研究課題/領域番号 |
22K03071
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 真里 東北大学, 教育学研究科, 教授 (10376973)
|
研究分担者 |
越中 康治 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (70452604)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 集団責任 / 集合的罪悪感 / 幼児 / 児童 / 道徳判断 / 責任判断 / 発達 / 内集団バイアス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、本人の関与の程度、および集団の評判の理解の観点等から、幼児期から児童期にかけての発達を整合的に説明する集団責任判断の発達モデル作成を目指す。具体的には、(1)集団責任理解は何歳で可能になるのか、(2)幼児期から児童期にかけての判断の変化、(3)判断に関係する要因は何か、という3つの問いに答えることとする。なお、集団責任を認めることが必ずしも正当な判断であるとは限らないことを踏まえ、発達的変化とは、集団責任を認める基準の変化ととらえる。また、集合的罪悪感の観点からも追及する。
|
研究実績の概要 |
内集団成員の行動に対する責任である集団責任は、集団間関係の主要な問題であるが、発達研究は乏しい。また、集団責任を認めることは幼児でも可能であるという知見と児童期中期以降であるという知見が混在している。本研究は、幼児期から児童期にかけての集団責任理解の発達を探り、先行研究における知見の混在の解決を目指す。昨年度に引き続き、幼児と児童を対象に、集団責任の理解をビネット法を用いて検討した。本人の関与度(傍観またはやりとり)と逸脱者との関係(知らない人と友人など)を組み合わせた複数の場面(他者に迷惑をかける場面、他者を害する場面など)に対し、複数の評定(悪さ評定、罪悪感評定、謝罪の必要性)を求めた。幼児(5,6歳児)に対しては個別面接、児童は質問紙調査であった。また、実際の行動との関係も探るために、親による子どもの社会的行動の評定も求めた。 分析の結果、幼児でも集合的罪悪感を理解している可能性がある一方、悪さ評定については幼児と小学生の間で差が見られることが示唆された。このように集団責任の側面(感情か、善悪判断か)によって発達の様相が異なることが、先行研究においてみられる発達差の不整合の一因でもあると考えられる。また、集団責任を判断する際に利用する判断材料(本人との関与度と本人と逸脱者との関係)にも発達差があることが示唆された。 また、悪さ評定(集団責任を認める傾向)と親評定による社会的行動に関係があることも示唆された。 文献調査に加えて判断の理由づけを精査することから、集団責任判断に関係する認識や能力について仮説をたて、次年度の調査計画をたてた。また、子ども自身に「行為の悪さ評定」を求める手法のみでは、子どもの集団責任の理解をとらえることに限界があることを踏まえ、判断の仕方の改善も検討し、次年度の調査実施に向けて具体的にシナリオ作りを進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の実験場面の確定とデータ収集の開始が遅れたため、発達差を規定する要因を検討するための調査が3年目にずれ込んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
第1に、幼児と児童の間で生じた判断の差が、いかなる要因と関係するのかを検討するための調査を行う。今年度使用した場面を基本とし、幼児と児童の判断過程が明らかになるように提示場面を微調整した複数の場面を用いる。第2に、責任の理解を「罰」の側面からも探ることにより子どもの集団責任の発達を検討する。
|