研究課題/領域番号 |
22K03081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 宇都宮共和大学 |
研究代表者 |
小浜 駿 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 准教授 (60716067)
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研究分担者 |
吉田 恵理 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (30868956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 先延ばし / カウンセリング / 高校生 / ACT / アクセプタンス&コミットメント・セラピー / 学習行動 / 大学受験 / ストレス / 学習改善 / 休息 / 介入研究 |
研究開始時の研究の概要 |
学習行動に関する研究が蓄積している一方で,非学習時の現象に焦点を当てた研究は乏しく,休息の機能は十分に検討されていない。申請者のこれまでの研究から示唆された,急速に関連する2パターンの不適応的な学習を改善するプログラムを開発する。大学受験勉強を対象とした介入研究によって改善プログラムを開発した後,プログラムを簡素化した教示によっても学習改善効果が見られるか,検証を行う。 本申請課題は,研究の盲点となっていた休息の機能について明らかにし,重要なライフイベントである大学受験勉強の支援に寄与するものである。さらに,学習観の改善により,勉強好きな学習者を増やすことにも貢献することができる。
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研究実績の概要 |
2023年度は,2022年度の予備調査によってリクルートされた研究協力者から,2種の不適応的なタイプの先延ばし者を抽出し,彼らに対して効果的な先延ばし改善プログラムを実施することであった。また,実施を通じて2種のプログラムの効果を検証することであった。500名を超す高校2年生を対象に調査を実施し,そのうち18名から,翌2023年度における改善プログラムへの参加意向を得た。しかし,予備調査から約2週間後に連絡をした結果,改善プログラムへの参加を正式に承諾したのは1名のみであった。 1名は不適応的なタイプの先延ばし者(否定感情タイプ)であったため,該当するタイプへの改善プログラムを実施し,質的データとして改善プログラムの効果検証を行った。ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を基本としたプログラムの効果検証の結果,プログラム前後において「休もうと思っても気が休まらなかった」や「頑張れない自分を責めてしまった」といった,該当のタイプに特徴的な症状が軽快した。また,受験の追い込みの時期には十分に勉強が実施できており,最終的には志望校に合格した。したがって,サンプル数に問題はあるものの,新たに開発された改善プログラムは特定のタイプの先延ばしの改善に有効であることが示唆された。 2024年度は,実施されたプログラムを簡易化する予定である。こうした次年度の研究予定を考慮し,年度末にはプログラムを簡易化した文章を読ませ,高校生の学習観や学習習慣を変容させる予備調査を実施した。2024年4月にフォローアップ調査が実施されるため,データ回収が完了し次第,速やかに分析を行い,改善プログラムの効果検証を行う予定である。 また,2023年9月には学会発表を,2024年3月には紀要論文をそれぞれ行い,予備的な検討の結果を社会へと還元した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
十分な水準を満たすデータが得られないというイレギュラーがあったため,その点では十分な進捗とは言えなかった。ただし,代わりに量的変数を用いた予備調査を追加することで,異なる検討方法から開発プログラムの効果を検証することができた。 大きな問題は,2種の先延ばしのうち,片方(否定感情タイプ)の改善プログラムのみが開発され,もう片方(楽観タイプ)の改善プログラムが実施できなった点である。この点は,研究計画の修正が必要であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究規模を縮小する必要があると考えられる。2種の異なるタイプの先延ばしに対する改善方策を開発することが本研究の主目的であったが,実績概要の欄で述べた通り,片方のタイプの回答者は介入プログラムを実施することができなかった。したがって,2種のうち1種のプログラム開発に焦点を当て,今後の研究を遂行していく。 なお,開発を予定していた2種の改善プログラムのうち,本年度実施できなかった楽観タイプへのプログラムは,理論的検討および報告者の過去の研究から,既存の先延ばし改善プログラムでも改善が可能であると予測されていた。それに対して,本年度実施し,新たに開発することができた否定感情タイプへの改善プログラムは,これまでの改善プログラムでは効果が見込まれづらい内容であった。 したがって,本研究はいまだに高い独創性を有した状態で実施されていると判断できる。
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