどうかを検討した。123名の成人がオンライン実験に参加し,常時呈示条件,断続呈示条件,参照なし条件の3条件にランダムに割り当られた。30秒を1試行として,7試行で「投票率を上げるための方法」についてできるだけ多くのアイデアを出すよう求められた。参照なし条件では,他者のアイデアは呈示されなかった。常時呈示条件と断続呈示条件では,参照なし条件の参加者が実際に生成したアイデアセットの中からランダムに選ばれたものが呈示された。常時呈示条件では全試行で呈示されたのに対して,断続呈示条件では,1,4,7試行でのみ呈示された。生成されたアイデア数を比較したところ,条件間に有意な差は見られなかった。この結果を受けて,他者のアイデアを参照することがアイデア生成を促進するための条件について議論した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り,個人での取り組みと他者のアイデアを参照することがアイデア生成に及ぼす影響を検討した。この成果は,2024年7月にロッテルダムで開催されるCognitive Science Societyの年次大会でポスター発表をすることが決定している (Member abstractでの採択)。しかし,アイデアの質に関する比較が完了していないことから,早急に実施する必要がある。また,オンライン実験では,参加者が呈示された他者のアイデアを参照しているかどうか,参照している場合にはどのように参照しているかを確認できないことから,対面実施での再検討も必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
まず,既にデータの収集が完了した研究に関しては成果発表を行う。具体的には,Cognitive Science Societyの年次大会で発表を行い,そこで受けたコメントを参考にしつつ,論文化を行う。次に,オンライン実験での手続き上の問題点を克服するため,対面実施で追試を行う。さらに,アイデアの質についての検討を行う。対面実施とアイデアの質の評価には,研究補助者を雇用して進める。
|