研究課題/領域番号 |
22K03067
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
梅崎 高行 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (00350439)
|
研究分担者 |
酒井 厚 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70345693)
眞榮城 和美 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (70365823)
久崎 孝浩 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (70412757)
室橋 弘人 金沢学院大学, 文学部, 准教授 (20409585)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 社会情動的スキル / 発達的カスケード / 共感 / 年中児 / 縦断調査 / 情動コンピテンス / 社会的情報処理モデル / 就学レディネス / 学業達成 / 行動抑制の制御 / 養育態度 / 仲間関係 / 就学移行期 / 社会的情報処理(SIP)モデル / 社会性と情動の学習 |
研究開始時の研究の概要 |
対人関係の問題が学力不信を招き,児童が社会的孤立を深めていく悪循環に歯止めがかからない。背景に,子どもの未熟な自己制御と情動コンピテンスの問題が指摘されており,国内外で社会性と情動の学習が進められている。プログラムの効果や実践を裏づけるエビデンスは蓄積されつつあるが,包括的かつ予防的な支援を行うには,認知・情動がいかに仲間関係や学業達成に関わるかについての基礎的な知見が不足している。本研究では,情動コンピテンスの醸成に関わる心的ステップの把握に,社会的情報処理モデルを援用し,仲間関係の形成に関わる認知・情動的な機能とその背景要因を明らかにして,学校適応をめぐる子どもの社会情動的な発達を捉える。
|
研究実績の概要 |
本研究では,社会的情報処理モデル(Crick & Dodge, 1994)に基づき,就学移行期を通じて幼児が適応や発達を遂げていく過程において,幼児の性別や気質的行動特徴,家庭の養育態度や育児ストレス,園・保育者の保育方針等が相互にどのように関連するのか,発達的カスケードの分析パラダイムを用いて解明することを目的としている(Lansford et al., 2010)。この研究で特に注目するのが,社会情動的スキルとしての情動コンピテンスである(Caporaso & Marcovitch, 2021; Durlak et al., 2016; Halstadt et al., 2001; Kupersmidt et al., 2010; Saarni et al., 2006)。このコンピテンスを,仲間関係における仮想的な挑戦的場面を設定したインタビュー(以下,CST-R)調査によって測定し(Denham et al., 2013),時系列的変化の様相が個人の属性や環境的要因を媒介して向社会性や就学レディネスに関わる過程から,養育や保育実践に対する示唆が得られるものと期待される。 当初計画に従い今年度は,年中児となった対象児ならびにその養育者や保育者からデータを回収した。2時点目の情報が収集されたCST-R調査では,情動面・行動面ともに発達的に望ましいと考えられる反応を増やし,年少時点(N=311)から年中時点(N=308)にかけて,統計的に有意な変化を遂げていることが示された。なお,仮想的挑戦的場面に即して,他者への非共感的な(自らは例示された遊び(砂場で遊んだり,サッカーボールで遊んだりなど)を行わないため,ここで示された挑戦的状況について何も感じないといった)反応が複数の園児に見られた。この情報は今後,得られた結果の解釈に活かすべき内容であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応諾書を回収し,調査に参加した321家庭のデータ回収数(回収率)は,以下に示す通りであった。ここでT1, T2の表記は調査時点を示している。 保育者および園(施設長)T1調査は316件(98.4%),保護者秋T1調査は319件(99.4%),保護者春T2調査は315件(98.1%),対象児T2調査は308件(96.0%)であった。 このうち対象児調査は,園児の通園施設を訪問して行っている。訪問日に欠席した園児はビデオ通話により対応を行った。内訳は,対面でのデータ回収が280件,ビデオ通話を用いた回収が28件であった。 対象児データを回収できなかった理由は,(1)当初より非応諾(6件),(2)園児の発達特性(2件。同理由により年少時点で回答が得られなかった4件のうち,2件は今回の調査で回答が得られた),(3)調査辞退および未返信(5件)であった。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度同様に今年度も,保育者および園(施設長)T2調査(6月),保護者秋T2調査(10月),保護者春T3調査および対象児T3調査(2~3月)を進めていく。 引っ越しにより,継続調査の一部またはすべてに応じていただけない/辞退を申し入れられる状況も生じているが,引き続き協力家庭ならびに園との関係を維持し,丁寧な説明を行って回収率の低下を抑制していく。
|