研究課題/領域番号 |
22K03072
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
宮崎 章夫 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90312769)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 認知症 / 行動と心理症状 / 攻撃 / 情動コンピテンス / 視点取得 / 共感 / 熟達化 / 認知症ケア |
研究開始時の研究の概要 |
他者や自己に生じる様々な感情を知覚、理解、表現、調整、活用する力量を包括する概念として情動コンピテンス(Emotional Competence; EC)がある。認知症ケアは高い水準のECを必要とする仕事であり、介護職員は周囲の支援を受けながら、仕事の中で様々な研鑽を積むことによりECを発達させていく。本研究では、勤務経験を積んだ職員の観察調査と面接調査を通して、ケア実践を通して形成されるECの特徴と、その形成を導く諸要因を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
計画2年目に当たる本年度は主に2つの研究を行った。 第1に、認知症ケアの分野で長い勤務経験もつ職員6名を対象とした面接調査を実施した。まず仕事を始めた当時から現在までの職場経験の振り返りを求めた。その上で情動コンピテンスの形成につながった経験や職場環境などについて、とくに先輩、同僚、利用者との関係性に焦点を当てながら語ってもらった。その結果、職員の共感性を支えている重要な態度として「対等な関係性」という概念が導出された。この「対等な関係性」とは、職員が利用者や他の職員との間に人として対等な関係を築こうとする姿勢である。この態度の重要性として、たとえば職員が入居者を見下すのではなく、かといってヘリ下るのでもない、対等な関係性を求めることが、入居者のことを深く理解しようとするケア実践につながることが示唆された。 第2に、情動コンピテンスの形成因を探索するための追跡調査を開始した。この量的調査では認知症対応型グループホームと特別養護老人ホームの職員を対象とし、認知症ケア場面での情動コンピテンスの水準、仕事の性質や職場環境、共感性などの個人特性、バーンアウトの水準などを、6カ月の間隔を空けて2回測定する。現時点で1回目の調査を終え、1268名のデータを得た。これらの変数間の関係性を分析した結果、職場で提供される外的リソースと、職員の共感性といった内的リソースの両者が情動コンピテンスの水準と関係していることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスの影響により介護施設での観察調査が実施できなかった。そのため調査方法を観察から面接に切り替えて調査を進めているが、調査開始が遅れたことにより、十分な数の対象者が確保できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
以下の2つの研究を計画している。 職員を対象とした追跡調査の中で、2023年度は第1回目の調査を終了した。2024年度は、同一職員に対して第2回目の調査を実施する。 勤務年数の長い職員を対象とした面接調査を継続し、より多くの職員から回答を得る。
|