研究課題/領域番号 |
22K03060
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
岸本 健 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (20550958)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 指さし / 乳幼児 / 養育者 / 身振り / 言語 / 幼児 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ポスターや玩具で装飾されたデコレーテッドルーム内における母親との相互交渉時に産出される12ヵ月齢児の身振り (指さし・手さし)に対し,指さしで応答するよう母親に教示することが,12ヵ月齢児の指さしを促すかどうかを確認する。具体的には,乳幼児の指さしに指さしで応答することが乳幼児の指さしを促進すること,そしてそれが,乳幼児の後の語彙獲得を促進する可能性があることをまとめた動画を作成し,母親に視聴いただく。この介入により,実際に乳幼児の指さしに対する母親に指さしが促進されるか,そしてそれが児の指さしを促進するか確認する。さらに,指さしを促進された児で,後の語彙獲得が促されるか検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,乳幼児の指さし産出を促す効果的な介入方法を開発しその効果を検証すること,そして指さし産出を促すことが,乳幼児の後の言葉の発達を促すかどうか検証することであった。乳幼児の指さしの産出には養育者の指さしの産出がポジティブに作用することが申請者の研究結果で分かっており,養育者の指さしの促進が乳幼児の指さし産出の促進の鍵と考えられた。そこで,乳幼児と養育者の双方の指さしを効果的に引き出す装置として,2022年度に引き続き,2023年度も絵本の効果を検証した。2022年度中には,起承転結のある物語絵本と比較して図鑑絵本を読む際,乳幼児と養育者ともに高頻度で指さしを産出していたが,更なる分析の結果,物語絵本を読む際には,これまでにも繰り返し観測されてきた養育者と乳幼児の指さしの頻度の間の正の相関関係が見られた一方,図鑑絵本を読む際の乳幼児の指さしと養育者の指さしの頻度には相関関係がなかったことがわかった。この結果は,乳幼児の指さしが養育者の指さしとは独立して生じていた可能性を示唆しており,図鑑絵本を読む際,乳幼児は養育者の指さしとは関係なく指さしを産出していることが考えられた。これまで,乳幼児の指さし産出には,先行する養育者の指さしが不可欠と考えられていたが,図鑑絵本では物語絵本の場合と違い,乳幼児が養育者の指さしからより自由に指さしを産出できる可能性が考えられた。こういった図鑑絵本の特徴はこれまで報告されてこなかったことであり,さらなる検証により,物語絵本による効果的な乳幼児の指さし産出の促進が可能になる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度より申請者は聖心女子大学学生担当副学長に任命された。これに伴う校務の増加にともない多忙となり,研究活動に十分に時間を割くことができなかった。このような中でも,追加のデータ収集やデータの再分析を実施し,研究活動を止めることはなかったものの,十分な研究成果を得られたとはいいがたく,進捗はやや遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の収束に伴い,乳幼児に対する観察は昨年度と比較して格段に容易となった。このため,2024年度の春より,新たに研究参加いただける乳幼児と養育者のリクルートを実施し,既に何組かより快諾を頂けた。そこで,本年度については,ここまでに述べてきた絵本の効果についてさらに研究を進める。2024年度の秋までに観察を終え,分析に移行する計画である。またこれと並行して,今年度は養育者の側の指さしについても着目する。乳幼児の指さしの産出を促進するとされる養育者の指さしを効果的に引き出すための方策を検討する。まずは,養育者がどのようなタイミングで乳幼児に対して指さしを向けているのかを,乳幼児と養育者との相互作用場面の観察を通して明らかにする。こちらについても,今冬までに観察・分析を終える計画である。
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